第二章「王都ヨキフ」 19.2話
本日2度目の投稿です。19.1話がまだの方はそちらからお読みください。
「酷なようだけど、メルマディが本気だとして。来年の夏までに貴族になる目途をつけるか、告白して待ってくれるように頼むか。どちらかしか道は無いと思うよ」
「やっぱり、そうだよね。どちらにしても後半年か……」
「半年しか無いと思うか、半年あると考えるか」
「頑張るしかないよね」
「ああ」
そう、年齢を重ねると分かって来るけれど若い時の半年はすごい可能性に満ちている……と聡の記憶が教えてくれる。
聡の記憶はたくさん本当に沢山の事を教えてくれるけれど、彼が重ねた年輪が教えてくれるこうした事が大事なんだと、最近やっと判って来た。
何も判らない幼い頃から心の中にこの導きがあった事は本当に幸運だった……『あれ?』違うぞ。
僕は転生した斧篠聡当人なんだから幸運も何も、有って然るべき事だ。
それを別人のように感じるなんて。
いつの間にかこんなにもフィンリーとして生きていたんだなぁ。
なんだか感慨深い。
「フィンリー、どうかした?何か考え込んでる?」
「あぁゴメン。ねえ、メルマディ。もし良ければ彼女を誘って僕と魔法の鍛錬をしないか?ほんとは誘うならビルマードも一緒なんだろうけど、あいつには僕から説明しておくよ」
「いいのかい?」
「ああ、頑張って少しでも可能性を上げようぜ」
「ありがとう」
まだ成人まで間がある、僕のやり方で半年あればかなり底上げできる筈だ。
もちろん期間が短いから僕やカテリナみたいなレベルは望めないけれど、そこいらの男爵や子爵に負けないように成るのは充分に可能だ。
それに二人の仲を遠ざけない事が重要な目的の一つだから、僕の手間は増えるがビルマードには別に手解きの時間を取るとしよう。
翌日から週2回3人の鍛錬が始まった。
男女が一緒に過ごす事になるので寮の部屋は使えない、クウィンツァ様にお願いして魔道科の面談室が使える事になった。
別件で塞がる日もあるがその時は僕が魔術科の面談室を確保している。
あくまでも魔法の鍛錬がメインだが、もちろん天地流の指導も忘れない。
天地流の魔力制御機能も欠かす事は出来ないから。
ビルマードは時間が合わない事にしてもらい別に週1回鍛錬している。
なのでビルマードは別の日に僕の部屋にやって来る。
彼は彼で、親と同じ貴族であり続ける為に真剣だ。
彼はどちらかと云うと魔力をよりも武術の力を上げる事に興味があるようなので天地流の方に重きを置いた鍛錬になっている。
三人三様結果を求める道筋が違うので今回鍛錬を分けたのは、そう云う意味では正解なのかも知れないなぁ。
次の投稿は夕方の予定です。そちらもよろしくお願いします。




