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26話 剣と竜



 素材の喪失という痛い経験を味わった僕だけど、試行錯誤の末に鍛冶の腕前を順調にあげてゆく。


「おに……ルーンちゃん、【鉄のハンマー】、便利?」

「うむ、くるしゅうない」


 鍛冶失敗の醜態をさらした僕に、芽瑠が【鉄のハンマー】といった純粋な生産工具をくれたこともあり、3度目にもなれば【月光ナイフ】をしっかり作れるようになっていた。

【鉄のハンマー】は【巨人の金槌(かなづち)】と比べて、手元にすっぽり収まるサイズだ。いわゆる普通のハンマーだけど、とても扱いやすい。



:めるめるがお姉ちゃんしてるなww

:鍛冶をひたむきに頑張る幼い妹に、姉がそっと甲斐甲斐しくサポートする

:うんうん、癒される光景だわ

:いやいやちょっと待て。俺はあんな真っ白な短剣を見たことないんだが?

:あれってなんて短剣を作ってるんだ?

:わからん。可愛ければそれでいい


 鍛造にも慣れたので、【月光ナイフ】よりも形を整える範囲が2倍も多い剣に挑戦だ!

 4つの【月光呪の白石】インゴットを炉に入れれば、一本の延べ棒に変化する。


「まず初打ちは、範囲に定評のある【巨人の金槌】で軽く打ち込み——」



 ゴツン、コツン、と鈍い音は鳴り響くけど、実際は繊細なガラス細工を扱うようにインゴットの形を大幅に整える。

 試してみてわかったのは、【巨人の金槌】は広範囲を一気に変形させたい時に用いると良い。そう、命値(いのち)信仰(MP)の温存には有効なのだ。

 その分、細かい箇所を打つのは非常に不向きだ。


「ゆえに【鉄のハンマー】に持ち替え、こちらで本格的に調整を施してやれば——」


 先ほどよりはやや強めに打つ。

【鍛造】の際はハンマーの持つ【鍛錬値】と、ステータス力によって金属の変形の度合いが大きく変わる。それに加えて炉の熱量も関係している。


 ちなみにハンマーが持つ共鳴率とは、ジャストな形に近い打ち込みをすると、一定の確率でドンピシャ形成を実現するラッキーパンチ率って感じだ。


 そして鉄を打つ度に、命値(HP)ではなく信仰(MP)が1削れるターンを引き当てると、僕にとっては有利に働く。なにせ大きく凹みすぎない限りは35回も打ち直しが利くのだから、必然的になかなか良い形に仕上げる域に達する。

 これだけチャンスがあれば整えられるさ。



:すっかり集中しきっているルンちゃん

:きっと配信してるなんて忘れてるぞ

:さっきからほぼ無言か独り言だもんなw


:す、すげえ……

:何がだよ

:ルンちゃんが鉄を打つたびに……ぷるるるるるんって

:ああ。まさに国宝だよなぷるるん

:すごい、今度は激しいぞ! 小刻みに揺れてる!

:くううううう、ルンちゃんが刻んでくるううううう

:まじで無言配信でも一生見てられるわ

:これが見るASMRか

:やばい迫力だな(胸が)

:ほんとに小学生か疑いたくなるサイズだ

:いや待て待て。普通に剣の方も見てみろよ

:なんかやばくね?



「ふううううー……見事に打ち終えたぞ」


 そうして僕は出来上がった剣を誇らしく掲げる。

 白く透き通る刃先は不気味に光り、その鋭さを如実に物語っている。名前に月光を冠す剣は、静かな光を帯び、何かを魅了する呪いが込められているような気がした。



————————————

【月光呪の剣 ★★☆】〈レア度:U〉

〈タイプ:片手剣〉

〈必要ステータス:力5 色力(いりょく)3〉

〈ステータス補正:力+4 色力(いりょく)+2〉


〈★……力+1〉

〈★★……【月光呪(げっこうじゅ)】の力が宿る。

天候:月夜の場合、斬りつけた対象に【白染め】を付与する。

【白染め】……1分間、対象が発動する色付きの(ぞくせい)武技、魔法、奇跡のダメージを1%~5%低減させる。この効果は重複する〉

〈★★★……信仰(MP)+3〉

————————————



「これは……なかなか面白い武器、であるな……?」


 思わず口元がゆるんでしまう。

 初めて剣を作ったにしてはなかなかの快挙を為し遂げたと思うし、自分で作ったっていうのが妙な達成感と愛着がわく。


 というのも★2の出来栄えは初だったからだ。 

【月光ナイフ】作りでインゴットの柔さをだいたい把握できたからってのもあるけど、剣を作る時はインゴットもできるだけいい物にしたくて★2インゴットを素材に使っていた。

 その辺も関係しているのかもしれない。


「状態異常【白染め】の付与か……重複するなら二刀流などで何回も切りつけ、相手の攻撃色力(いりょく)をどんどん弱体できよう」


 天候:月夜でないと発動しない効果とはいえ、なかなかにいい効果だと思う。

 さて、そうとなれば★3武器を作って信仰(MP)+3のボーナスも保持する【月光呪の剣】を作り出すぞ!


 僕は気合を入れて巨大なハンマーを握りしめた。

 しかし、そんな決意は芽瑠の制止によって阻まれてしまう。



「卵、動いてる、ひびわれ、るーん……!」

「ほう……!?」


 見れば、確かに炉の熱にあてられた【白銀種の卵】にピキピキと亀裂が走ってるじゃないか。


:ルンちゃんが鍛えた剣って性能なんぼぐらいなんだろ?

:見たことないし、信じられないぐらい綺麗な剣だよな

:刀身が澄んでるっていうか

:いやお前らwwwそんなことより卵だろww

:何が生まれるんだろ

:何気に新発見じゃないか?


:あんなサイズの卵をテイムしてる転生人(プレイヤー)っていなそう

:なんかめるめるとルンちゃんって謎が多いよなw

:だがそこがいいww

:おい、生まれるぞ!?

:ん、あれって……

:ドラゴンの子供に見えないか?

:銀色の、幼竜……!?



「ぴっきいいいいい……!」


 卵の殻を破って出てきたのは白銀の幼竜だった。

 くりくりの目を僕に向けて、小さな両翼を精一杯に広げる姿はとても可愛らしかった。しかも尻尾の先端が剣みたいな形になっていて、ちょっとかっこいい。


 んんん、剣を生もうとしたらなぜか竜も生まれました。



「可愛いは……驚きの連続である」






※現在 最強クラスの片手剣


————————————

【ゴブリン将軍(ジェネラル)の石剣☆☆☆ 】〈レア度:E〉

〈タイプ:片手剣〉

〈必要ステータス:力8〉

〈ステータス補正:力+5 命値+1〉

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