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追放されたので世界の仕様書を読むことにした  作者: harap1239


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第十一話 判断が先に出る


 転んだ護衛は、すぐには起き上がらなかった。


「おい、大丈夫か!」


 仲間が駆け寄る。

 だが、地面に伏せた男は呻き声を上げるだけで、手足がうまく動いていない。


「足、ひねったか?」


「……分からん」


 震える声。

 焦りが、そのまま伝わってくる。



 転んだ護衛は、すぐには起き上がらなかった。


「おい、大丈夫か!」


 仲間が駆け寄る。

 だが、地面に伏せた男は呻き声を上げるだけで、手足がうまく動いていない。


「足、ひねったか?」


「……分からん」


 震える声。

 焦りが、そのまま伝わってくる。


 俺は、反射的に表示を探した。


 ――出ない。


 成功率も、生存率も、何も。


 代わりに浮かぶのは、曖昧な警告だけだ。


【因果未確定】

【次事象:不明】


「アルト」


 リナが、俺の横に並ぶ。


「どう見る?」


 いつもなら、答えは数字だ。

 だが今は、違う。


 地面。

 風の流れ。

 馬の様子。


 荷馬車の前に立つ馬が、小さく鼻を鳴らしている。

 落ち着かない。

 だが、暴れてはいない。


「……止まるな」


「え?」


「全員、馬車から離れろ」


 言葉が、口から先に出た。


 護衛たちが戸惑う。


「理由は?」


「今は説明できない」


 それでも、声は強めた。


「離れろ」


 一瞬の迷い。

 だが、リナが動いた。


「聞いて。

 この人、今まで外したことない」


 それが決め手だった。


 護衛たちが、男を引きずるようにして距離を取る。

 次の瞬間。


 ――地面が、沈んだ。


 音はない。

 だが、確かにそこだけ、空気が歪む。


 さっきまで荷馬車があった場所が、わずかに陥没していた。


「……なんだ、今の」


 商人が、青い顔で呟く。


 俺の背中に、冷たい汗が流れる。


 理由は分からない。

 だが、分かることが一つある。


 あそこにいたら、誰か死んでた。


 表示が、遅れて浮かぶ。


【結果:回避】

【評価:不完全】


「不完全?」


 思わず声に出る。


 リナが苦笑した。


「完璧じゃないって意味でしょ」


「……そうだな」


 護衛の一人が、俺を見る。


「今の、どうやって分かった」


 どう答えるべきか、一瞬迷う。


「分からない」


 正直に言った。


「だが、分からない時ほど、止まるべきだ」


 沈黙。

 だが、誰も反論しなかった。


 護衛の男が、苦しそうに息を吐く。


「助かった……のか?」


「ああ」


 少なくとも、今は。


 俺は空を見る。

 雲の流れが、不自然に途切れている。


 数字がなくても、

 世界は、確実に動いている。


 そして――


 この先は、

 見てから選ぶんじゃ、間に合わない。


【判断主体:更新】

【観測→選択:移行中】

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