第二章「王都ヨキフ」 23.2話
今夜最後の投稿です。22.4話23.1話をお読みで無い方はそちらからどうぞ。
15層まで確認して地上に戻ると昼を過ぎていたので魔窟から王都に通じる道沿いの食堂で遅めの昼食にした。
僕等のように腹を減らした探究者の飛び込みが目当ての店で、はっきり云って不味い。
『二人で昼食を持ち込めば20層突破は直ぐだな』
等と話しながらさっさと済ませて店を出た。
*
「王子様達はもう着いたかな?」
「夕方って聞いたからもう近くまでは来ていると思うけど」
領都の大門方向にぶらぶら歩いていると『どぅお。』と御者の掛け声と共に豪華な6頭立ての箱馬車が僕等の横に停まった。
「フィンリー、奇遇ね」
箱馬車の窓からナタシア様が身を乗り出して声を掛けて来た。
その奥には微笑んで手を振るマーカス様の姿も見える。
「マーカス様、ナタシア様、ご機嫌宜しく。」
パーティの席でも明らかだったがナタシア様はジアン系でも特別な美少女だ。
でも僕の好みはカテリナなので関係ない……と思った瞬間、胸の奥がドクンっと脈打った。同時に聡の記憶が脳裏に蘇る。
『三◇のリ△ウス』僕にしか分からない聡の世界の言葉がメロディーに乗って流れ、黒髪の少女が講義室の教壇らしいところで挨拶している画が浮かび上がった。
確かに似ている。ナタシア様の方が背が高くて手足も長いが顔や雰囲気はそっくりだ。
強いて言えばお姫様の方が少しだけ顔がシャープな感じかも知れない。
まだ胸がドキドキしている。
『こら、静まれ!』聡の琴線に触れてしまったようで収まらない。
そうかこの手が好みだったのか。
そう云えばジアン系は聡の種族と見た目が近い。
これに引きずられたら大変だ、気を付けないと。
「その姿は魔窟帰りかしら。お隣にいるのはどなた?」
「私の幼馴染でカテリナと申しまして、領主館に行儀見習いに来ております。お二人の魔窟探究の案内役になりますので、魔窟で問題が無いか確認をしてきたところです」
「マーカス様、ナタシア様、初めまして」
アテメア流のカーテシーがなかなか様になっている。
「こちらこそよろしく、馬車の中なので正式な挨拶は後でね。フィンリーは私たちの友人だから貴女も四人だけの時は変に気を使わないようにしてね」
「…………」
ほらほら、やっぱり早速こんな話が。
「まあいいわ、それは追々。そんな事よりもフィンリーの幼馴染と聞いてはねぇ……聴きたい事がいっぱいあるわ。今夜私の部屋に来れるかしら」
「大丈夫だと思います」
「それでは待っていますね」
「ナタシア、皆さんがお持ちだ。先を急ごう。フィンリー、カテリナ、また後ほど!」
「「はい」」
「どうだい、僕が言った通り変わってるだろう」
「うん、そうだね。でも嫌いじゃないよ。フィンリーもそうだよね」
あぁ、確かに人柄は嫌いじゃない。
マーカス様もナタシア様も個人的な友人としては最高だと思うけど、『勘弁』の二文字が頭から消えないんだよぉ。
お読みいただきありがとうございました。明日もよろしくお願いします。
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