表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

魔法ありの世界



はためく裾から解放されたのは、馬車に乗り込んだ後だった。


どうやらさっきの若者達と、このお爺さんは別の馬車に乗り込んだらしい。

お爺さんが椅子に座ったタイミングで山田は、短い足をバタつかせて馬車の床面になんとか降りた。


板張りの床には薄いカーペットのようなものが敷いており、小さな山田はお爺さんの座っている椅子と入ってきた扉の隙間に入ってやり過ごすことに決め、腰を下ろした。


「それにしても、今回の者達は皆面妖な容姿をしておりましたな」

「ーーーーー。」

「やはり時代の流れでしょうかな。」

「ーー。」


お爺さんの言葉は分かるが、お爺さんと話している他のローブの人の言葉は分からない。

お爺さんの言葉は日本語に聞こえるが、日本語を話しているということではなさそうだ。

「あぁ、ワシとしたことが…言語魔法をかけたままじゃったわ」

お爺さんがそう言って、空中に何かを描くようにして指を振ると、お爺さんの話す言葉の意味も分からなくなった。

(すごい!!魔法がある世界線だ!俺毛玉だけど!!)


「ーーー。」

お爺さんの言葉も分からなくなってしまった。

言葉は分からないなりに彼らを観察していると、何となく階級のようなものがあるのが服装や話す雰囲気から感じられた。

一緒の馬車にいるのはローブお爺さん、おかっぱローブ、刺繍のある軍服のような服を着た帯剣した男の人、豪奢な短いマントをつけた20代〜30代くらいの男の人だ。

(お爺さんよりマントの人の方が偉い人っぽいな。何となく。帯剣してる人は護衛かな。)


マント男は暗い茶髪に近い金髪で、鼻が高く、深い緑の目をしている。お爺さんと話す言葉は分からないが、気品が伝わってくる。そして落ち着いた話し方と静かな目が、上に立つ者オーラを醸し出している。

(よし、降りるときはこの人に引っ付いていこう。)


山田はマント男に目をつけた。


ガタンっと大きく馬車が揺れた。どうやらお城に到着したようだ。

その衝撃で小さな山田はコロコロと転がり、全身ホコリまみれになってひと回り大きな毛玉になった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