未成年の補導
「先生、おはようございます。昨日の続きですけど」
職員室の外で待ち構えていた佐倉が一冊の薄いノートを差し出してきた。
表紙には几帳面な字で『構成案』と書かれている。
中には彼女が夜通し考えた俺が彼女を殺すための最も「美しく」「確実な」シチュエーションが詰まっているのだろう。
「……待て。そのノートを開く前に、話がある」
俺は彼女の手を制し、そのまま空いている教室へと促した。
朝の教室はまだ冷えた空気が溜まっている。
教壇に立ち、彼女と向き合う。
昨夜恋人と食べたハンバーグの味や、ぬるい幸福の感触が俺の背中を強く押していた。
「佐倉。君は『。』を打つことばかり考えているが、文章の本当の面白さは、その手前の『、』にあるんだと思わないか?」
俺の声が誰もいない教室に響く。
自分でも驚くほど熱がこもっていた。
喉の奥でずっと燻っていた言葉たちがダムが決壊したように溢れ出す。
「完璧な結末なんて死んだ後で誰かが勝手に決めればいい、大切な人が上手く補完してくれる。俺たちが今書いているのは修正だらけのインクで汚れたみっともない下書きなんだよ」
佐倉が驚いたように目を見開く。
俺は一歩彼女に近づいた。
「俺だって大学を出て教員採用試験に受かって毎日同じような授業をして……時々自分がただの機械になったような気がする。でも昨日の夜、彼女......同居人が作ったハンバーグを食べて、ああ、生きてて良かったって、情けないくらい本気で思ったんだ」
「先生……」
「続きがあるから腹が減る。続きがあるから明日の天気が気になる。物語を完結させるのは簡単だ。筆を折ってやればいい。でもな、支離滅裂で、起承転結もめちゃくちゃな文章をのたうち回りながら書き続ける。その泥臭さこそが文学であり、人生だと俺は思うんだ」
拳を握りしめる。
国語教師としてではなく、一人の男として彼女の空虚な論理に挑んでいた。
心の奥底、誰にも見せてこなかったこの世界の「不完全さ」への愛着。
それを今、目の前の齢十数年の少女に向かってぶつけている。
「佐倉、君の物語はまだ序盤だ。伏線だって回収しきってない。それを俺に検閲させるな。君自身の不格好な字で、もっと続きを、絶望も退屈も全部書き殴ってみなさい」
窓から差し込む朝光が彼女の顔を照らす。
佐倉は手に持っていた『構成案』をぎゅっと胸元で抱きしめた。
その指先がわずかに震えているのが見えた。
「……先生の言葉、ちっとも論理的じゃないです。支離滅裂で、感情論で……最低の国語教師ですね」
彼女は小さく笑った。
それは昨日見せた虚無の微笑ではなく、少しだけ温度の宿った等身大の少女の苦笑いだった。
「でも。……少しだけ、その『汚い続き』がどうなるか、気になっちゃいました……しかし、先生。お気づきですか?」
佐倉が不意に声を落とした。
俺が熱っぽく語った「生の輝き」が、冷たい水に飲み込まれるような静寂。
彼女は一歩、俺との距離を詰める。
その瞳は俺の熱意の奥にある「何か」を冷徹に見透かしていた。
「誰よりも、そのお顔が絶望に染まっていること」
心臓が跳ねた。
喉の奥まで出かかっていた次の言葉が石のように固まって落ちる。
意表を突かれたなんて生易しいものじゃない。
