表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/1544

第二章「王都ヨキフ」 7.1話

こんにちわ。今日も1話を二分割投稿の予定なのでよろしくお願いします。

「さぁ、君達の順が来た。いよいよ魔窟に入る。前衛はフィンリー1人でいいのか?」

「はい」


 今日の引率は魔術科の剣術の先生だ。

先生がキレて帰ろうとする護衛の探究者さんを宥めて説得してくれた……お手間を掛けました。

心の中で頭を下げておいた。

「まあ、お前なら大丈夫だろうが、いつもの調子で受け流すなよ。後衛に回さないようにちゃんと仕留めるんだぞ」

「はい、分かりました」

「武器はそのつえで大丈夫なのか?」

「獣型ならこれで充分だと思います」

「そうか。腰の物は短刀か?」

とどめが必要な場合に使おうかと」

久し振りにクニミツの出番だ。

鞘から少し抜いて先生に刃を見せる。

「分かった。とにかくしっかり頑張れ」

「はい」


 護衛の探究者が先頭で魔窟に入っていく。

もちろん後付けだろうが、がっしりした木造りの魔窟の門をくぐる。

入った処は少し広いスペースになっていた。

ここなら隊形を組み直しても大丈夫だな。

「僕が先頭で魔具専科の2人、魔術科の3人、魔薬専科の2人の順で進もう」

「「「うん」」」

「できるだけ先頭で仕留める積りだけど、僕が倒し損ねたらまず魔具の障壁で防いで陣図発動で仕留めて欲しい。魔薬専科の2人には前の5人の魔力と体力のフォローをお願いするね。あ、それと魔核の回収は真ん中に居る魔術科が中心で集めてくれると助かる」

「「「「・・、分かった」」」」

やっぱり皆緊張しているな。

「それじゃ、行こうか」

キャラでも無いのにわざと気負わぬ素振りで魔窟の奥に向かって進みだす。

緊張がほぐれればと出来るだけ明るい調子で声を掛けた。

探究者さんは僕の後ろを進んで最短ルートを教えてくれる。

万一の場合は前衛に入ってくれる予定だ。

先生は皆の後ろで後方の警戒に当たる。


~聡さんの解説タイム:面倒な人は読み飛ばしてね~

 王都の魔窟はごつごつした岩肌の洞窟で足元は平らな土だが所々に岩や石が突き出ている。

魔窟は人の手で改造しても長くても半日ほどで元に戻ってしまう。

この魔窟は一つの階層が何本かの洞窟の組合せで出来ており、中層までは構造が解明されていて最短ルートを取る事が可能だ。

 魔獣の攻撃は進行方向からが普通だが、洞窟が複雑に繋がっているため後方からの攻撃も考慮する必要がある。

階層から階層へも洞窟での移動になり階段など明確に分かる形態にはなっていないが、ループ状に下りが続く事で判断が可能だ。

 初回の研修は2時間枠で、最短ルートを1時間程進みそこで折り返して入口に戻る。

浅い層の最短ルートは600m前後で戦闘を含めて初心者の場合15分以上掛るので、3層か4層で戻ってくる事になる。

 複数のパーティが同時に潜っているので行きと戻りの何組かは擦れ違う。

魔窟研修がある時期に探究者達は研修の護衛か中層以上の探究もしくは探究外の依頼を受ける事になっており、探究者のパーティと出くわす可能性はまず無い。

 動物型の魔獣は倒されても弱い物で15分程、強い物でも30分程度で復活するし、最短ルート以外からの魔獣も現れるので間隔を開けて潜れば必ず魔獣と遭遇する。

フィンリー達の出発前に昼の休憩があったため、フィンリーの前方は1時間程前に入った戻りのパーティとその前のパーティしか居ない。

行きの時に倒された魔獣は全て復活しているので戻りのパーティが倒す魔獣しか間引かれず、その多くはフィンリー達が到達する前に復活しているだろう。

~解説タイム終了~


「先生、後ろから襲われると厄介なのでサクサク進みますけど良いですよね?」

「ああ、好きにしろ」

 先生は辺境伯様の書付を読んでいるので僕に関してはほぼ放任状態なのだ。

「おいおい、そんなんでいいのか……」

探究者さんが呆れかえるのも無理はない。


 少し進んだ処に前から猫型の魔獣が一頭現れた。

獣の場合は出来るだけ殺さないようにしていたが魔獣相手なら何の遠慮も要らない。

同じ猫型でも峠のトラ君とは雲泥の差で急所を突く必要もない。

足も止めずに『ぶぅうん』とじょうで引っぱたいたら、それだけでへしゃげ落ちて小さな魔核だけが残った。

魔核は同級生たちが回収してくれるので目もくれずに前に進む。

同じ猫型と犬型の魔獣を何頭か倒した後、戻りのパーティと擦れ違った。

メンバーが魔道科中心らしく見知った顔も居ないので会釈だけで済ませたが、緊張からか皆疲れ切っているように見えた。


 二層目に降りても出くわす魔獣に変わりが無いので僕らが進むスピードも変わらない。

と云うか一度も立ち止まっていない。

「皆、疲れていない?」

足を止めずに問いかける。

「こいつら何もしていないから疲れる訳がないだろう」

探究者さんが皆の代弁をしてくれた。


 入寮した当時に僕の『鑑定スキル』について初めて知った事が幾つかある。

探究者ギルドに始めて行った時の事もあって。

その中の一つが今まで人の能力を見ていたステータスウィンドウが思っていたような『対人』ではなく『生体鑑定』だった事だ。

僕はあのステータスウィンドウを人専用だと思い込んでいたのだが、生体が対象……恐らく聡の世界で『生体』と認識される物は全て鑑定できるものだったのだ。

あの後家畜など色々な動物で試したのだが、ちゃんとステータスを見る事が出来た。

今初めて入った魔窟で魔獣に『鑑定』を使うとステータスウィンドウが開いたので、どの位の攻撃で沈める事が出来るか見た瞬間に分かってしまうのだ。


「なら、どんどん進むね」

 最短距離600m程度をただ進むだけだから、ひと階層に7分余りしか掛からない。

3層目から一度に出る魔獣が2~3頭になったが、ぶん殴るのに急所突きを加えれば足を止めずに進める。

「なあ先生。何なんだよ、この学生は?今すぐ探究者になってもゴールドは固いんじゃあないか」

「ジブリット辺境伯が武術に関しては好きにさせろって書付を持たせたぐらいだからね。この辺りで敵う魔獣はいないだろうな」


 先生達、皆が一緒なのに大声でそんな事を話さないでください。

次の投稿は夕方の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング
↑ これをピコッと押すと私のレベルが少し上がります。
★★★★★ 付けてくれるととっても嬉しいです ((* •ω•)。´
『小説を読もう』ブックマークよろしくお願いします(*ᴗˬᴗ)⁾⁾ペコ
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