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追放されたので世界の仕様書を読むことにした  作者: harap1239


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第四話 後ろで書くやつと、前で騒ぐやつ

 結論から言うと、リナはうるさい。

静かな森でも、彼女が一緒だと不思議と空気が騒がしくなる。


「ねえアルト、これ本当に安全ルート?

 草の揺れ方、ちょっと怪しくない?」



 結論から言うと、リナはうるさい。

静かな森でも、彼女が一緒だと不思議と空気が騒がしくなる。


「ねえアルト、これ本当に安全ルート?

 草の揺れ方、ちょっと怪しくない?」


「怪しくない。

 この時間帯、風速二。気温は安定。

 魔物の活動指数は低い」


 森の中を進みながら、俺はノートを開いたまま淡々と答える。

視界には、いつもの半透明の表示が浮かんでいた。


【周辺環境:安定】

【魔物出現確率:低】

【注意点:なし】


 問題ない。

少なくとも、数値上は。


「ねえ」


「今度は何だ」


「“注意点:なし”って、逆に怖くない?」


 リナが、歩調を緩めて言った。

軽口だが、足は止めている。


 その瞬間、表示が切り替わった。


【未記録イベント:発生】

【内容:擬態型魔物】

【危険度:低 → 中】


「来るぞ。左後ろ」


「はいはい!」


 返事と同時に、リナが跳ぶ。

反応が速い。判断も早い。


 地面が、盛り上がった。

湿った土が割れ、ぬるりと黒い影が飛び出す。


「うわ、見た目最悪!」


「擬態型だ。

 表皮は硬いが、中は柔らかい。

 首元と関節を狙え」


「了解!」


 リナは迷わず踏み込み、短剣を振るう。

俺は後方で、一歩も動かない。


 戦えない。

だからこそ、見る。


【魔物名:擬態蟲】

【弱点:関節部】

【行動パターン:直線突進】


「次、右から来る!」


「もう見えてる!」


 言いながら、リナが回り込む。

刃が閃き、鈍い音と共に魔物が崩れ落ちた。


 数秒。

短く、無駄のない戦闘。


「ふー……」


 リナが肩を回し、こっちを振り返る。


「ねえアルト」


「なんだ」


「これ、楽じゃない?」


「どこがだ」


「だってさ」


 彼女は短剣をしまい、笑う。


「来るの分かってて、

 弱点も分かってて、

 しかも後ろで冷静に指示されるんだよ?」


 ……確かに。


 視界の端で、ログが更新されていた。


【連携補正:発生】

【記録精度:上昇】

【備考:戦闘時の実況は有効】


「実況扱いか」


「最高でしょ。

 戦わないのに一番仕事してる」


「それ、褒め方おかしい」


「褒めてる褒めてる」


 リナは楽しそうに笑った。

このテンション、嫌でも場を明るくする。

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