まるで堅牢に築いたはずの城壁が指先一つで崩されたような衝撃だった。
「先生が語った続き。それは自分に言い聞かせているだけのご褒美ですよね? 毎日同じ道を歩いて同じ授業をして同じ人と眠る。その反復の果てにある虚無を、必死にハンバーグの味で塗りつぶしているというだけ」
彼女の指が俺の胸元に触れるか触れないかの距離で止まる。
「先生の目はちっとも光っていません。私と同じ、終わらせたい人の目です。だから私、先生を選んだんですよ。同族なら私のこの耐え難い『続き』を理解してくれると思ったから」
俺は何も言い返せなかった。
昨夜彼女と笑い合った時間。
さっき熱く語った文学論。
それら全てが急激に色褪せていく。
俺が信じようとしていた「日常」は、実は薄氷のような危うさの上に立っていたのか。
「……佐倉、俺は」
「無理して笑わなくていいですよ。先生が自分の物語を愛せていないのに私の物語を肯定しようなんて、それこそ支離滅裂な読解じゃないですか」
佐倉は俺の手から離れ、窓の外を眺めた。
ふと横を見ると彼女の背中は昨日よりもずっと小さく、そして同時に逃れられない運命のように巨大に見えた。
「先生、宿題です。……明日の放課後までに先生が本当に『生きていて良かった』と思える嘘偽りのない理由を見つけてきてください。それが言えなかったら」
彼女は振り返り悪戯っぽく、けれど残酷なほど真剣な眼差しで微笑んだ。
「その時は先生も一緒に終わらせてあげますから」
彼女はノートを抱えたまま軽やかな足取りで教室を去っていった。
残されたのは静まり返った教室と、自分の手のひらの震えを隠せない一人の男だけだった。
俺は自分が教壇という安全な場所に立っていたつもりで、実は奈落の縁に立たされていたことに今さら気づかされた。
仕事を終えた後、学校を出て駅に向かう途中のコンビニに寄った。
頭の中は佐倉のあの冷え切った言葉がリフレインしている。
『先生の目は、ちっとも光っていません』
そんなはずはない。
俺はそれなりに充実した日々を送っているはずだ。
「……袋、お願いします」
レジで小声で告げる。
だが、業務中なのにも関わらずイヤホンを片耳に引っかけた若い店員は一言も発さずスマホ決済の端末をスキャナーで読み込んだ。
精算が終わっても彼は動かない。
商品はカウンターに放り出されたまま。
袋を頼んだはずなのに、彼は次の客を呼ぶために顔を上げた。
「……あの、袋」
「あ? ああ、横にあるやつ持ってって」
無愛想な声。
投げやりな視線。
その瞬間、言いようのない苛立ちが胃の底からせり上がってきた。
喉元まで罵倒が込み上げる。
だが、俺は黙って袋を一枚取り自分で商品を詰め込んだ。
店を出て夜風に当たっても動悸が収まらない。
なぜ、こんな些細なことに腹を立てている?
普段なら「疲れてるんだろうな」と流せるはずの不快感が、今は鋭い棘となって刺さっている。
『日々の虚無を、必死にハンバーグの味で塗りつぶしているだけ』
佐倉の声が耳元で囁く。
そうだ。
俺はこのイライラを今夜も「ただいま」という言葉と一緒に玄関に脱ぎ捨てるつもりだった。
彼女の笑顔を見て、温かい料理を食べて、「今日もいい一日だった」と自分に言い聞かせる。
それは幸福なのか?
