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異世界転生

初めて書きました。生活の息抜きに書いています。

拙いので、何でも許せる人だけ読んでみてくださいね!

生きるのが辛い。毎日が辛い、生きていても良いことがない。だから、ずっと、ずっと眠っていたい。


眠ると夢を見た。目が覚めてから何度寝ても、続きが見れる不思議な夢だった。


夢の中で山田は、饅頭の空き箱の中で小さな小さな子猫を可愛がって愛でていた。

それは、猫というには小さすぎる、山田の人差し指くらいの体長の毛玉だった。夢だからなのか、山田はそれを不思議と『猫』だと思って、大事に大事に育てていた。

饅頭の空き箱の中で。


ティッシュを細かく細かく裂いて箱の底に敷き詰め、綿で小さなベッドを作り、指の先でふわふわとした濃いグレーの毛を撫でるのだ。毎日毎日夢の中で。

その猫は、頭と体の境目も分からない毛虫のような体に、小さな三角の耳とビーズのような黒い円な瞳で、手足は見えもしないほど短かった。

それでも山田はこの「猫」に癒しを求めて、毎日毎日眠りについた。


あるとき、眠ってすぐに目が覚めた。

意識が眠りに落ちたと感じた途端、深い水中から引き上げられるかのように覚醒させられた。

目を開けると、見えた景色は実家の自室のくすんだ白い天井ではなく、遺跡のような石造りの天井が、揺れる炎の灯りで照らされていた。


びっくりして跳び上がるように起きると、寝ていた場所も自室のせんべい布団ではなく、石造りの地面だった。

「うわっ!」

「ここ、どこ…」

「きゃぁぁ!!!」

山田は驚きすぎて声もでなかったが、周囲から驚きの声があがり、他にも人がいることに気がついた。

辺りの様子を観察すると、古い神殿のような、海外の世界遺産だとテレビで紹介されるのを観たことがあるような、石の建造物が松明の灯りで照らされている。絨毯もなく剥き出しの石が無骨だが、神殿のような雰囲気がある部屋だった。

金髪や水色、黒などの色とりどりの髪色の若者達が、自分と同じように動揺した様子で、周囲を伺うように見渡したり、事情を知っていそうな"ここ"の人物らしき、白いローブの人を問い詰めたりしていた。


広くなにもない部屋に、自分と同じ状況らしき人が9人いるのに対し、ローブの人が7人。

他にもよく見ると、ローブの人の数歩後ろに、刺繍や装飾が豪華なマントをつけた人が3人くらい。


『ーーーーーー!』

問い詰められている茶髪のおかっぱ頭のローブの人が何か答えるが、言葉が違うようで何を言っているか分からない。

白いローブの人の中で、一番豪華な銀の刺繍が入ったローブを着た年嵩の男が話し始めた。少し長めの髪を低い位置で結んだイケオジだ。


あれ?みんなデカくない?

巨人じゃない?


「ようこそいらっしゃいました。皆様は死んでここに来られました。しかし、ここは天国や地獄というものではありません。別の世界というような形で考えていただくと分かりやすいかと思います。」


言語は違うが、日本語も話せるらしい。彫りの深い顔から流暢な日本語がでてくるから違和感があるが、助かった。

わけのわからない場所でパニックになったが、言葉が伝わるだけで安心した。

異国というか異世界だったのには驚いた。それに、自分が死んだことを伝えられた事実に驚きすぎてまだ声は出ない。


「あなた方は神に選ばれました。私達の世界は今、危機に陥っています。死を越えたあなた方には特別な力がある。すでにお気づきの方もいるかと思いますが、その力で私達の世界を救ってほしいのです。」


特別な力?なにも感じないけど…

山田は自分の手を見たが、手がない。

!?!?

手というか、視界に見える自分の体がふわふわの毛だった。黒に近い濃いグレーのふわふわが、驚く山田の動きのままに視界で揺れる。

手、というか四足歩行の足はあるようだが、人ではない。全身を見ることができないが、人ではない!!!


山田が動揺してくるくると回りながら自分を確認している中でも話は続いていた。

「この世界には悪魔とよばれる存在がーーー。」

山田はそれどころではないので、話を聞いていなかった。


豪奢なマントを羽織った壮年の男が前に出た。

「ーーーーーー。」

「協力するものは我が城で歓待する。しない者も、ひとまずは我が城に参れと仰せです。」

ローブのお爺さんが通訳をしてくれているが、山田はまだそれどころではない。

「ではこちらへ、馬車を用意しております。少し時間がかかりますが、我々の国については道中に詳しく説明いたします。」

まだそれどころではないのに、皆移動を始めてしまった。

山田は小さな足を必死に動かし、ついていこうとした。

しかし追いていかれそうになり、必死にジャンプをして、一番歩くのがゆっくりだったローブのお爺さんの長い服の裾にしがみついた。



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