第二章「王都ヨキフ」 22.1話
本日最後の投稿です。今日もよろしくお願いします。
「ガリバルディ様は辺境伯様と打ち合わせ中でございまして……」
領主館の玄関でガリバルディ男爵への面会を申し込んで待っていた僕にメイドさんから声が掛かった。
「あ、それなら改めて伺いますので」
「いえ、領主様がご自分も会われるので少々お待ち願いたいと」
あらぁ、そうなんですか。
「承知しました」
「では、こちらにどうぞ」
応接室に通され暫く待つ。
「おお、久しぶりだなフィンリー」
「はい、ご無沙汰しました」
「武闘会の話は伝え聞いておるが、やはり本人から聞きたくてな。ガリバルディも楽しみにしておるぞ」
僕は学院闘技会の初戦から決勝まで、トケアまでの道中、四王国武闘会前マーカス様とのやり取り、ザマアの様子から優勝までの件、その間のジェリナ様の活躍、そしてパナルに辿り着くまでの皆の悲惨な状況、その一部始終を辺境伯様の催促で休む間もなく話し続ける事になった。
お二人はその端緒ごとに身を乗り出し、話の区切りには目線が催促を告げていた。
「そう云えば、ガリバルディ。アルテの王子様王女様が来られると聞いたが」
「はい、昨夜王都から報告が届きまして。辺境伯様へのご挨拶においでになるとの事です」
「フィンリー、先程の話ではマーカス王子とは面識があるのだな」
「はい」
「それは好都合だ。フィンリー、お二人の対応を頼みたい」
「はあ?」
「何だ、乗り気で無いのか。そうだ、確かベルナード領から行儀見習いが来ていたな、ガリバルディ」
「はい、妻が躾を看ております」
「フィンリー、その者と二人では不満か?」
辺境伯様が意味ありげにニヤリと笑った。
何でこの領地の頂点が下っ端の、しかもその次男坊の恋愛事情を知ってるんだろう。元より父上との関係からすれば辺境伯様は僕にとっては王孫バロマッド様より遥かに優先順位が上だ。断れる訳も無い。
「いえ、私の様な家格の者が務めるべきでは無いかと思いましたので」
「昨夜の報告ではお二人とも『あのベルナール』にいたくご執心との事だ。問題は無かろう」
どうも、僕がこちらに向かった事も報告に含まれていたようで、全てが折り込み済みと云う事らしい。
「承知いたしました」
「詳細についてはガリバルディと打ち合わせるように。ガリバルディ頼んだぞ」
「はっ」
すでに昼になっていた。
随分長い間話したものだ。
「お昼にしますか」
ガリバルディ様は相変わらず対応が丁寧だ。
「はい、お願いいたします」
僕が通されたのは家人用の食堂だ。
シチューの美味しそうな匂いが漂っている。
次の投稿はお昼前後の予定です。




