パン屋のパンの売れ行き配信
社会人5年目のわたしは現在離職中の身だ。
あまりの無能っぷりで職場に居づらくなり短期離職を繰り返し、仕事をすることがこわくなってきた。
そんなわたしは無職にも関わらずお気楽にも、ユーチューブで動画を漁っている。
あろうことか、薬局で購入したMINTIA(フレッシュピーチ味)を3粒もいっきに口の中に放り込んだ。
なんかもう仕事のこととか忘れてゆるゆる過ごしたいのだ。
平日の真っ昼間から無職の女がフレッシュピーチの香りのする甘ったるい息を吐いてくつろいでいることに罪悪感を感じながら、ユーチューブを漁る。
そしてパン屋のパンの売れ行きライブ配信を発見した。
客の手元と売り場のパンのみ映っている。ずらっと並んだ客たちがトングでパンを掴みトレーに次々と乗せてゆく。パンは飛ぶように売れて、店員により素晴らしいタイミングでパンは補充される。その繰り返し。
クイニーアマンが人気のようだ。
無心で眺めているとふと、高校生時代パン屋でバイトしていた記憶が蘇ってきた。当時は学生という身分に甘んじ仕事ができなくても「学生の本業は勉学なんで」とケロッとしているようなクソガキだった。
特にレジで、客が持ってきたトレーの上のパンをトングで掴み袋詰めする作業はかなり苦手であった。一度、お着物を着込んだ優雅なマダムの客の「あんた、ほんまスピード遅いなあ」とでも言いたげな刺すような視線に緊張して握力2000でトング越しに塩パンを掴んでしまい、塩パンをぐにゃりと無惨に変形させてしまった。にこやかな客は「ご丁寧にありがとお」と言ってお会計を済ましてから、別の店員にパンを交換させていた。
当時の、みじめでこっ恥ずかしい感情がぶり返し叫びたくなる衝動を堪えた。
しかし思わず「ぐうおん」と喉が唸った。
いてもたってもいられず、わたしはXにパン屋バイトの失態をポストした。文章にするとスッキリした。カラダの力が抜けて笑けてきた。なんかもうこんなかんじでいいのかもしれない。仕事でやらかしたエピソードを文章にして見返して、数年後「なにやってんだ、あの時のわたし!」って笑えたらそれでいい気がしてきた。
のろりと指を動かしスマホを操作して求人サイトから届いたメールを開く。まずは情報収集だ。
人生をネタに昇華してやるというハングリー精神を大事にしてこう。




