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第二章「王都ヨキフ」 18.1話

本日3回目の投稿です。17.3話17.4話をお読みで無い方はそちらからどうぞ。

 武闘会から一夜明けて僕達はトケアを散策している。

街は通りが碁盤の目に走り、聡の記憶にある京都を石造りにしたような感じで、パリに似た放射円状のヨキフとは対照的だ。

王城や教会、探究者ギルドに貴族学園、主だったところの外観を見て回るだけでもあっと言う間に昼になった。


「何か食べよう。僕が奢るよ」

 夏の間魔窟で稼いでいたから僕の懐は温かい。

皆は仕送りだけでやり繰りしている筈だ。

「いいのかい?」

「悪いよ」

「魔窟の稼ぎで余裕があるから気にするなよ」


 探究者ギルドを観た後だったので、その近くの食堂に入った。

探究者は味にうるさい人が多いので『はずれは無い』と思った通り美味しい料理を出す店だ。

何よりパンが柔らかかった。

姉さんのふんわりパンほどでは無いが、水気を摂らずに食べられるパンは久し振りだ。

おそらく店でパンの種を上手に育てているんだろう。


「うお、パンが柔らかいぞ」

「私の家は商売が上手く行ってお金に不自由はしていないけど、こんなに柔らかいパンは初めてだわ」

「そうだね、僕は本家筋のお祝いで少し柔らかいパンを食べたことがあるくらいだよ」

そうなのか。

いつか姉さんのふんわりパンを皆に食べさせてあげよう。

そこそこのお値段を支払ったが、三人が満足してくれたので良かった。


 食事の後は商店や工房を観て歩いた。

「婚約者に贈るの?」

「うん、まだ正式には婚約していないけどね」

僕がアクセサリーを物色しているとウェンジィが訊いてくる。

「いいわね。私も早くお貴族様をつかまえてプレゼントを貰えるように成らないと」

店を回る間に僕はアクセサリーやガラス製品などパノンとは違う意匠でジブリット辺境伯領では手に入らないような物を買いこんで、カテリナと兄弟に送った。

父上と母上にはペアのグラスを見繕みつくろったが、これは陞爵の時のお祝いにしようかと思う。

それはそうと、メルマディがアクセサリーを買い込んでいた。

あれは誰に贈るのだろうか。


 翌日僕等はパノンへの帰途についた。

往きと同じ経路を逆にたどる。

港湾都市ブルマネユまでの馬車の旅は休憩の度に大いに盛り上がっている。

往きも元気はあったけれど、やはり武闘会が終わった解放感は格別なようだ。

特にパノス公爵領とパノム公爵領のチームは家格や境遇が似通っているせいかチームを越えて繋がりができたようで、何やら男女の熱い視線も飛び交っている。



 ブルマネユに一泊して船の旅となった。

往きに良かった風向きは当然帰りには悩みの種となる。

お読みいただきありがとうございました。明日もよろしくお願いします。

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