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第二章「王都ヨキフ」 10.2話

本日2回目の投稿です。10.1話がまだの方はそちらからお読みください。

 対戦が進んでそれぞれの試合間隔が短くなる。

僕等の後、2学年の試合があって次がミレユイム様達の試合。

それを見学したら僕等の対戦まで3試合をはさむだけだ。


     *


「次の試合は大変だよ」


 僕は打合せの最初に皆を見回して言った。

「そうだね、さっきの試合もミレユイム様達の圧勝だったし」

「ミレユイム様、クウィンツァ様だけでも無理筋なのに後衛が魔具専科の首席と魔薬専科の三席だなんて、あんなチーム誰が勝てるのよ」

いやぁ、僕なら勝てると思われてるんだよ。

ごめんね、皆。

「多少の障壁じゃあ防げない攻撃も来そうだから下手な防御は捨てよう。ビルマード、この陣図を君達の長剣に付与して欲しい」

「了解」

軽い電撃の魔法を陣図にしてある。


「とにかく僕が各個撃破に回るしか無いと思うんだよ。こっちが上の可能性があるのは多分僕の武術だけだから」

「「「うんうん」」」

「今までの試合を見ているとミレユイム様とクウィンツァ様は最初から魔法は撃ってこないと思う。メルマディとビルマードはミレユイム様とクウィンツァ様の後ろに対角状に、ウェンジィは二人の間を真っすぐに、出来るだけ頻繁に電撃を通してくれ。メマルディ悪いけど魔力補填の魔薬をあるだけ3人で分けて欲しい」

「分かった」

「僕が電撃を掻い潜って撃破に出れば3人の方へ大きな魔法は飛ばないよ、きっと。ただね、僕がミレユイム様とクウィンツァ様に手間取るようなら後衛の二人と闘う場面があると思うから、その時は陣図の長剣で相手をよろしく」

「その作戦に賭けるしか無さそうだね」

「じゃあ、それで「「「頑張ろう!」」」」


 方針が決まって3人も腹が決まったようだ。


 ミレユイム様とクウィンツァ様は試合開始早々僕に向けて熱の温操系魔法を大魔力で放って来た。

『おっと、今までとパターンが違うのも既定路線なんでしょうか』

僕はギリギリ避ける振りをして、こっそり詠唱で出した障壁を使って見た目分からない程微妙に少しずつ魔法の軌道を変えてゆく。

後ろのメンバーや観客に当たる事が無いように受け流した。

ミレユイム様達は少し驚いた様子だが納得した風に頷いてもいる。

全く、こんな場面で僕を試さないで欲しい物だ。


 後ろの3人は最初の大魔法をやり過ごせて落ち着いたようだ。

予定通りに電撃を放ち始めた。

これで相手の連携はかなり分断される筈だ。

問題は3人の魔力切れだけど何とかしてくれるだろう。

魔力切れは魔薬で補填できるのだが、極小以外の魔法を発動していると魔薬は使えない。

そのために交代で魔薬を使う必要があってタイミングが難しい。

この辺りの連携もかなり鍛えてきたから大丈夫だと思う。


 僕はクウィンツァ様に向かって走り、彼の足元を槍の穂先で振り払う。

飛び上がって槍をかわしたクウィンツァ様が、り際に振り落とした剣先とほぼ同時に電撃を伸ばして来る。

まったく器用な事だ。

クウィンツァ様が剣術と魔法をこうして同時に操れるのだから、ジブリット辺境伯嗣子のアルベルム様は当然同等以上に使えた筈だ。

いやぁ危ない。ジズリスでの立ち合いでアルベルム様が魔法を出していたら僕も魔法で対抗するので魔法の実力までバレてしまうところだったんだ。

流石にあの頃は誤魔化す程の余裕は無かったと思うし。

──あぁ、要らない雑念が入りましたね。ごめんなさい、時を戻そう。──


 剣を槍尻で受け流しながら天地流で空創系の空間を身に纏う、闘技衣もカバーする必要があるのでいつもより少しだけルーズに。

空間を纏うと天地流も更にスムーズになる。

電撃を送ろうとする障壁空間を紙一重で避ける事が出来た。

電撃を避けられ全く効かないのに驚いたクウィンツァ様の着地地点へ、回り戻った槍が振り下ろされた剣ごと彼の足を払う。


 横倒しになった背脇のだぶつきを槍で突き通して闘技衣を紺色に変えた。

もう一度投稿があります。次は19時の予定です。

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