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曖昧模糊の真相 三頁目


『報告します!』

「!」

『ラスタリア外周で行われていたレオン様、クロバ様とメタルメテオの戦いが!』

「あん? 負けたのかあいつ」


 各所で行われていた各陣営の幹部格以上の者による戦いの一つ。

 その結果を連合軍側は着けていたスピーカーなどの機械で知り、エヴァ・フォーネスなどインディーズ・リオの面々は自分たちにかけていた粒子術の効果で知った。


「流石はレオン。良い仕事するな!」

「あぁ。流石はレオン・マクドウェルといったところだ」

「あ~~?」


 それを聞きエヴァ・フォーネス相手に中・近距離戦を挑んでいるデュークは気前よく笑うのだが、対峙するエヴァ・フォーネスの表情と声を見て、訝しげな表情をする。


「あいつがこうも早く敗北するとはな。相手にならなかった、というところか」

「何がおかしい?」


 状況としてはあまりよくないもの、いや幹部格の敗北という手痛いダメージを受けても、彼女はなおも不敵に笑うのだ。

 であるからには裏があると考えたデュークは圧を込めた声で問いただし、


「いやなに。奴ら二人を道連れにできるなら、戦果は上々だと思ってな」

「なに?」


 それに対し彼女は気前よく返事を行い、その意味を計り損ねたデュークが声をあげた。




「こいつは!」

「やはりそうか」


 鉄壁の守りを誇っていた銀の鎧が砕け、その内にあった肉体は深々と抉られた。

 レオンが撃ちだした攻撃形態と炎属性粒子を重ねた至高の一撃は胴体を勢いよく四分割するのではと思われるほどの威力であったのだが、鎧の堅牢さから寸でのところでそれは防がれ、銀の鎧の内部が露出されるという結果に留まった。


「あらゆる攻撃の二度目は防ぐ優秀な防御性能に相手の隙を縫うような寸分違わぬ精密な攻撃。それに加え息切れ一つ行わない様子に全身を隠す銀の鎧。メタルメテオ、やはりお前の正体は最新鋭のロボットだな」


 そうして顕わになった光景を見れば事前に情報を知らされてはいたものの半信半疑であったクロバは動揺し、確信を得ていたレオンは己が口で不審だった点を羅列する。


「――――如何にも。我は奥方エヴァ・フォーネス様と偉大なる父ガーディア・ガルフ様の手で生まれた、最新最強の機械の徒である」


 それに対し返される声は人間と寸分違わぬ声であり、その事実に内心で驚くレオン。

 しかし彼の心を占める気がかりはそんな事ではない。


「あわよくば勝利できればと思っていたが流石シュバルツ殿が認めた現代最高峰の剣士。その腕前、インディーズ・リオに所属するあらゆる者の技術を含んだ私さえ容易く退けるか」


 シュバルツ・シャークスの剣術にアイリーン・プリンセスのナイフなどを用いた投擲術。

 加えてギャン・ガイアの地中からの攻撃さえ習得した彼を下したレオンを彼は素直に褒め称え、


「…………どうも」


 他の部分はともかく、シュバルツ・シャークスが賞賛したという事実は彼にとってこの上ない誉であり、ゆえに感情こそ表に出さなかったものの、感謝の言葉を口にする。

 とくればこの緊迫した空間には似つかわしくない弛緩した空気が場に流れるが、


「そのような貴様らを葬れるのならばお釣りがくる」

「「!」」


 そんな空気を一瞬で破壊するような言葉が鉄の騎士から発せられ、彼の心臓部分にあった小さな塊が目を覆いたくなるほど強烈な紅蓮の光を発し、彼らはこれから起こる事態を理解した。


「自爆か!」

「如何にも。この命一つでお前達二人を退場させられるのならば安いものだ」


 そう宣言しながら鉄の騎士が駆ける。

 これまであった規則正しく、繊細かつ精密さを感じさせながらも人間らしさを伴った動きを捨て、動く爆弾としてレオンへと向け駆けていく。


「ちっ!」


 本領を発揮できるのは接近戦であるがその射程は今や死の領域である。

 それが分かっているゆえにレオンは風を纏い神器によりスタイルを速度重視のものに変化させ、神剣アスタリオンを使い防御無視の練気の刃を、魔剣ダンダリオンを使い耐性無視の風の刃を打ちだしていく。


