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第七話 りずむの危機

5月3日(水) AM9:30 聖麗学園寮 306号室


りずむと澪はだらけきっている。

「あー、何もやる気でねー。」

「ゴールデンウィーク初日だぞ。だらけてていいのかー?」

「お前も寝転がって漫画呼んでるくせに」

「いいだろー、別にー。」

ほんとにだらけきっている。

翼はというと、




聖麗学園寮 302号室

「雀ちゃん、用事って何?」

「あはは、それは・・・、」

雀に呼ばれていた。

「?」

翼は首をかしげる。

「ちょっと、遊ぼうと思って。」

「なにで?」

「翼で。」

「ふぇ?」

「とりあえず、これ、はい、よろしく。」

雀は翼に紙袋を渡す。



翼は脱衣所から出てくる

「あの、雀ちゃん?これは何?」

「え、ああ、それは、」

雀の目が光る

「全国のロリコンたちが掲示板に集まって話し合った全国の小学校で一番ロリらしさのある制服第一位を記録した、私立○○小学校の制服(低学年使用)。」

「ふぇ?って言うかなんでそんな制服持ってるのぉ?それにボク高校生だよ、そんなの着せないでよ。」

翼の目が潤んできた。

「いい、いいよそのうる目。ちょっとここに座って、で、上目遣いでね。制服送る代わりにその子の写真よこせってうるさいから。あ、大丈夫ネットには貼ったりはしないってさ。」

雀はカメラを構える。

「ええー、写真も撮るのぉ?」

「まあ、いいから。ほんとは智香に着てもらおうかと思ったんだけどほんとの制服だから智香の厚い脂肪じゃ無理なんだよねー。あ、そうだ『お兄ちゃん』って言って。そのロリボイスも録音するから。」

そのとき扉が勢いよく開く

「何変態みたいなことしてるかなー、それに誰が厚い脂肪だー、」

飛び込んできた智香のドロップキックが雀に炸裂する。雀のデジカメが宙に飛ぶ。

「智ちゃん、」

「翼も、なんでこいつの言うこと素直にきいてそんな服着てるの?」

智かは手を腰に置き、座っている翼を見る。

「だって、雀ちゃんがお願いって言うから。」

「いいのよ、こいつの頼みはろくなもんじゃないんだから」

「智香、ちょっと、これとって。」

雀は部屋の隅のたんすと壁の間に収まっている、頭にはゴミ箱がはまっている

「とりあえず着替えたら、その服恥ずかしいでしょ、小学生の服だし」

「うん、でも何時も着てるの子供服だけど。」

翼は着替え終わると智香達の部屋を出た。

「じゃあ、ボク帰るね。」

「うん、あんまりこのバカのこと信じちゃだめよ。」

翼は帰っていった。

「さて、宿題するかな。」

「智香これとって助けて、」




聖麗学園寮 306号室

「ただいまー、」

「おー、翼。ちょうど良い、俺ちょっと出かけてくる。」

「え、うんわかった。澪ちゃんは?」

「さっき部屋に戻った。」



翼はリビングでボーっとしている。

「暇だなー。クッキーでも作ろうかな?」


翼はクッキーを作り始めしばらくして生地をオーブンに入れる

そのとき、

「こんちはー、りずむいるー?」

音色がやってきた。

「いないのかな?」

誰か知らない人の声がする。

翼は気付いていないようだ

「靴はあるよね。」

「あがるわよ」

「音色おねえちゃん?いいの?そんなかってに」

ガチャっ

「あ、」

翼はオーブンを覗いていた。

「えっと、誰?」

音色がたずねるが、

二人は首をかしげながら

「有栖さん、だよね。」

「えっと、同じクラスの」

「仲瀬、仲瀬美樹(なかせみき)よ、よろしくね。」

「うん、よろしくね」

「ここってりずむの部屋よね。」

話を中断させる音色。

「うん、そうですよ。りずむちゃんとボクの部屋ですよ。」

「え、あなたと、」

「うん」

笑顔でうなずく翼。音色と美樹は顔を見合わせ話を始める

(どういうこと?あの子女の子よね。)

(うん、そのはずよ。たしかにりずと澪とは仲良いけど。)

(でもあの子男の子なはず無いわよ。あんなに小さくて声高くて細いなんてありえない)

(そうだよね、それに体育の授業更衣室で普通に着替えてたし、ロッカーのむこうだけど。りずたちはトイレで着替えてたし、)

(じゃあ、ほんとの事知らないのかしら。)

「あのー、どうかしましたか?」

翼は話を止める。

「とりあえずどうぞ。」

椅子を引いて「どうぞ」という。

音色たちは座る



「はい、どうぞ。」

翼は焼きたてのクッキーと冷蔵庫からジュースを取り出す。

「ちょっとごめんなさい」

そういうとトイレのほうに行くが、何も無いところで転ぶ。

「ちょっととろい子だね」

音色は小声で言う。

「でも、さっきから見てても仕草とか女の子だよ。」

「なんでりずむは男の子って嘘ついたんだろ。」

「まさかとは思うけど、あの子で変なことでもしてるのかな?」

「「まさかね、」」

何かにきずいたように顔を上げる二人。

「後で聞いてみようか。」





翼がトイレから戻ってくる。

「有栖さん」

「はい、あ、つばさでいいよ。みんなからそういわれてるし。」

「じゃあ、つばさ。りずはここではどんな感じ?」

ジュースを飲みながら美樹がたずねる。

「その前にりずむちゃんとはどういう関係ですか?」

(りずむちゃん?りずむのこと女だって思ってるのね。)

