【承】等価交換
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
創作部。のあの子。
連載ではもう少し膨らませたい一幕。
でも難しい。訳分からん。
不可思議な書生服の男に促されるままに、私は対極に着いた。あのまま無視を決め込んでも、勝手に話を続けそうだし、逃げ出しても何食わぬ顔で後を着いて来そうなので、これは苦渋の決断である。
彼は話し相手を欲していそうだったが、何を離せば良いのだろう。特徴的過ぎる長い前髪や鋭い犬歯に付いて突っ込めば、口減らしとして潰されそう。だったら。
「あの……それ……何か書かれているのですか?」
私は彼から視線を逸らし、散らばった原稿用紙に目を向けた。今どき何か提出する時でも紙とペンは殆ど使わない。大抵はスマホやパソコンで文字を打って提出する。だから気になる。物凄く。機械を用いない人が、何を書くのか。
「そう、小説。怪奇とか、純文学とか色々。其れにレトロな喫茶店で仕事するなら、原稿用紙とペンの方が雰囲気上がるだろ?」
そう言って、唯一露出してある口元を上げて笑った。相変わらず大きめの犬歯が唇からはみ出しているが、其れは気遣わなくて良いのだろうか?
戸惑う私を他所に、彼はご機嫌だった。筆が乗ってきた様で、原稿用紙にスルスルと万年筆を滑らせる。
「私も短編を書いているのですけど、貴方の様に行き詰まって居たんです」
「何処で?」
彼の指が止まる。殆ど顔の見えない彼の表情が、真顔に引き結ばれた気がした。その緊迫した空気に思わず域を呑む。
「強いて言うならば起承転結の転」
「他の構成は決まってる?」
「まだ何も」
「じゃあ登場人物」
「本当に何も決まってないんです。何も……」
笑うだろうか? こんな一文字も書いてない輩を。行き詰まるも何も、開始前から行き詰まっている私を。しかし彼は口を真一文字に引き結び、また万年筆でぐりぐりと米神を弄った。其れから思い立った様に、万年筆の切っ先を私に向ける。
「じゃあ今の事。今の事をお書きよ。不思議な人に出会って、不思議な事が起こって、普通に戻る話」
「は?」
「僕のこと、好きに扱って良いって事。何、作家仲間の好みだよ。安心して良いよ。僕も君を好きな様に使うから。勝手に登場させるから」
まず、私が難しいと叫んでいるポイント。
此処の純喫茶に標準定めてるところを見ても、君、絶対何度か来てるでしょ? じゃないとすぐ浮かばないよ。
そして書生が純喫茶に逃げ出すのは何時もの事。
だから何処かで見掛けてるでしょ? この格好の男、目立つから忘れないでしょ?
ちょっとそこもう一度考えたい。
※無理なら『運命』に縋ろう( •︠-•︡ )
冷静に考えてみたら、この子、社会人。
つまり、土日にしか行けない。
書生は作家で土日は混むから、平日メインで訪れたって事なのか( •︠-•︡ )
あと君、物書きだと分かっても、『自分も物書くんです』とかいう魂か?
あーでも、作家魂が兄さんに寄って来たら、使えるもの何でも使うタイプか……。
其れが自分の個人情報でも、名前も知らない赤の他人でも。
此処の整合性どうしよう。という叫び。
長編ね、こういうところが難しいんですよ。
よくよく見ていくと、凄く引っ掛かる。
推理小説の様な矛盾がある。