疑問符が呼ぶ真相
銃声が__
“Thank you for gathering today!“
アーヴィン・キングと云う男性は大学の講師をしているのだが、この日は客人を招いたようだ、それも三人の女性を。
彼らは何れも彼が担当する言語学専攻の学生であり、彼自身としては「より仲を深めたい」と云う想いで会合を開いた訳だ。
そしてその会合それはなんとも普通のものだった。ちなみにキングは日本語が流暢なために、彼らとは何の障害もなく話すことができるので、これから彼の会話は全て日本語になることに関しては先に云っておこう。
「それにしても、いきなりこんなのを開くだなんて、どう云う風の吹き回しだ?」
と谷桐亜依と云う名の女性が投げかける。
「いや、別にどうもしないよ。単に仲を深めたくて」
「何それ、ちょっと不気味」
「そう云う割にはしっかりお菓子を頬張ってるなぁ、レイニー?」
「…」
不機嫌そうに平らげているのは天田澪と云う女性だ。彼女はキングから「レイニー」と呼ばれている。
「キングありがとねー」
「ははっ、こちらこそ来てくれてありがとう」
こちらは推屋真愛である。「真実の愛」とはこれは何とも縁起の良い名だ。実際彼女は彼から好かれているようだ。
「ほらほら、澪ちゃんも亜依ちゃんももっと楽しそうにしようよー!」
「えぇ、良いよ私は。柄じゃないし」
「まぁそれは関係ないんじゃないか?たまには柄にない行動もしてみるもんだよ」
「そう云うあんたもそこまで楽しそうじゃないけど?」
「いやいや、ウチは楽しんでるよ?表情に出にくいってだけ」
「ふぅん」
「ねぇー亜依ちゃん、これおいしいよ!」
「マジ?……ほんとだ!」
「でしょー!」
「あ、そういえばさ、あんたの前の講義でよく分からなかったから教えて欲しいトコあるんだけど」
「ん、こんな時にまでか?ははっ、随分熱心なことだ。どこだ?あぁここか。ここは…」
「何してるのー?」
「……前回のことについての質問よ」
「あっ、そこ私もよく分かんなかったトコ!」
「これは済まないな」
と、いきなり亜依が真愛を引き戻し
「真愛、あんまり首は突っ込まない方が」
「うわっごめん!」
「谷桐さん、別に構わないよ。彼女も同じところでつまづいてしまってていたみたいでね」
「なるほどね、ごめん」
「いいの、いいの!」
「え、澪。もしかして、あのバッグの中ってそれが入ってたの?」
「…えぇ、そうだけど?」
「案外真面目なんだね」
「……」
「あぁー……大丈夫かな?そこでこれが…」
実に賑やかだ。各々がこの時を思い/\に楽しんでいる。しかし…
一変、家中は二十分ほど静まり返り次の途端、銃声が響き渡った。
そして彼の家からは三人が推屋、天田、谷桐の順で駆けて出てきた。何があったのか。キングはこの微笑ましい時を過ごした直後に銃殺されたのだった。果たして一体誰が彼を殺めたのだろうか。