第二話 ドタバタ少女??
寮、306号室内
澪の言っていたほどのことはあり結構な広さである。
だか部屋の中を見てみると一つの不安が生まれる。
「ここふたり部屋なんだよな。」
そう、ここは二人部屋である。つまり、りずむ以外にもう一人入ってくる可能性がある。最悪の場合女子と二人で住むことになる。男とばれても学校側は知っているわけだが、ばれてほかの生徒に知られたら三年間女装趣味の変態男扱いとなってしまう。
「綱渡りにもほどがある。どうすればいいんだよ」
(悩んでも仕方ないか)
考えるのやめてするべきことを考える。
「制服のサイズを確認しないとな」
しぶしぶ制服に着替える。小さい頃から姉に女物の服を着せられていたのでなんとなくだが着方はわかった。
ついでに言うと姉もこの学校だ。なので制服も知っていた
この聖麗学園の制服は、黄色のセーター、白いブラウスと赤のチェックスカート。赤いリボンかネクタイ(両方結ぶタイプ)。まあ、どんな制服だろうが男からしてみればきるのはいやだろう。
制服のスカートをはき、ブラウスに袖を通す。ネクタイを適当に結ぼうとしていたとき。
ガチャ…
「こんにちはー」
高くて小さな声がした。
りずむはネクタイと戦っていて聞こえていないようだった。
声の主が入ってきた。
「誰かいますか?今日からこの部屋でぃっ……」
声の主の言葉がとまり、トランクが倒れた。結構驚いている。
しばらく沈黙が流れる。
声の主、子供みたいに小さい少女が口を開いた。
「すいません、すいません、すいません」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「申し訳ないです。」
ものすごくあわてている。
りずむが言う。
「え、ちょっ、ちょっと何?どうしたの」
「失礼しましたーーーーーーー。」
全力で逃げる少女。
(え、何?いきなりばれた。って言うかあの反応、変態と思われてる?)
置いてけぼりのトランクがある。
「これどうしよう。」
そう思っていると、
ダダダダダダ………
全力で少女が戻ってくる。
トランクを手で抱えるとまた。
「ごめんなさいですーーー。」
涙目だ。全力で学校の方に走っていく。
「お前もう終わったな、変態認定されただろうな。」
風呂場のドアが開き、澪が出てきた
「いつから居たんだよ。ってなんでいるんだよ」
強い口調でりずむが言った。
「おまえが制服に着替えてるとき。面白そうだから。」
はっきり澪が答える。
「どうしよう、」
「どうしようもないだろう。きがえてる最中にって意味として考えるしかないな。」
「人事みたいに、」
「人事だし。」
こういうやつだよなってあきれるりずむ。
「まあ面白かったし、オレ部屋に戻るな、」
「お前もああなるんじゃないのか?」
あきれた口調でりずむが聞いた
「オレ、一人らしいしへいきだろ。」
「はずるくねーか?俺これから修羅場だぞ。なのにお前だけなんでひとりなんだよ。って、いないし」
いつのまにかいなくなっている澪。
しばらくして
「どうしよう、やばいよやばいよ、」
あわてていても荷物を運ぶりずむ。
「女だって言い張るしかないか。裸にされなければ何とかなる。」
ガチャ…
「あのー…」
(きたか。)
落ち着いてりずむが
「はい、どうしたの?」
高い声でがんばって言った。
「さっきはすみません」
少女が言った。
「平気よ。大丈夫?」
頑張るりずむ。
(たのむ、何とかなってくれ)
「あなた男の人ですよね。」
「あ・・・」
りずむの努力、祈りむなしく。
少女が話し始める。
「学校で聞きました。あなたが男の人だって、この部屋で一緒だってことも。」
しゃべる事も出来ないりずむ。
静かに時が流れる。
「一緒に頑張りましょう。」
(え・・・・・・・・)
りずむがきりだす
「君もしかして、男?」
「はい、顔でわかりませんか?服も男物だし。」
少女もとい少年が言った。
「ああ、そうだね」
(服は確かにそうだけど、まったくわからなかった。男どころか中学生ですら違うと思うんだけど、言ったらかわいそうかな?)
