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第二章「王都ヨキフ」 12.1話

本日2度目の投稿です。11.3話を読んでおられない方はそちらからどうぞ。

「着いたねぇ」

「あぁぁ、気持ちの良い船旅だったよぅ」

「ほんとだな」


 ブルマネユはパナル程ではないが大きな港だ。

少し雲が出て来たが昼の陽射しは明るく足元の影は濃い。

僕達は荷物をまとめて甲板で下船を待っていた。


「フィンリーはその不格好な杖で出場するの?」

「うん、使い慣れてるのが一番だろ」


 今年の四王国武闘会では得意の武具の持ち込みが許されると連絡があった。

もちろん闘技会前にレギュレーションの確認はあるそうだが。

実戦用の武具が使える分、闘技衣の性能も闘技会とは違うようだ。

紺までのダメージなら重症には至らず、濃紺や黒でも魔薬と魔法で完全に回復できるらしい。

もっとも黒の場合は治癒に相応の期間が必要になるそうだ。

当然、相手からの攻撃も厳しくなるけれど……ようやくじょうの攻撃解禁です!


 年ごとにルールが変わるので出発時には使えるか判らないのだが、ほとんどの参加者は武具を持参するのが武闘会の習わしだそうだ。

だから皆の荷物は少し嵩張っている。

僕は楯も無いし仗は杖のように突いているので、荷物は着替え等を入れたこじんまりした背負い袋だけだ。


 下船の順がきて桟橋に降り立った僕達を4台の馬車が待っていた。

武闘会関係者から依頼を受けたブルネイユ港の職員が待機していて、今日の予定を説明して御者達に引き継いでくれた。


 ちなみに闘技会や武闘会では闘技衣や武具に最低限の陣図効果が付与されていて、実際の衝撃や魔力消費が軽減されるようになっているのが普通らしい。

魔法についても発動魔力量を越えていないと使えないのは同じだが、魔力消費が軽減されるので補助魔具無しと比べると同じ魔法を使う回数が増えたりするのだ。

もちろん実戦に使われる武具も同じような効果を持つ事が多くその為高価だったりする。


 僕等が乗り込んだ馬車は北西を目指して街道を進んでいる。

夕方遅くには今夜宿泊する街に到着予定だ。

「今夜の街を朝早く出れば明日中にはトケアに着くんだよね」

「メルマディ、少し気が早いぞ。そんなに武闘会が楽しみなのか?」

「武闘会じゃなくてトケアがね。ヨキフより歴史があって人も多いんだよ」

「確かにどんな街かは興味があるわね」

「ヨキフは円周状に街が築かれているけど、トケアは碁盤目に通りが走ってるみたいだ」

「着く頃には暗くなっているだろうし、街を見れるのは明後日だね。武闘会は明々後日だから、その前にゆっくり街を見る時間を取れればいいね」

「王城は武闘会当日に観れるわね。パノンの王城とは違って華麗な尖塔が特徴の美しいお城だそうよ」

「王城の尖塔は王都のどこからでも見えるけど、結構他にも高い建物があって全景が見れる場所は限られるんだってさ。闘技場は試合内容が王城から観えるように王城側に観客席や高い壁を作らなかったから、逆に観客席からも王城のほぼ全景が見れるらしいよ」


 その日は宿に着くのは遅くなったが、道中や船の中でも欠かさなかった天地流基本の形だけは食事の後に済ませて僕達は早めに休んだ。


 泊まった街からトケアはほぼ西方だそうだ。

朝日を背にして馬車は走る。

昨日の道程みちのりもそうだったけれど、街道はよく整備されて馬車も実に快適だし、野盗どころか獣に出くわしそうにも無かった。

大事な武闘会を前にこんな所で無双する気は更々無いけれど、何だか寂しい気がするのはやはり『テンプレ』に毒されているのだろうか。


 馬を休ませる以外はずっと進み続けた馬車がトケアに着いた時はやはりもう夜になっていた。

ジェリナ様だけが王城に馬車を回して明日以降の予定を確認してくれる事になったので他の全員は馬車から荷物を降ろして宿に入った。


 ジェリナ様の荷物も部屋に入れて宿の食堂で待っていると程なく彼女が戻って来た。

年末年始の忙しさにかまけて一日一話のノルマを守れなくなりました。自分の中の決め事とは云え、守れないのは忸怩たる思いです。一章25話構想は変えないつもりですが、一章が1ケ月を越えてしまいそうです。一日3000文字前後は何とか守って行きたいと今は思っておりますので、よろしくお願いいたします。

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