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第二章「王都ヨキフ」 9.1話

今日は3分割で投稿します。

少しでもまとめて読みたい方、ゴメンなさい。

夜に来ていただければ3つまとめて読めますので……。

 学院闘技会までに何度か四人で王都の城塞を出て郊外の草原で連携の鍛錬をした。

「フィンリーってこんなところにも伝手つてがあるのね」

「うん、実家の家宰の実家が商家でね。その伝手なんだ」

移動は工房の荷馬車に便乗させてもらう。

加工した商品を積んで王都を出て、材料を積んで帰って来る。

毎日の事で馬車は満載ではないので待てば何台か顔見知りがいて乗せてもらえる。

スェーニャと違ってウェンジィは王都の工房に興味が無いようだ。

このまま見過ごしてくれれば助かるんだけどね。


 ウェンジィは元高位貴族の血筋で魔力が高いとは言え平民の家庭で育ったからか詠唱に自己流の部分が目立った。

それを指摘して直したので発動が随分スムーズになったと思う。

ただ、僕が魔術科なのに詠唱を教えるのが上手くて分かり易いのを不思議がって、やたら何度も首を傾げていた。

3人に魔法野の出口を拡げる感覚を教えて魔法の鍛錬を推めたら、3人とも少しずつ魔力が上がって、メルマディとビルマードは発動できる魔法が増えたと喜んでいる。

こちらはあからさまに「先生より教えるのが上手い!」と言われた。

きっと、ステータスウィンドウを見ながらカテリナに教えた経験が活きてるんだろうけれど、何だかスキルでズルしているのを褒められているようで気が引けてしまう。


 メルマディとビルマードの中衛もだいぶさまになっている。

基本をいじると剣術自体が崩壊してしまうので、天地流の受け流しや捌きを少しだけ取り込めるように教えたら、後衛を守る二人の動きに無駄が無くなって見違えるようになった。

二人の装備は小盾と長剣だが、小盾には僕の書いた空創系の陣図をビルマードが組み込むようにしている。


「この陣図、普通の空創系障壁と違う気がするんだけどなぁ」

「うん、障壁の形状と発生角度と強度を魔具専科の技術で簡単に組み替え出来る様になっているんだ。試合ごとに陣図を付与し直さなくて済むようにね」

「はあ?こんな陣図見たの始めてだよ。どこの技術なんだ?」

「うん、今は言えないんだ。時期が来たら話せると思う、ごめんな」

 遺失魔法にヒントがあったなんて、とても今は言う事が出来ない。

魔具であれば相手が魔法発動に入ってからでも障壁が間に合う。

二人が相手の攻撃を受け流す事が出来ればウェンジィは後衛として攻撃魔法に専念できるし、魔薬で魔力を補填する余裕も持てる。

学院闘技会はチーム戦なので出来れば4人全員で戦いたい。

僕一人が勝ち残っても勝負は勝ちなんだけれど、それは出来れば避けたいと思うんだ。


 最近は僕が剣と魔法を使い分けて出す攻撃を二人がしのいでウェンジィが魔法で僕を狙う鍛錬をしている。

もちろん僕も本気を出してはいないがヨーザイルの剣戟を想定した攻撃をメルマディとビルマードは何とか一撃ならば受け流せるようになっているし、スェーニャレベルの魔法も距離さえあれば小盾の障壁で凌げる。

これならミレユイム様やクウィンツァ様が相手でなければ充分僕のフォローが間に合うだろう。


 ウェンジィの魔法は中衛二人の間隙を縫って鋭い攻撃を飛ばせるようになった。

遠慮は要らないと言ってあるので全力の魔法が飛んでくる。

始めは恐る恐るだったのが、天地流の障壁でどんな魔法も受け流してみせると、今は意地になったように本気の魔法に変わっている。

受け流しが出来ない相手にはかなりの脅威になるよね。

「どうすればフィンリーに当てる事ができるのよ!」

と、本人は不満たらたらなのをメルマディ達が

「フィンリーが受け流すなら他の奴には命中間違いなしだから」

と宥めるのがお定まりになってしまった。


 もう本番が迫っているし準備はここまで。後はやるだけだ!

次は昼過ぎになります。

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