「むん!」

「損傷もお構いなしか!」


 対するメタルメテオの行動は実にシンプル。

 もはや自身の終わりを覚悟している彼からすればここでどれだけの傷を負おうが関係ないため、両腕を捨て足さえ残っていれば何の問題もないという気概と覚悟の上で勢いよく進んでいく。


「ふっ!」

「ぬぅっっ!」


 だがそのような意志の彼が立ち向かっているのは百戦錬磨の超越者レオン・マクドウェルである。

 捨て身の特攻など、いやそれこそ今のように自爆覚悟で進んでくる相手などいくらでも相手をしたことがあり、ゆえに機動力の要である両足を相手の動きをうまくコントロールすることで綺麗に斬り落とし、残った機械の肉体が宙を舞う。


「父上! 奥方様! 私が貴方方に捧げるこの愛をご覧あれ!」

「何!?」


 がしかし鉄の騎士はなおも止まらない。

 空に浮かんだ体を背面から出したジェットで支え、アイリーン・プリンセスが行うように光を纏い前に出る。

 その状況までは想定していたレオンは更なる斬撃を飛ばしたのだが、それら全てを防ぐ様々な粒子を込めた防御壁までは想定しきれなかった。


「これぞ私に与えられし奥方エヴァ・フォーネス様の愛!」

「ちぃ!」


 あらゆる攻撃を防いだ結果を前に声高にそう告げるメタルメテオ。


「そこまでだ」


 だがその体は急に静止したかと思えば地面に落下し、その結果をもたらしたクロバが己が右腕を伸ばしきった状態で特攻の結末を堂々と宣言。


「これは?」

「お前が攻撃している間に目には見えない細かさの鉄砂を徐々にだが付着させ、一定量溜まったのでオレの操作から解放した。奴は今、数万トンを超える重さに襲われている」

「流石だ。感謝する!」


 自身が成したことを説明すると逃げに回っていたレオンが感謝の言葉を告げながら彼に近づき、


「少々残念な結果ではあるが致し方あるまい。これが!」

「まさか!」

「この距離で俺達が潰せる威力なのか!?」


 しかしなおも諦めた様子を微塵も見せぬ、多くの味方に愛され頼られていた機械の徒は声を荒げながら心臓部を取り外し、


「我が父にして宇宙一の戦士! ガーディア・ガルフ様の寵愛の証である!」 


 百メートル近く離れている彼らに対し、一切の躊躇なくそれを投擲。

 

「クロバ!」

「ああ!」


 クロバが圧縮したは鋼属性粒子を盾として展開する中、レオンが斬撃を飛ばし球体状の物体がほんの一メートルほど進んだところで正確に斬り裂くのだが、


 ――――しかしそれでもガーディア・ガルフが超圧縮した炎属性粒子の爆発に彼らは巻き込まれた。








ここまでご閲覧していただきありがとうございます。

作者の宮田幸司です。


少々遅くなってしまい申し訳ありません。

これにてメタルメテオサイドの戦闘は終了! 別の戦いへと移ります!

彼の正体は超高性能なロボット!

そんな彼の最後の攻撃は自爆特攻!


自分自身が考える戦闘型ロボットの華を書ききりました。

あと今後紹介する予定ではあるのですがちょっと前に説明しちゃいますと、彼の機械部分を作ったのが鋼属性を操るガーディア・ガルフと電気機器に精通しているヘルス・アラモード。

鉄の鎧に加護を与え、個々人の技を使うために粒子を清算する魔力炉のような物を作ったのがエヴァ・フォーネス。

で、それを作るためのプログラミングをガーディア・ガルフに加え手伝ったのがこれまたヘルス・アラモードです。


そんな結構彼の作成に関わっているのに名前を呼ばれないヘルスですが、その理由は開発当時に「これは自分とガーディアの愛の結晶だ。お前の名前は呼ばないようにしろ」などとエヴァが語ったため。


ヘルスは結構かわいそうな目にあってますが、メタルメテオは口には出せないだけで彼に対しても二人と同じくらいの感謝の心を持っています。


それではまた次回、ぜひご覧ください!

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