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『ザマス口調が不快』と婚約破棄されましたが、私の個人銀行から引き出していた国家予算級の資金をすべてロックするザマス

作者: 白瀬 湊
掲載日:2026/07/21

この度は数ある作品の中からこの作品を選んでいただきありがとうございます。

「ルーナレシア! お前のその『〜ザマス』という品性の欠片もない口調、聞いていてヘドが出る! 本日をもって、お前との婚約を破棄するザマス……ではなく、破棄する!」


華やかな夜会の中心で、私――ルーナレシア・ザーマスに向かって、バカ王太子が婚約破棄を突きつけてきたザマス。

彼の隣には、いかにも庇護欲をそそりそうな男爵令嬢が寄り添い、勝ち誇った笑みを浮かべているザマスね。

周囲の貴族たちは、私を同情と嘲笑の目で見つめているザマス。……やれやれ、この男は自分が何をしたのか全く分かっていないザマス。


「左様ザマスか。王太子殿下、そのお言葉、しかと承ったザマス」


私は扇で口元を隠し、優雅に微笑んでみせたザマス。


「ふん、強がりを! お前のような不気味な女、我が国から追放してやるわ!」


「お止めになりませんことよ。ただ、一つだけ確認ザマス。殿下が今着ていらっしゃるその最高級シルクの正装、隣の令嬢に買い与えたダイヤモンドの首飾り、そして殿下が毎晩のように開いている派手なパーティーの資金……これらがどこから出ていたか、ごきげんようザマス?」


「な、何だと……? そんなもの、我が王家の予算に決まっているだろう!」


「いいえ、違うザマス。王家の予算は、殿下の無駄遣いのせいで半年前から底を突いているザマス。今、殿下が使っているのは、私が実家のザーマス商会で稼ぎ出し、殿下の口座に『無利子・無担保』で融資していた私のお金ザマスよ」


王太子の顔から、すうっと血の気が引いていくのが分かるザマス。


「というわけで、婚約が破棄された以上、他人の殿下にこれ以上融資を続ける義理はないザマス。今この瞬間をもちまして、殿下の口座、および殿下が裏で保証人にしていた王宮の特定口座を()()()()()()()()()()させてもらったザマス。明日からの決済、すべて不渡りになるザマスから、覚悟なさることザマスね。それでは、ごきげんようザマス」


呆然と立ち尽くすバカ王太子を置き去りにして、私はドレスの裾を翻し、優雅に夜会会場を後にしたザマス。


帰りの馬車の中、私は一人で今後の資産運用の計画を練っていたザマス。そこへ――。

コツコツ、と馬車の窓が叩かれたザマス。

走行中の馬車の窓を叩く不届き者がどこにいるザマス、と窓を開けると、そこには信じられないことに、漆黒の髪をした見慣れない少年が片手で馬車にしがみついていたザマス。見た目は12、3歳といったところザマスが、その瞳には不敵な光が宿っているザマス。


「おい、ザマス女。ちょっと中に入れろよ」


「……随分と口の悪い不審者ザマスね。警察を呼ぶマスよ?」


「いいから入れろって!」


少年は身軽に馬車の中へと滑り込んできたザマス。そして、私の正面のシートにドカリと座ると、生意気に足を組んだザマス。


「初めまして、ルーナレシア。俺は隣国の第二王子、レオニードだ。……おい、あのバカ王太子にフラれたんだって? ちょうどいい、俺の国に来い」


「……は? 隣国の第二王子殿下が、なぜこのような密入国まがいの真似を……」


「あの無能王太子がお前を捨てるタイミングを、ずっと狙ってたんだよ。お前の経済手腕は、隣国ウチでも有名だ。ウチの国に来て国家予算の管理をしてくれ。お前ならウチの国家予算を3倍にできる。あ、ついでに俺の将来の正妃の座も空けておいてやったからな」


ショタのくせに、なんという不遜で傲慢なプロポーズ(?)ザマス!

