第二章「王都ヨキフ」 10.1話
本日も三分割投稿です。よろしくお願いします。
「ヨーザイルとスェーニャの剣はメルマディ達より上だし、魔法もウェンジィより発動が早くて強いんだ。あの二人に後ろに回り込まれたら三人は多分もたない」
「そんなのどうやって戦えば良いのよ」
とウェンジィ。
「後衛の二人は魔具専科と魔薬専科だけど、ビルマードとメルマディなら勝てるよね」
「ああ、フィンリーと鍛錬する前でも負けなかったと思うよ」
「そうだ、今なら楽勝だ」
おお、頼もしい。
「そこでね、僕がヨーザイル達に突っ込む。僕が相手だとあの二人は陣図を発動する暇がないから、最初の一発を避ければ後は魔法の心配が無くなると思う」
「「「うん」」」
「メマルディとビルマードは開始前から魔具の発動準備をして、二人が魔法を放ったらすぐに障壁を発動してくれ。僕は魔法を避けて突っ込んだ後、左右どちらかに二人を寄せる様に動くから、空いた方を三人で相手の後衛まで走るんだ」
「あの二人の魔法なら私の障壁で防げるから、二人は攻撃に専念できるね」
「そういう事。後衛を倒してまだ僕が戦っていたら、ウェンジィは魔法の牽制を頼むね」
「分かった」
試合前に待機の時間があって良かった。
あのままスェーニャに絡まれていたら打合せも出来なかったよ。
本番はほぼ僕の作戦通りに進んだ。
ヨーザイルとスェーニャは試合開始と同時に、避けると後ろのメンバーに当たる角度で大技の魔法を放って来た。
彼らの位置取りでそれを予想していたので避ける事は難しくない。
振り返るとメマルディとビルマードは予定通り魔具の障壁を発動している。
変に受け流して二人の感が狂うと行けないのでそのまま避けて僕はヨーザイル達に向かう。
メルマディ達は障壁でも受け流しが出来るようになっているので力負けもしない筈だ。
ちなみに小盾の障壁には僕の陣図による変化を付けていない。
必要無いのに手の内を晒す事はないからね。
僕はスェーニャの方に突っ込み、彼女をヨーザイルの方へと押し込んで行く。
僕の背後を三人が無事擦り抜けた事で大勢は決した。
ヨーザイルとスェーニャを瞬殺しないように手加減しながらウェンジィ達三人が後衛を倒すのを待つ。
相手の後衛との剣術勝負になって手の空いたウェンジィがヨーザイルに向けて熱の温操系を放った。
ヨーザイルは感良く避けたが、大きくバランスを崩す。
僕はそれに機を得た態で、スェーニャに向けて仗代わりの短槍を横殴りに振り抜いた。
思わず仰け反って短槍を躱すのが精一杯のスェーニャに、スッと近付き軸足を刈って肩口をヨーザイルの方へフワッと送ってやると彼女はすべなくヨーザイルの足元に倒れ込んだ。
バランスを崩した足元をスェーニャに塞がれた彼は踏鞴も踏めずに上半身のみが前に出て、スェーニャの上に崩れ落ちるのを防ごうと左手を伸ばす。
僕はその腕を取った。
一気にスェーニャの上に倒れ込むところを支えられたヨーザイルが息をついた瞬間に肘を決めて、そのまま起き上がろうと藻掻いているスェーニャの真上に倒していく。
完全に極肘から肩を決められて身動きできないヨーザイルと、二人分の体重が掛かっていくら藻掻いても脱け出せないスェーニャは魔法を使う事も忘れているようだ。
一塊の3人に後衛2人を片付けたメルマディ達が近付いて三方から剣を突きつけて試合は終わった。
「フィンリーに避けられるのは覚悟していたけど、中衛の二人に躱されたのは誤算だったわ」
「そうだ。初っ端で二人倒して、僕らがフィンリーを相手取っている間に後衛二人が彼女を倒して。その後は4対1で時間切れまで粘り勝ち……の筈だったんだけどなぁ」
「勝負は時の運って云うからね。中衛の二人が上手くやってくれたからこちらが勝ったけど、ヨーザイルの言った通りになる可能性もあったと思うよ」
「そうよ。今回は勝ちを譲って上げたんだから、絶対優勝しなさいよ」
あくまでも強気なスェーニャさんでした。
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