第二章「王都ヨキフ」 20.3話
本日最初の投稿です。今日もよろしくお願いします。
事情が分かったので僕もその後晩餐を楽しむ事が出来た。
「この肉は脂がのって美味しいですね」
思わず口をついて言葉が漏れる。
「うちの山岳地帯に自生しているカモシカだよ。繁殖し過ぎたら間引いて食べるのだがね、秋の実りで冬に向けて脂を貯め込んだ今の時期が一番旨いんだ」
「確かにこれは美味しいですね。カモシカは初めてですが」
「うちの者でもいつも食べられる訳じゃ無いからね。僕も久しぶりなんだ」
「そんな貴重な物を出していただいて良かったのですか」
「いや、これが有るから君達を呼んだんだ。好きな相手と食べないと旨い物も不味くなるからね。さっきの話は単にそのついでだよ」
あぁ、そうなんですか。
確かに緊張はするがミレユイム様達と過ごす時間は充実して心地良い。
ミレユイム様もクウィンツァ様も博識で話題が尽きずにこちらも益々舌が滑らかになってしまう。
それを話すと、
「何を言っているんだ。学院の学生で我々の話題に付いて来れるのは君を除くとバロマッド様だけだが、あの方は堅苦しくて話していて全く楽しくない。ジェリナさんが男なら良かったのだが」
「そうですね、同学年でも無いのに妙齢の女性と親しくなるのは問題ですから。まぁそんな中、君が魔窟研修で大活躍しただろう。僕等は君に注目したんだ。強さだけでなく人間関係や、一挙手一投足までね」
「まさか我々が君の強さだけを見て友人に成りたいと王家に申し出たと思っているのかな」
「尤も、ここまで気を許す事になるとは思っていなかったけれどね」
「我々の話を聞いてこちらが知らない話を返してくる。こんな相手が同学年にいるとは思いもしなかったぞ」
あぁ、これ以上話すと酷く居心地が悪いか、涙腺を刺激されるか、どちらかの話題に進みそうな雰囲気だ。
どちらも僕にとっては有難迷惑なので話題が変わらないかと思っているとタイミング良く、ミレユイム様に書付が届いた。
念入りに封をされた書付を開いてミレユイム様が内容を確認する。
「留学生の一行が先程王宮に入ったそうだよ」
「ほう、直接王宮に」
「つまり、その必要があったと云う事ですね」
「そうだ。うちでもパノスでも無いと云う事だよ」
「そうなると年齢的に合うのはあの方だけですか」
「うん。何人で来られたかも気になるところだが」
「編入先は僕達より1学年上ですよね」
「へえ、良く判っているみたいだね。フィンリー」
「やはり君は鋭いな」
「いいえ。たまたま武闘会で知り合ったものですから」
「あの人と会ったのか」
「出場されていました」
「「何だって!」」
そうか王家同士では話が通じているのではと思っていたけれど、やはりそこ止まりだったのですか。
これは完全に国家機密レベルですが。
まぁこの二人なら大丈夫でしょう。
その後僕は四王国武闘会でのいきさつを詳しく説明する事になった。
「そうか。思ったより大胆な方のようだ。我々は学年が違って良かったのかな?」
「そうですね。対応をする者が下手をすればどう動かれるか判断が付かない可能性がありそうです」
「2学年はジェリナさんの家格が一番で王家も公爵家も居ない。当面はバロマッド様が居られるが直ぐにご卒業だ。万一を考えると気が重いがその時は二人とも協力を頼む」
「クウィンツァ様はともかく、僕には資格が無いと思いますが」
「君は僕等の友人だよ。まあ、相手の気持ち次第だろうけど、さっき聞いた武闘会の話を考えれば僕等を飛び越えて直接となっても不思議じゃない気がするよ」
そうなのだ。
『あのベルナールは特別』とご本人が言ってたんだよなぁ……。
「まあ、どちらにしても詳しい事は明日分かるだろう。すべてはそれからだ」
「フィンリー、明日は無理だと思うけれど、近いうちにまた話し合おうね」
「はい」
次の投稿はお昼前後の予定です。