それとも単なる「上書き保存」の繰り返しなのか。
家が近づくにつれて、窓から漏れるオレンジ色の光が視界に入る。
あの中には俺を待っている彼女がいる。
彼女はきっと今日も一生懸命に料理を作ってくれているだろう。
俺はそれを食べ、美味しいと言い、明日もまたこの道を歩く。
思い込む。
俺は幸せだと思い込もうとしている。
そうでもしなければ、佐倉が差し出したあの『構成案』があまりに魅力的な招待状に見えてしまうから。
玄関のドアノブに手をかける。
鉄の冷たさが現実を突きつけてくる。
俺はこの扉の向こう側にある「ぬるい安らぎ」で今日のあの店員の無礼も、佐倉の呪詛のような言葉も全部消せるのだろうか。
「……ただいま」
声が自分でも驚くほど掠れていた。
「おかえり! 今日はオムライス。卵、ふわふわに焼けたよ」
ドアを開けた瞬間、彼女の弾んだ声が飛んできた。
キッチンから漂う甘いケチャップの匂い。
エプロンの紐を揺らしながら彼女が駆け寄ってくる。
その笑顔は昨日の夜よりも、さっきのコンビニの蛍光灯よりもずっと眩しい。
眩しすぎて直視できない。
網膜を焼かれるような、物理的な痛みを伴う明るさだ。
「……ああ。美味そうだな」
俺は精一杯の愛想笑いを浮かべた。
佐倉が言った「虚無を塗りつぶすためのご褒美」という言葉が呪いのように脳裏にこびりついている。
俺は今、この温かな食卓で今日一日の泥のような感情を上書きしようとしているのか。
だが、彼女が皿を並べる横顔を見ていると心の奥底で別の声が響く。
――違う。
これは単なる上書き保存なんかじゃない。
理由なんて、言葉にする必要すらない。
高校の放課後、図書室の窓際で一緒に勉強したあの静かな午後。
大学の合格発表で自分のことのように泣いて喜んでくれた彼女の顔。
初任給で買った安っぽい、けれど喜びあったペアリング。
積み重ねてきた年月。
その一分一秒が俺たちの間には地層のように積み重なっている。
それは決して、昨日の記憶を消して今日を書き込むような薄っぺらな作業ではなかったはずだ。
「どうしたの? ぼーっとして。冷めちゃうよ?」
彼女が小首をかしげて俺の顔を覗き込む。
その瞳には俺の煮え切らない表情がそのまま映り込んでいる。
理由なんて、説明できない。
けれど、この「眩しさ」を「痛み」だと感じてしまう自分を彼女はきっと許してくれる。
そんな根拠のない確信だけが俺を支えていた。
「いや……なんでもない。ただ、顔を見たら少し安心しただけだ」
嘘じゃない。
半分は本当だ。
残りの半分はこの幸福がいつか佐倉の言うコストに負けてしまうのではないかという、得体の知れない恐怖。
俺はスプーンを手に取り、黄色い卵にスッと線を引いた。
中から溢れ出す温かな湯気が視界を一瞬だけ白く染める。
「……美味しい」
呟いた言葉は自分でも驚くほど重かった。
上書きではない。
けれど、この美味しさを噛み締めるほどに佐倉に突きつけられた「宿題」の答えが遠のいていくような気がした。
俺はこの眩しい光の中にいたい。
同時にあの冷え切った準備室で、佐倉と一緒に「。」を打つ方法を考えていた自分をどこかで求めている。
─────
「ん……おやすみ」
隣で彼女が穏やかな寝息を立て始めた。
幸せな一日を締めくくる完璧な幕引き。
はずだった。
枕元でスマホが短く、鋭く震えた。
画面を点けるとそこには一件の通知。
連絡先には登録されていない、無機質な数字の羅列からのメッセージ。
そこに言葉はなかった。
ただ一つの地図情報。
ピンが立てられていたのは学校から少し離れた場所にある古びた歩道橋だった。
直感的に佐倉だと思った。
あの冷たい瞳。
俺に「宿題」を課したあの少女。
