第二章「王都ヨキフ」 13.4話
本日1度目の投稿、13話の最後になります。 よろしくお願いします。
折角だからと闘技場を出て王城側へ回り込むと華麗に立ち並ぶ尖塔が目に飛び込んでくるが、このままでは見物気分でも無いと近くの食事処を見つけて飛び込む事になった。
「何の話だったんだい?」
注文を済ませると直ぐにメルマディが心配そうに声を掛けて来た。
「悪い人じゃ無さそうだけど……」
ウェンジィも不安げだ。
「いやあ。さっきの連中が気に入らないんだけど、事情があって自分たちは勝つ訳にいかないから僕等にやっつけて欲しいってね」
王子様なのは内緒だけど嘘は言っていないからね。
「そうか、それなら問題無いな。あんな奴らには負けないよ」
ビルマードが強気だ。
「うん、それでね。1回戦なんだけど、魔法だけで勝っちゃおうかなって思うんだ」
「えぇぇ、フィンリーの武術は出さないの?」
「大丈夫かな?」
「1回戦のゼスタッテ君は僕等の家格が低いから魔力は大した事ないと思ってるよね、きっと」
「そうだな、実際に闘技会もフィンリーの武術中心で勝ち上がったからな」
「今回の出場者全員がそう思っているのじゃない?」
「でもね、ウェンジィの魔力は充分だし、メルマディやビルマードだって魔導学院の中でも魔力が低い訳じゃない。僕だって魔術科の首席だよ、今まで必要が無いから使わなかっただけで、使えない訳じゃないのさ。貴族の家格を鼻に掛けるなら、その土俵で完膚なきまでに叩きのめしてやろうかなってね」
「「「いいねぇ」」」
「だろう。それで作戦なんだけど……」
僕の作戦を聞いて3人も安心したようでその後は落ち着いて王城を見物する余裕が出来た。
「はぁぁ、凄いわねぇ」
ウェンジィは尖塔や城壁に白御影石を多用した瀟洒な城に感嘆の声を漏らす。
「ああ、歴史を感じさせない程優美だけど、歴史があるからこそこれほど典雅になるのだろうな」
ビルマード、本当に意味を分かって言ってるんだよね。
僕の好みはヨキフ王城の重厚な雰囲気だが、これはこれで確かに素晴らしい。
カナメモチ系の新芽だろうか鮮やかな赤の生垣と常緑樹の濃い緑の生垣がバランス良く対比を成し、それらの足元を様々な彩の花達が覇を競っている。
時期の良し悪しもあるのだろうが、開放された城門から窺える庭園もヨキフとはまた異なった趣きで、見る者を飽きさせる事が無い。
流石に大陸の中でも長い歴史を誇る都だけのことはあり、この国の貴族が誇りを忘れないのも頷ける。
もっともだからと云って他国を馬鹿にして良い訳では無いのだけれど。
さて、王城だけでももっと眺めていたいのだが明日の事もあるのでそろそろ戻らないと。
闘技会の後でも観光の時間が取れるだろうか。
僕等は悪だくみとその準備にその日の残りを費やすのだ……嬉々としてね。
次の投稿は12時の予定です。




