第二章「王都ヨキフ」 9.2話
本日2回目の投稿です。9.1話がまだの方はそちらからお読みください。
いよいよ学院闘技会の当日がやって来た。
~聡さんの解説タイム:面倒な人は読み飛ばしてね~
学院闘技会について
ヨキフ王立魔導学院の第2学期に行われる学院行事で1学年、2学年それぞれでトーナメントが行われる。
チームは4人一組で魔法科・魔術科・魔具専科からの任意の3人に魔薬専科1名が支援職として参加する16チームで争われる。
試合は実戦形式の模擬戦で顔面への攻撃は禁止。
指定の闘技衣は顔面以外をカバーし、一般人レベルの大打撃及び斬撃と最小発動魔法の近接攻撃を無効化できる。
有効な攻撃は闘技衣に被撃痕として攻撃力の大きさが識別できる様に記録される。
識別は赤→紫→紺→濃紺→黒で、紺以上は重症もしくは死亡扱いで退場となる。
試合は5分間で、全員退場もしくは試合時間終了時の残存人数、残存同数の場合は残存メンバーの被撃痕の優劣で勝敗が決する。
魔道学院創設以来、濃紺以上の被撃痕は記録されていない。
学生への紺以下のダメージは魔薬もしくは生操系魔法で完治の実績があり、濃紺以上も魔薬と魔法の併用で治癒可能とされている。
闘技衣以外も武具は指定の物を使用する。
武器は大剣・長剣・短剣・両手剣・長槍・短槍・鞭・魔法杖、防具は大盾・小盾・両手盾・籠手・胸当・肩当・脛当が用意される。
魔具専科本人がメンバーであればチームで使用する武具に魔陣図を付与する事が許可されている。
ただし陣図を準備するのもチームメンバーに限られる。
闘技会は郊外の王立競技場を借りて行われる。
日程は9時半から始まり、1時間の昼休みを挟んで15時半終了予定だ。
16チームのトーナメントが2組あるので全部で30試合。
試合時間が5分、インターバルに5分が見込まれている。
1学年と2学年の試合を交互に行う事が多い。
1学年2学年それぞれの優勝チームは四王国武闘会の出場資格を得る。
~解説タイム終了~
1学年の第一試合が始まった。
僕等は第5試合だから2学年を合わせると9試合目なので出番は1時間以上後になる。
僕等の1試合目の相手は魔具専科の男子がリーダーらしい。
専科には珍しく子爵家の直系で主席との事だ。
彼と魔薬専科の男子が前衛で、後衛は魔道科の女子2名。
女子の総魔力量はスェーニャと比べると数段落ちるので魔薬専科君の魔力補填魔薬でどれ程回復できるかと発動時間が継戦能力の鍵を握るのだろう。
長い待ち時間かと思ったけれど、試合と合間のやり取りを見ているだけであっと言う間に自分たちの試合時間が迫って来る。
試合場に呼び出されて隊形を整えると直ぐに試合開始だ。
結構あわただしい。
相手の後衛の女子二人が開始直後に礫を飛ばしてくる。
なかなかのスピードで威力がある。
指定武具に仗が無いので僕はまた短槍を使っている。
槍は僕が使っている仗ほど頑丈じゃない。
礫を真正面から止めに掛かると槍が折れそうなので受け流すがそれでは1つしか対応できない。
魔法も使えば簡単に止めれるのだけど、できるだけ『武の人』のイメージを維持したいので自粛している。
「メルマディ、ビルマード。1つ頼んだ!」
「「了解」」
中衛までの距離があれば礫の軌道は読めているだろう。
二人の小盾は丈夫だし、受け流しも随分上達したから任せても問題ない。
「ウェンジィ、やってくれ」
彼女には試合が始まったら前衛に電撃を伸ばせるように頼んである。
ウェンジィから相手のリーダーにすっと空間が伸びて電撃が走る。
「うわっ!」
リーダー君が驚いたように仰け反る。
体勢を崩すのが目的だから大成功だ。
僕はすでにもう一人の前衛に向かって走り出している。
実は電撃は闘技衣の被撃痕の評価がかなり低い。
完全に昏倒するようなショックでも赤だから決め手にはならないのだけど、痛みは我慢できても電気ショックは神経と筋肉が直接反応するから牽制には打ってつけなんだ。
僕の槍が前衛に届く前に後衛二人の礫が再び飛んで来た。
さっきは何の魔法が来るか判らなかったので対処が遅れたけれど、僕を狙った礫と判っていれば対応は楽だ。
うちのチームには被弾しないコースで飛んでくる礫を『シュルッ』と避けながら前に出て、もう1つを斜めに構えた槍で受け流すと、側にいた前衛君の脇腹に『ズトッ』と突き当たった。
前衛君の闘技衣の脇腹が紫に染まる。
なるほどこれで紫なんだぁ。
次の投稿は8時になります。