「……寝よう」
俺は画面を伏せた。
教師が夜中に呼び出された場所へ向かうなんて正気の沙汰じゃない。
ましてや相手は、自分に殺人をせがむような危うい生徒だ。
関われば関わるほど俺の「ぬるい幸福」は侵食されていく。
だが。
目を閉じてもあの歩道橋の地図が網膜に焼き付いて離れない。
そして、都合のいい思考が頭をもたげる。
――待てよ。送り主は匿名だ。
佐倉だと決まったわけじゃない。
ただの間違いメールかもしれない。
あるいは全く別の、助けを求めている誰かかもしれない。
「直感」なんてものは何の証拠にもならない。
そう自分に言い訳をした瞬間、思考より先に体が動いた。
音を立てないようにベッドを抜け出し、リビングを横切る。
玄関に立ち、冷えた靴に足を入れる。
自分が何をしているのか本当はよく分かっている。
俺は佐倉を止めに行きたいのか。
それとも、彼女が指摘した俺の中の「絶望」の正体を確認しに行きたいのか。
カチリ、と鍵を開ける音が静かな夜の空気に鋭く響いた。
彼女の寝顔を裏切り、俺は夜の闇へと足を踏み出す。
「匿名」という薄っぺらな免罪符を握りしめて。
街灯が心もとなく瞬く、深夜の歩道橋。
階段を上りきった先、踊り場の手すりに背を預けていたのはやはり佐倉だった。
夜風に揺れる制服。
薄闇に浮かび上がる白すぎる肌。
彼女の姿を視界に捉えた瞬間、俺の胸の奥からせり上がってきたのはあろうことか深い「安堵」と、熱を帯びた「喜び」だった。
ああ、やっぱり君だったか。
俺をこの夜の淵まで引き摺り出したのは、君だったんだな。
その感情が芽生えた自分に背筋が凍るような戦慄を覚える。
恋人の待つ温かなベッドを抜け出し、俺は自分の絶望を肯定してくれるこの少女に会いたくてここまで走ってきたのか。
「……佐倉」
俺は沸き上がるドロリとした感情を無理やり押し殺した。
教師としての仮面を、歪んだ顔の上に張り直す。
「こんな時間に何を考えてる。補導されたらどうするんだ」
声が不自然に震えていた。
佐倉はゆっくりと顔を上げ、俺を見つめる。
その瞳には夜の街の光が粒のように反射していた。
「先生。……やっぱり、来てくれたんですね」
彼女の唇が微かに弧を描く。
まるで迷路の出口を見つけた子供のような、無垢で残酷な微笑み。
「宿題の答え、見つかりましたか? それとも私に会いたいっていう衝動の方が論理に勝っちゃいました?」
「黙りなさい。……もう遅い。こんなところ、長居する場所じゃない」
俺は彼女から目を逸らし、促すように階段を指差した。
ここに居てはいけない。
彼女の言葉を聞いてはいけない。
これ以上、俺の中の『幸せ』が彼女の毒に侵食される前に。
「帰りなさい、佐倉。家まで送るから。……教師として、放っておけない」
「『教師として』、ですか」
佐倉は手すりから身を離し、ゆっくりと俺に歩み寄る。
足音が、コンクリートの乾いた音を立てて響く。
「先生のその嘘、何点満点だと思います?帰りませんよ。まだ先生の『本当の答え』を聞いてませんから」
佐倉は一歩も引かなかった。
むしろ俺の動揺を楽しむかのように、薄く笑いながら言葉を継ぐ。
「そういえば、さっきあそこであのコンビニの店員さんを見かけましたよ。……先生をあんなに怒らせた人。ずいぶんと態度が悪かったみたいですね」
心臓が嫌な跳ね方をした。
全身の血が一気に頭に昇るのがわかる。
「……なんで、君がそのことを知ってるんだ」
俺は低い声で問いただした。
あそこは俺の家からそう遠くないコンビニだ。
学校からも佐倉の家からも離れているはず。
偶然見かけた?
いや、そんなはずはない。
ストーカーのように俺の後をつけていたのか?
