第二章「王都ヨキフ」 17.3話
本日最初の投稿です。よろしくお願いします。
二人はそれぞれ相手の前衛へ斬りかかったところだ。
二三合斬り結ぶのを見て安心する。
マジャンの前衛の武技レベルもまあまあだが、天地流を齧っているメルマディ達の敵では無さそうだ。
センスがある人間に天地流は優しい。
聡の気持ちになると辛いものが胸にこみ上げて来るんだけどなぁ。
コルネッテさんも流石に不利を悟り標的を切り替えたようで、牽制が煩わしいウェンジィをまず倒そうと立て続けに礫の連弾を放った。
3つの礫は凄まじいスピードだ。
これはウェンジィの障壁でも2つを止められるかどうかだろう。
何とかしないと駄目だ。
武術で戦うと言った手前、魔法で止めるのは避けたい。
僕は目の前の彼が構える剣の腹を横殴りに仗で思い切り打った。
先程の柄への一撃で痺れた彼の手から剣が外れ飛ぶが、それを見定める余裕は無い。
仗を払った瞬間には礫の軌道に向かって跳んだ。
跳ぶと云っても界送系を使った訳では無く、文字通り体を使って跳ねる。
界送系は王族でも発動魔力量に達する者が少ない魔法なので、武闘会などでは殆ど見られないから、使うと騒ぎに成りかねない。
『ヴシュッ』一発目の礫が目の前を過ぎた後だが、これは良い。
2発目3発目の発動のタイミングを計算して1発目の軌跡を連続、仗で叩いた。
『『ヴァシッ』』2つの礫が軌道を変えて地面に突き刺さる。よぅし、もう大丈夫だ。
「ウェンジィ、前衛中央に魔法を!」
僕はゆっくりコルネッテさんの方へ歩き出した。
「御覧の通り前衛は風前の灯ですが。どうなさいますか?」
「一人になっても私は戦う」
「ご立派ですが……」
一瞬で最大速度に切り替えコルネッテ様に向かう。
高速で飛来した礫は目視で弾く。
武術で勝つと言ったから。
コルネッテ様の目前に到達した僕は『ヒュン』と彼女の後ろに回り込んだ。
魔法じゃない。天地流を修めていれば普通にできる動き……だが、彼女には消えたように見えたかも知れない。
後ろから仗と腕で羽交い絞めにして耳元で呟いた。
「もう無理です。諦めてください」
ビルマードとメルマディが前衛を倒したのを見てコルネッテさんの体から力が抜ける。
彼女の戦意が失せたのを確認して僕達の勝利が告げられた。
一瞬の静けさの後、会場がうわぁっと湧く。
演出を気に入ってもらえたのなら嬉しい限りです。
場内の整理を終えて表彰式が行われた。
同率3位を含めて、4チームが表彰され各自賞状と、僕等は優勝旗と副賞の魔法杖を戴いた。
魔法杖には本人の名前と四王国武闘会優勝の文字が刻まれ、ウェンジィ達は『一生の宝物にする』と喜んでいた。
結局、パノンとマジャンから2チームずつが表彰されマジャン王国としても悪い結果では無かったので、僕等はそれ程の風当りも感じずに済んだのだ。
次の投稿は11時前後の予定です。




