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人間はいつか死ぬのだから

作者: 雲野曜平

段々と近くの物が見えなくなってきた。

階段を上るだけで息が切れる。

身体のあちこちが痛み、時々胸が苦しい。

そうだ、僕は死に向かって進んでいる。


サチ、君がユイナをかばって、死んでしまったとき、

僕はひとりで酒を飲んでだらだらしていた。

サチ、葬儀では、一人娘をかばって亡くなった君に

「子供が助かったのだから、自分の命が失われても悔いはないはずです」

と言ったけど、本当はずっと後悔していると思っている。

だってたった6歳の子供を置いて死ぬなんて、悔やまないはずはないじゃないか。


僕も後悔している。

ずっと後悔している。

どうして君の代わりに僕がユイナをかばって死ななかったんだろうと。

人間はいつか死ぬのだから。

せめて僕が死にたかった。

サチ、君とユイナには僕が死んだ後までずっと生きていて欲しかった。

人間はいつか死ぬのだけれど。

それでも君が死ぬのは僕よりもずっと先だと思っていた。

人間はいつか死ぬのだったら。

僕が君の代わりに死にたかった。

サチ、僕もいずれか君の所へ行く。

人間はいつか死ぬのだから。

ただ、その時、君にユイナがどんなに成長したのかを話したい。

だから、その時まで待っていて欲しい。

人間はいつか死ぬのだけれど。

僕はユイナが大人になるまでの二十年近く生き続けなければいけなくなった。

でも、ユイナが大人になった後に、いつかは君と君のママがいるそこまで行こう。

人間はいつか死ぬのだから。

もう少しだけ僕に時間が欲しい。

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