「私はりずむの姉の音色。美樹は私たちの幼馴染なの。」

翼は首をかしげながら

「え、あなたが音色さん?りずむちゃんの話とはぜんぜんちがうような」

「あの子はなんて言ってたの?」

「あ、」

「どうしたの?」

「いや、その、」

翼はうつむき、口を閉じた。

「言っていいわよ。」

音色は笑顔で言う

「その、身勝手でわがままで駄目駄目で自堕落的で自己中でまったく役に立たない馬鹿姉と、」

翼は汗を流しながら話し、美樹はチラッと音色を見る。

しばらく沈黙が流れ

「へー、あの子はそんな風に思ってたんだ。帰ってきたらたっぷりかわいがってあげないとね〜」

顔は笑っているが目が怖い音色。

「ね、ねえ、りずはここではどう?ご飯とか洗濯とか掃除とか、家事はしてる?」

美樹は必死で話しを変えようとする

「あ、家事はほとんどボクがやってます。りずむちゃんと澪ちゃんはまったくしないから。」

「え、ああ、そうなの。大変でしょ、そんなんじゃ」

「ううん、大丈夫だよ。それに困ったときは助けてくれるから。」

「たとえば?」

会話に参加してこない音色の顔を見るたび美樹は不安になって話を進める。

「うーん、この間澪ちゃんが借りてきた怖いDVD見た後、怖くて寝れなかったとき一緒に寝てくれたり、お風呂入ってたとき石鹸とかタオルとってくれたり、服の背中のチャック閉めてくれたり、体育で倒れたとき保健室まで運んでくれたりしてくれたよ。」

笑顔で言う翼に美樹と音色は怒っていた。

((あいつはっ、))

「ねっ、ねえ、あなたはいいの?そんな裸見られたり体触られたりして」

「え、平気ですよ、だって同姓だもん。」

翼は男同士と言う意味だったのだが二人は

((りずむが男って知らないのねこの娘。男に変な事されて気付かないなんてかわいそうよ、こんな純粋な娘にあいつは、なんて事を、))

そのとき

「ただいまーっ」

タイミング良くりずむが帰ってきた。

「おい翼ー、腹減ったー、何か無い?」

「クッキーあるよ。」

「おおっ、マジで、ってねーちゃんっ、美樹っ、何でいんの?」

音色はすかさず立ち上がり、

「あんたが私をどう思っているか良くわかったわ、それにあんた、こんな可愛い娘に世話になってながら、あんたは風呂覗いたり体触ったり仕舞には一緒の布団で寝るって、何てことしてんのよっ。」

さっきまでの笑顔は無く、翼は恐くなって震えている。美樹も同じく音色から離れて震えている。

「美樹っ、可哀想だけどその娘にほんとの事教えてあげて」

「ちょっと待って、何?なんか誤解してない、え、まって、俺が何をしたー、」

音色はりずむを部屋に連れて行く。

美樹は翼を抱きしめる。

「かわいそう、もっと早く来て上げれば良かった。」

ちょっと涙を流す美樹に翼は

「え、何?美樹ちゃん?どうしたの?」

「知らないのよね、教えたらショックかもしれないけど教えなかったらもっとかわいそうよね?」

「何のこと?美樹ちゃん。」

「あいつは、りずはね、男なのよ。」

「・・・・・・」

「ショックよね、でもそうなのよ。教えてあげられなくてごめんね。」

りずむの悲鳴と「ドスッ」「バキッ」と言う音をBGMに美樹は泣きながら言った。

「・・・・・・・ますけど」

翼が小声で言う。

「え・・・、なんて?」

「りずむちゃんが男だって知ってますけど」

「う・・・そ・・・、」

「ほんと・・・だよ。」

「え、じゃあ、あなたもしかして」

「うん、男だよ、」

・・・・・・・・・

美樹はしばらく黙り、その後大声で

「えーーーーーーーーーー、」

「うそ、そんなにちっちゃくて、可愛くて、声高くて、女の子みたいなのに?」

「う、」

「男になんかまったく見えないそんな容姿なのに?」

「・・・」

「そんなフリフリな服が似合うのに?」

「・・・・・・、う、うう、えーーーーーーーーーーーーーーーーん、」

翼は泣き出してしまった。



りずむの部屋

「ほら、あの娘、あんたが男って聞いちゃったら泣いちゃったじゃない。あんた、あの娘にどれだけひどい事したかわかってんの?この変態男がーーーっ」

りずむはもう返事すら出来ないほどにのびている。





その後、澪が来て翼を泣き止ませ音色に本当の事を教えるまでの一時間、りずむは音色の攻撃を受け続けていた。

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