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決戦! エクスディン=コル! 五頁目


「古賀康太と尾羽優が来たか。ま、ここまでやりゃおじさんはお役目御免でいいだろ!」


 康太と優の二人が訪れ、手持ちの中でも最大のロボットが焼き尽くされた瞬間、その光景を見届けたエクスディン=コルはそう零す。


 今回マクダラスファミリーから彼に対し行われた依頼は一言でいうなら足止めだ。

 蒼野にゼオス。康太に優など、アラン=マクダラスにとって多くの邪魔者を己の方におびき寄せた時点で彼の仕事は十二分に果たされており、この時点で撤退することは別段問題ではない。


「さーて、あっちの方はうまくいくのかねぇ!」


 そう、問題ではないのだ。

 ここでエクスディン=コルが撤退したところで蒼野達は積達に追いつくことができないのだ。

 その事実を知っている彼は嫌な笑みを浮かべながら自分の仕事の成果に満足し、彼は戦場を見渡せる崖から撤退することを決め踵を返し、


「!」


 その瞬間、彼は背筋に冷たい感覚を奔らせる。

 ゆえに慌てて振り返るのだが、そこで目にしたのは瞬く間に自分の側にまで駆け寄ったゼオスの姿で、


「……エクスディン!」

「おいおい早すぎんだろ!」


 懐に差していたサバイバルナイフを振り抜くよりも早く、ゼオスが振り抜いた漆黒の剣が弧を描く。

 それにより生じた衝突の結果は一目瞭然で、防御のために出したサバイバルナイフは易々と両断され、その奥に控えていたエクスディン=コルの肉体を浅くだが切り裂いた。そして、


「………………それで」

「あ?」

「………………今の俺の顔は、貴様の要望に沿うものか?」


 急降下を終えたゼオスが大地に降り立ち、背を向けているエクスディン=コルにそう告げる。 


「言ってくれるじゃねぇかコノヤロウ!」


 その返礼は数えきれないほどの鉛玉と共に。

 しかしそれらは地面を穿ちこそすれ目標を射抜くことはなく、瞬く間に反撃に出たゼオスの一撃がエクスディン=コルの両腕に迫る。


「ところでお前さんはこっちに来ていいのか? ゲームはまだ終わってねぇんだぜ?」

「…………康太と話してな。俺の役目は面倒な奴の処理ということだ。だとするなら、最も面倒な貴様の元に行くのは道理だろう?」

「ハハッ、そりゃそうだ!」


 その一撃を寸でのところで躱し、距離をとるように広範囲に銃弾を撒くエクスディン=コルと、なおも迫るゼオス。


「おじさんがこの場所にいるってのはどうやって気づいた? おびき寄せるようなことはしちゃいないはずだがねぇ?」

「…………言ったはずだ。お前のことはよく知っていると。さらに言えば数時間前に口にしたはずだぞ。お前の動きの傾向を」

「なるほど。違いねぇ。こりゃしくったな!」


 声を上げながら戦う二人が戦場としている崖の頂上はさして広い範囲ではなく、銃弾の嵐と斬撃により生じる衝撃も無論凄まじい。


「っと!」


 となれば舞台の崩壊も十分に予想できるものであり、いち早くその事実を予期したエクスディン=コルは崩壊と共に真下へ。


「………………逃がさん!」

「安心しろって。ここまでしたんだ。逃げるつもりは毛頭ねぇよ!」


 一歩遅れて迫っていくゼオスへと向け再び無数の弾丸が襲いかかるが、これらすべてをゼオスは紫紺の炎の放出で一蹴。

 そのままさらに距離を詰めると大ぶりに構え、


「さぁて、こっからは第二ラウンドだ! どうするかは好きに決めなぁ!」

「!?」


 勢いよく追撃を叩き込む、その瞬間に獰猛な獣を連想する笑みがエクスディン=コルの顔面に張り付き、ゼオスの全身が真横から殴られるような衝撃に襲われ、吹き飛ばされる。

 その痛みに思わず顔をしかめるゼオスは、けれどすぐに体勢を立て直し自身の身を襲った衝撃の正体を知るために意識をそちらに向け、そこで目にした。


 エクスディン=コルが甲板に降り立った、見事な流線美を備えた八両編成の新幹線を。

 そして同形の物がもう一つ、ジコンへと向け勢いよく進んでいく光景を。


「……燃えろ!」


 即座に炎の斬撃を打ち込んだゼオスであるが、接触した瞬間の硬度に驚き目を見開く。

 なぜなら今しがたゼオスが感じた直感が正しいのならば、


「………………エクスディン=コル。貴様の乗っているその機体」

「おっと気が付いたか。早いな。あぁその通りだ。お前さんを襲って今俺が乗ってるこいつは――――神器だよぉ!」


 その直感が正しいことを証明するようにエクスディン=コルが吠え、ゼオスが彼の真正面に立つように飛び乗ると真正面から敵意で染まった視線を注ぎ、


「それじゃあ第二ラウンドの説明だ! 今回はさっきと比べてもさらに簡単! おじさんが乗ってるこいつと、真逆の方角ジコンに進むあいつは両方神器だ。そんでもって、レールは勝手に引いていくから逸らすこともできねぇ!」


 その敵意に心地よさを覚えながら彼は踊るように語る。嬉々として、悦に浸るように。


「重要なのはこっからだ。ジコンに乗せたあっちには超広範囲を強力な爆発で埋め尽くす千年前の戦争の遺産『エクトデス』がしこたま仕組んである。そいつはかるーい衝撃で爆発するように仕込んであって、更に言えば目的地に到達した瞬間に爆発するようになってる。しかも常人じゃぜってぇ気づけない透明化+消音っつーステルス能力付きと来た」

「そんな素敵な素敵な爆弾の解除方法が今回のゲームの目的なわけだが、解除の方法は簡単だ! 俺をぶちのめす。それだけだ。つまり!」

「……貴様を潰さない限り、ジコンは滅ぶということか」

「そーいうこった。もちろんおじさんは逃げる。逃げ回る。だから追って来るつもりなら、お前さんは時間内に俺を見つけて、頑張って仕留めろ!」


 そこで一通り説明を終えるとエクスディン=コルの姿が真下の車両へと消え、ゼオスは急いで内部へ。


「………………ぐっ!」

「馬鹿正直に来やがったか。好きだぜそういうの!」 


 真下に降り立った瞬間、屋内一帯を包み込む大爆発が発生。神器ゆえに内装含めて車両が吹き飛ぶことはなかったが、慌てて内部へと降り立ったゼオスの全身が衝撃と炎に包まれた。


ここまでご閲覧いただきありがとうございます。

作者の宮田幸司です


VSエクスディン=コル第二回戦開始。その内容は列車内での追いかけっこです。

ちょっとした変則戦の代名詞と言えば列車での戦闘だと思うので、アイリーンの時以来の今回も頑張りたいです!


さて大前提の疑問『列車型の神器ってなんだよ!』『どこでこんなものが手に入るんだよ』という物ですが、この辺りについてはまたどこかで。

今はこの二人の決戦を見ていただければと思います


それではまた次回、ぜひご覧ください!

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