失礼かと思うが、リズムの言う通りなのだ。140にも満たない身長なので小学生でも通るくらいだろう。
りずむたちとはまた違う女顔である
まあとりあえず自己紹介をとおたがい思ったらしいく
「俺は真城りずむだ、趣味はゲームと楽しいこと」
「ボクは有栖翼、趣味はお菓子作りと音楽」
「オレは秋山澪、趣味はりずむをおちょくる事と変なことに巻き込まれる人を見ること」
いきなりいる澪
「いつのまにいるんだよ。ってか趣味のところ結局俺をおちょくりたいだけかよ。オイ」
突っ込むりずむ。
ドンッ
驚いて後ろに下がる翼、さっきの音は翼が頭を壁にぶつけた音らしい。そのため頭を抱えてうずくまっている。
「さっきいった子が戻ってきてたから、なんかあるなと思ってね。」
「とりあえずよろしくって事で」
相変わらずの自由人である。
「そうだ君、校長室いった?」
いきなり話題を変える澪。
「うん、さっき行って色々聞いてきたけど。」
作業を進めながら返事をする翼。どうやらこう言う作業は得意らしく、二時間前に来ている二人より片付いている。
「お互い大変な事になったな。女装して通うなんてな。」
ため息を吐くように言う澪。
「でも、仕方ないよ。ここ選んだのは俺達だしな。」納得しきっているりずむ。遮るように翼が、
「じゃあ、やっぱり女装慣れてるの?」
「どう言う事?」
作業に飽き始めている澪が言った。りずむの荷物で遊んでいる。
「さっき逃げた理由は、女の人が着替えてるのかと思ったんです。それで部屋を確認したらやっぱり合ってて、だから学校に聞きに行って来たんだけど男だから大丈夫って聞いたんです。だからあの人は、女装が慣れてるからあんなに手早く着替えられるんだなーって思って。それに似合ってたし。」
軽くへこむりずむ。それを見て笑う澪が
「やっぱりばれないって。あ、そうだ。明日でかけようぜ。買い物ついでにさ、校長から一ヶ月十万出すっていってたし」
「そんな簡単に使っていいのか?」
「お前等が変なことやっている間に教頭が来て、『明日の休みに服を買っておいた方が良いだろう』ってさ。」
「ああそうなのか、」
「ついでだからほかの物も買っておいたほうが良いって言って金くれたぜ、お前らとりこんでたからオレに三人分渡して、」
「さすが私立でも金持ちの学校だな。ってオイ、俺らの分使う気だったのか?」
「そんなわけないじゃん。翼と二人で分けようとしたんだけどな。」
「俺の分がないじゃないかよ。」
二人の会話に置いてけぼりの翼の目が丸くなっている
「仲良いですね。いいなー、ボクそんな人いなかったからな」
少し下を向いて辛そうな翼。二人が尋ねようとするが、
「なんでもない、なんでもない、気にしないで。」
聞いちゃいけない気がした二人はとっさに、
「「よし終わったー。買い出し行くぞーーー」」
と言って話を終わらせた。
そのまま作業を終えると近くのスーパーで食材を買ってきた。困ったことにりずむも澪も料理なんてまったくだめだった。
「「レトルトにでもしとけばよかったかな」」
「仕方ないもう一回買いいくか。」
しばらく二人がぼやいていると、翼が
「何してんのー?早く食べよーよー。」
二人が揃ってキッチンのほうを見ると翼が料理を何品か作り終えていた。
「「はやっ、ていうかすごっ。」」
「お前すごいなー。」
「そういやさっき、趣味お菓子作りって」
「料理は下手だけどねー」
「これでかよ。まあいいや」
「「「いただきます。」」」
三人で夕飯を食べ終わると少しゆっくりしてから寝た。
その間にほとんどのことを翼が終わらせていたていた。
洗濯物をこけてひっくり返したり。
洗濯機に頭から落ちたり。
食器を洗うとき落とした泡で滑ったりしながら。
((軽くドジ入ってんだな。))
二人はおんなじことを考えていた。
これで三人残る男子はあと一人。
気になるところだが、次回の出番無し。