しかし、彼の差し出してきた契約書(兼・婚約内定書)に目を通すと、破格の待遇、完璧な税制優遇、そして私のザマス口調に対する一切の文句なし、という素晴らしい条件だったザマス。


「ふん……口は悪いザマスが、人を見る目だけはあるようザマスね。いいでしょう、そのお誘い、乗ってあげるザマス!」





それから二週間後。

我がザーマス公爵家に、信じられないほどの爆音が響き渡ったザマス。


「ルーナレシア! 出てこいルーナレシアぁぁぁ!」


門を破って敷地に押し寄せてきたのは、かつての婚約者、バカ王太子だったザマス。彼の後ろには、数人のやつれた騎士たちが付き従っているザマスが、王太子自身の衣服はヨレヨレで、かつての煌びやかさは微塵もないザマス。


「あら、見苦しいザマスね。我が家に何の用ザマス?」


私が玄関先で優雅に紅茶を飲んでいると、王太子は血走った目で私を指差したザマス。


「お前が口座を止めたせいで、城の機能が完全にストップした! 各国からの商人が怒鳴り込みに来て、兵士たちの給料も払えない! 今すぐあの凍結を解除して、また金を融資しろ! 頼んでやっているんだ!」


「断るザマス。私はもう、この国の人間ではないザマスから」


「何だと!?」


そこへ、私の後ろからトコトコと歩いてきたレオニード殿下(ショタ王子)が、王太子の前に立ちはだかったザマス。


「おいおい、人の婚約者(予定)に何すんだよ、この無能」


「な、なんだそのガキは!」


「ガキだと? 俺は隣国の第二王子、レオニードだ。お前が放り出したルーナレシアの経済手腕のおかげで、ウチの国はたった二週間で流通の関税を半分にして、莫大な利益を上げている。逆に、お前の国は彼女一人が抜けただけで破産寸前だ。……なぁ、帳簿の付け方も分からないバカが、よく一国の王太子なんてやってられたな? 脳みその代わりに消しゴムでも詰まってんのか?」


「くっ、口の悪いガキめ……!」


「事実を言ったまでだ。言っておくが、ルーナレシアの実家であるザーマス公爵家は、すでに我が国への移住手続きを完了している。この国にある彼らの資産も、すべてウチの銀行に移動済みだ。お前たちに貸し付けている莫大な借金、明日までに一括返済してもらおうか? 払えないなら、その直轄領、ウチの国が没収するけどな」


「な、なんだと……!? そんなことになったら、私は父上(国王)に廃嫡されてしまう!」


王太子はその場に崩れ落ち、頭を抱えてガタガタと震え出したザマス。

隣にいた男爵令嬢も、王太子がただの文無しだと知るや否や、彼を置いて一目散に逃げ出していったザマス。実に見事な「ざまぁ」ザマスね!




その後、王太子は莫大な債務の責任を問われ、当然のように廃嫡。鉱山での強制労働(帳簿係)へと追放されたザマス。国自体も、我がザーマス商会と隣国の経済的圧力の前に、事実上の従属国となったザマス。

一方、私はというと――。


「おい、ルーナ。今日の市場のレポートだ。目を通しておけよ」


隣国の豪華なオフィスで、レオニード殿下が書類を投げてよこすザマス。口の悪さは相変わらずザマスが、彼は誰よりも私の能力を信頼し、最高の環境を用意してくれたザマス。 


「ふふ、手際が良いザマスね、レオ殿下。これなら来期は予算を4倍にできそうザマス」


「はん、お前ならやると思ってたよ。……早く大人になって、お前を本当の妻にするのが楽しみだ」


ふいにつぶやかれた、ショタらしからぬ真剣な言葉に、ほんの少しだけ胸が高鳴るのを感じたザマス。


「……生意気言うのは、10年早いザマス。さあ、新天地でがっぽり稼がせてもらうザマスよ!」


私は青空に向かって、いつものように優雅に、そして高らかに笑声を響かせたザマス。

ご視聴いただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
イロイロ横に置いといて、常識的に立場等考えるとザマス口調はありえないかな。
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