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ソラの世界で落下して

 私は旅人。

 世界を歩くただの旅人。

 旅をした先で、であった人、見たもの、色んな事をメモしていく、ただの旅人。


 今日訪れたのは、そらの世界。見渡す限り、青空と、雲しかない、見ているだけなら気分の良い、爽快な世界です。

 とはいえ、青空と雲しかないということは、地面が無いということで……

 現在、絶賛落下中です。正直、とっても怖いです。

 青空が爽快だとか、そんなことは気にしていられないくらい怖いです。だって、足場がないのですよ?

 私、バンジージャンプは嫌いなのです。これは紐無しバンジージャンプと言うやつでしょうか。

 とにかく、怖いものは怖いので、早くこの世界からおさらばしたいです。したいのですが……

 私の、旅人魂というものでしょうか。それが嫌だというのです。まだこの世界を見回していないじゃないかとね。

 怖いから早く別の世界に行きたいけど、この世界を見て回りたいというジレンマです。

 とにかく、落下している今の状態では何もできないので、どうにかしたいのですが……


 そんなことを考えていると、空の彼方に、黒い点が現れました。そして、それはどんどん大きくなっていきます。

 アレは……何でしょうか?


――ギャゥゥゥゥ


 鳴き声が聞こえました。どうやら、この世界の生物のようです。

 それはどんどん大きくなって……というか、近づいてきましたね。

 目を凝らせば、ギザギザの歯に、厳つい鋭い目。黒い金属質のような肌をしているようです。

 そして、ものすごく大きいです。いつか見た、「じぇっとき」とか言う空を飛ぶ乗り物と同じくらい大きいですね。

 私を餌として食べる気でしょうか。餌にはなりたくないですね。

 そう思っていると、私は、その生き物の背中に載っていました。

 どうやら、私を背中に乗せてくれたようです。餌にしようというわけではなかったようです。良かった。


――ギャゥゥゥゥゥゥ


生き物が一鳴きしました。すると、私の頭の中に声が響きます。


「小さき翼の無い者よ。君は何者だい?」


 おお、あなたは喋れるのですね。私ですか?私は旅人です。旅人なのでこの世界に来たのですが、地面が無いとは思わず……


「ふふ、何とも間の抜けた旅人だな。誰でも行先くらいは調べるだろうに」


 間の抜けたという言葉には同意しておきましょう。ですが、私は旅人です。行先のわかっている旅なんてつまらないじゃないですか。


「そうか、変わっている旅人だな。」


 ところで、あなたは?


「私か?私に名などない。ただ、雲の中の住人は、私をジュルトウィバーンと呼ぶ」


 ほう、ジュルトさんですね。というか、雲の中に誰か住んでいるのですか。


「ああ、あそこに浮いている雲は、皇帝雲と言って、その上に立つこともできるほどに密度のある雲だ。

そうだな、君をそこまで案内してもいいが……条件がある」


 条件ですか?私を餌にしたいというのならお断りですよ。


「ははは。私の主食は雲でね、君は食べないよ。で、条件だが……」


 はい?


「雲の中の住人が食べてる、焼き雲という菓子があるのだが…それを買ってきてくれ。

生の雲も美味しいのだが……焼いた雲もまた美味しいのだよ。ただ、この図体では買い物もできやしないからな」


そんなことでしたら、買って来ましょう。


 こうして、ジュルトさんに皇帝雲に連れて行ってもらった後、焼き雲を買いました。

 甘いかと思ったら、口の中で消えてしまうほど柔らかいお肉みたいな味でしたね。とっても美味しかったです。

 も、もちろん忘れずに、焼き雲をジュルトさんに渡しましたよ?

 ただ、10個買ったはずが、5個に減っていましたが……


 私は旅人。

 次に行く世界は、どんな場所なんでしょうか……


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