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009 彼がティーカップを洗う日


 太郎は上品な白磁のティーカップに水道水をたっぷりと注ぎ、カルキ臭さなど気にもせず、一気にそれを飲み干した。

 冷たさが身体の芯をくすぐったいような快感を残しながらなぞり降り、やがて手足の先っぽまでのんびりと散ってゆく。

 その時間を太郎は丁寧に数えていた。

 太郎は水ばかりを好んで飲んでいた。美容や健康を意識してのことではないので、その多くは水道水であった。

 だから太郎の身体の水分のほとんどは水道水だった。

 汗も、涙も、鼻水も、唾液も、血液も、おしっこも、精液も、太郎のすべての体液は水道水からつくられている。

 そして太郎は時折、それらの体液が蛇口をひねると水の代わりに出てくる様子を想像し、上品な白磁のティーカップを洗うために蛇口をひねるのだった。



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