「さあ、どうしてでしょうね。偶然かもしれないし、必然かもしれない」
佐倉は俺の問いをひらりとかわす。
その捉えどころのない態度が、俺の中に澱のように溜まっていた苛立ちに火をつけた。
コンビニでの屈辱。
恋人への後ろめたさ。
そして、目の前の少女に透かされているという恐怖。
「ふざけるな! 答えろ!」
気づいた時には、俺は佐倉の手首を強く掴んでいた。
制服の袖越しに細すぎる骨の感触が伝わってくる。
指が食い込むほど力任せに握りしめた。
「っ……」
佐倉は一瞬、苦痛に顔を歪めた。
だがそれは生理的な反射に過ぎなかった。
すぐにその表情は消え、代わりにこれまで一度も見せたことのないような花の蕾が弾けるような満面の笑みが彼女の顔に広がった。
「……あはっ。やっと、本当の先生らしくなってきましたね」
彼女は痛みを慈しむような陶酔の眼差しで俺を見つめた。
その瞳は狂おしいほどに輝いている。
「そんなに怖い顔をして。そんなに乱暴に私を扱って。……昨日までの、あの死んだ魚のような目の国語教師はどこへ行ったんですか?」
俺は弾かれたように手を離した。
自分の手のひらが熱い。
震えている。
「佐倉、俺は……」
「いいんですよ。それが先生の『生』の正体でしょう? 綺麗事の食事なんかじゃない。誰かを憎んだり、誰かを力でねじ伏せたいと思う、そのどろどろした衝動。……やっぱり、先生に殺してもらうのが正解みたい」
夜風が俺たちの間を吹き抜ける。
手首に残った赤みが暗闇の中で呪印のように浮かび上がっていた。
俺は自分が彼女を救うどころか、彼女の用意した地獄の深淵へと自ら飛び込んでしまったことを悟った。
「痛かったお返しです」
佐倉は赤らんだ手首をさすりながら、俺のコートのポケットに、冷たい金属の感触をねじ込んできた。
反射的に中身を掴み出す。
街灯の下で鈍く光ったのは一本の鍵だった。
「……何の真似だ、これは」
「私の家の鍵です。親は仕事でほぼ帰りません。いつでも殺しに来ていいですよ。……準備、しておきますから」
俺は目眩がした。
一介の教師が女子生徒の自宅の鍵を持っている。
それが発覚した瞬間に俺の築き上げてきた全てが崩壊する。
それ以前に、これはもはや教育的指導の範疇を完全に逸脱していた。
「ふざけるな。こんなもの、受け取るのは無理だ。持っていられるか」
俺は鍵を彼女に突き返そうとした。
だが佐倉は一歩下がり、夜の闇に溶け込むような冷ややかな声を出した。
「もし私に返したら明日学校で言いふらしますよ。……先生に夜中に呼び出されて、手首を力任せに掴まれたって。青あざを見せればみんな信じてくれるんじゃないかな」
「っ……」
喉の奥が引き攣る。
卑劣だ。
だが、彼女の瞳には自分の破滅さえも厭わないような純粋な狂気が宿っていた。
俺の『ぬるい幸福』を守るためにはこの不条理な要求を飲むしかない。
「……分かった。今日はとりあえず持っておく。明日、学校で返す」
「いいえ。返すのは私の物語に終止符を打ってくれた時です。それまで、先生が預かっておいてください。……私の命のスペアキーなんですから」
佐倉は満足げに微笑んだ。
そして一度も振り返ることなく、階段を駆け下りていった。
残されたのは右手に握られた冷たい金属の塊と、心臓の嫌な鼓動だけ。
俺は重い足取りで家へと向かった。
ポケットの中で鍵が歩くたびにチャリチャリと音を立てる。
それはまるで俺の首筋に冷たい刃を当てられているような感覚だった。
玄関を開けると、相変わらずの温かい空気。
彼女が寝ているはずの寝室からかすかな寝息が聞こえる。
俺は震える手でその鍵を普段は使わないカバンの奥底へと隠した。
彼女と一緒に食べた食事も。
将来を約束したこの静かな夜も。
あの小さな金属の一片によって修復不可能なほどに歪められてしまった。
俺は洗面所の鏡を見た。
そこには佐倉が言った通り絶望と、そして自分でも認めたくないような「高揚」に濡れた男の顔があった。




