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望んだもの

転がった体勢から慌てて起き上がり視線を上げると、護衛と思われる黒髪の男と目が合った。


山田のグレーの毛が逆立ち、全身からブワッと汗がわき出た。

緊張で身を固くした山田は、微動だにしなかった。


護衛の男は山田を見て少し怪訝そうに目を細め、屈んで無造作に山田を摘んだ。

「ーーー。」

ズボっ


男は何かをボソッと呟き、山田を上着の右ポケットに突っ込んだ。

(え…)


そして山田はそのまま入城することになった。


(まじかぁ…何も見えない。かろうじて話し声はするけど、言葉が分からないんじゃ意味ないしな…まぁいいか。)


暗いポケットの中は微かに薬草のような香りがして、一定のテンポで揺られるのが心地よかった。


どれほど時間がたったか分からないが、大きな扉が開かれるような音がして山田はハッと意識を外に集中させた。

たくさんの人の気配と、僅かに日本語が聞こえる。

どうやら初めに一緒だった若者達と合流したようだ。


「ーーー。」

ローブお爺さんの声がする。

「ここからは私が代表してお話いたします。」

(護衛さんの言葉がわかるようになった!)

どうやらお爺さんがまたあの魔法を使ったらしい。

「ーーー。」

「あなた方は死ぬ前に願った能力を手に入れていると伝えられています。文献では、およそ100年前に訪れた異世界人は、容姿さえも生前とは異なる姿に生まれ変わっている者もいたそうです。」


(俺は毛玉になりたいと思っていた…?!そんな覚えないけど?!!)


信じがたいことではあるが、コレが望んだ姿らしい。

初めにいた若者たちがやけにカラフルな髪色だったのはアニメやラノベの影響か。


「能力の確認は後日致します。本日は、名前と生前の性別や年齢の確認と、城内の規律の説明や案内を行います。では、まずはそちらのかたから名前、性別、年齢の順でお願いします。」


「日向明子、女性、38歳です…。」

「佐藤しお、男、26歳。」

「山本清、男、41歳。」

「ーーーー。」

(意外と年齢層は高めなんだな…というか、偽名を名乗ってるやつがいるな。)


山田もたまに読んでいたライトノベルで、真名を名乗ってはいけないという設定の作品があった。


(俺も気をつけよう。というか俺は毛玉だけど話せるのかな?)


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