業火の中の二光
「ぎゃああああああああ」
「たすけてたしけてたつあげたつけてえあげげかうぇぁたあちあうえおぇあああああああ」
「逃げろおおおおおお!」
悲鳴が聞こえる。命が精一杯上げる叫びが。猛獣に捕まった獲物が助けを求めて声を上げるように町中に轟く。
バチバチバチバチ…
「やめっやめてやめて助けて助けて分かった金ならある助けて助けて何がほしい助けて助けてたす」
バチッ!!!!
「ぎべえええええええべべべ…」
まばゆい光と何かがはじけたような音、そして断末魔の叫びとともにまた一人町の住民の命が消えた。
「くっふっふっふふふふふふふ…あはははははははあはははははははははは!!!!」
悲鳴と怒号、建物が崩れ落ちる音とバチバチという何かがはじける音しか聞こえなかった阿鼻叫喚の地獄に高らかな笑い声が聞こえてきた。
「はははははははっはっはぁっ!!!!つまんねえなあおいい!?この町には魔術の使える衛兵が多いって聞いたから少しは楽しめるのかなあと思ったけどぜぇえええんぜんだめじゃん!なあ兵長!?えぇ?」
笑い声の中心にはさらりとした髪の毛の青年が一人、そしてそばにはひどい重傷を負った中年の男が肩を震わせながら座り込んでいた。おそらくこの人物が兵長だろう。
「ぐ…この…化け物め…」 「あっはっはぁ!?化け物ぉ?ひっどいなあ!僕は化け物なんかじゃなくてダークエルフだよぉ!?まあ無論ただのダークエルフなんかじゃあないけどねあははははは!!!」
「貴様…よくも…われらの町を…町の住民を…私の部下を…!許さん…許さんぞ…ぐぅっ…」
「あぁあん?許さん?お前が俺を許そうが許すまいが俺には関係ないんだよおっさん。何様のつもりだテメー?てめーみてーなノミのフン以下の雑魚如きに俺を許す許さないを決める権利があるとでも思ってんのかコラ」青年は兵長のみぞおちのあたりに強烈な蹴りを浴びせる。
「ぐっむっぐぅあおお…」
みぞおちを抑えてうずくまる兵長。と、そのとき
ガラガラと少し離れた場所の建物の壁が崩れ落ちた。その中から…。
「ひぃぃっ…」「うわああああああああんママぁ!怖いよぉ!」
一人の女性とその子供だろうか、幼い男の子が出てきた。
「あぁん?どうしたのボーヤぎゃーぎゃー騒いで?五月蠅いよ?」
「なっ!?しまった!早く逃げなさい!」
自分の周りを飛ぶ蠅でも見るようなイラついた視線で親子を見る青年、そして逃げろと叫ぶ兵長。
「あっれぇ兵長?意外と余裕?このぐらいじゃいたぶり足りない?それとも『そっち』の趣味でもあるの?変態なの?」
「私が時間を稼ぐから早く逃げなさい!」
構わず叫び続ける兵長。しかし…あまりの恐怖のせいか母親は震えるばかりで動けず、子供も泣くだけでその場を離れようとしない。
「うーんそうだなぁ…兵長?たぶんさあ…これが限界だよ俺の~。これ以上いたぶってもこれ以上そういう意味では『良く』はならないよきっと…だからさぁ…あんたにはさぁ…もっと違う質の痛みを教えてあげるよ」
「別の質の痛みだと…?」
「まあまあ焦らずに。すぐにわかるよイヒヒヒヒヒ!」
にたぁっと笑いを浮かべる青年。そしてすべてを悟ったのか一気に青ざめる兵長。
青年は…親子に向かって手を掲げる。するとその手から黄色の電流のようなものがバチバチと音を立てて光り始めた。これが先ほどの音と光の正体だ。
「死なない程度の電流でじぃぃぃっくりいたぶってからさぁだぁんだん電圧を上げてー最後は電力も電圧もMAXでドカーンとやっちゃおうかな!すっごい痛いよ?おばちゃんもボーヤも、兵長も!」
「やっやめろ!止せえええええ!」
「守るべき住民が目の前で殺されるんだよぉぉぉ?それにボーヤたちもかわいそうだねええ?ぜぇんぜん衛兵ども町守れてないじゃん?税金払ってやってたんだよねえ?無駄じゃん全部?あっはは!」
青年の手の光が強くなる。そして
「んじゃあ、じっくり痛みを堪能してってねー!」
「やめろおおおおおおおおおおおお!」
青年の手から電撃が放たれ、親子を瞬時に…
「あ?」
青年の表情が変わる。今までの残酷な笑顔から一気に不快な表情へ。
千年の手から放たれた電撃は、親子を襲うことはなかった。
放たれた黄色の電流は…別のさらに眩しい青白い光を放つ電流に弾かれていた。
「…ターゲットに確認…コード番号02536、「シトリ」に間違いありません。接触します」
「了解」
黄色の電流を弾いた青い電流の中に人影が見えた。
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このたびは私の書いた小説を読んでいただきありがとうございます。これからも続きを書く予定なので今後もよろしくお願いします。 (暗夜コロン)




