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擬音語・擬態語(擬声語・擬態語)

 オノマトペとも言われるこれらの語。これまでも多くの研究者が色々な名前をつけたり分類したりしたそうな。金田一さんは「擬音語・擬声語・擬態語・擬容語・擬情語」の五つに分類したそうだ。

 たぶんよく用いられるのは「擬音語・擬態語」、特に「擬音語」という言い方だろうか。

「擬容語」、「擬情語」は、筆者が使用しているパソコンの変換候補になかった。


 さて、このオノマトペだが、実際には鳴らない音を表現する物もある。

「胃がシクシクする」や「頭がガンガンする」などだ。

 体が揺れるさまを「ふらふら」と表したり、凹凸がなく引っ掛かりもなくよく滑るのを「つるつる」と表現するのもそうだろう。


 心情を表す「めそめそ」や「いらいら」などもある。

 他の言語と比較したとき、日本語にはこういう音のしない物を音に変換した言葉が多いようだ。これはなかなかに便利なことが多いので嬉しい限りである。


 胃の痛みを訴える時に「きりきり」や「しくしく」と四文字伝えるだけで良い。「針を刺されたように痛む」や「絞り上げられるような痛み」とすることもできる。

「針を刺されるようなきりきりとした痛みがはしる」と重ねるように使うこともできるだろう。

 字数の調整など便利であるし、情景をよりよく表すこともできるだろう。

 先に挙げた「つるつる」や「さらさら」は他の言葉を連ねるよりこの四文字の方がよく伝わると思う。


「バーンと扉を開け放ち」と「勢いよく扉を開け放ち」は同じような意味合いでも印象が違ったりするだろう。

 漫画などを読みなれた世代であれば「バーン」の方がより詳しく、人によっては絵を見たかのように情景が思い浮かべられるのではないだろうか。


 また、強く雨が降る様子を表すのに「雨がざあざあ降っている」と「雨が強く降っている」はより大きく印象が違う気がする。

「雨脚が強い」なんていうのは端的に事実を述べるのには良いが、文芸作品などに用いるには情感がなさすぎるだろう。


 熱い物を冷ますときに吹きかける息の音を「ふーふー」とするか「フーフー」とするか。ひらがなの方がやわらかいイメージがある。

 幼い少女が「ふーふー」しているのは可愛らしいが、(いか)つい男に「ふーふー」は合わない気がする。

 また「ふぅふぅ」や「フゥフゥ」など、登場人物や作品の傾向によってはこちらを使うのも良いだろう。


 ただ擬音語などを用いる時、あまりに突飛すぎると受け入れられないことも多々あるだろう。

 これは擬音語に限った話ではない。文体などでも新しい物、独特な物を受け入れて貰うには創意工夫が必要であったりする。

 また受け取りての背景、発信者の立ち位置などの要素が絡むこともあるだろう。



「チャカポコチャカポコ」を初めて知ったのは夢野久作の「ドグラ・マグラ」だったか。

 三大奇書に数えられる本作には、これ以外にも他では見られない独特なオノマトペが沢山(たくさん)みられる。

 この「チャカポコ」を上手く使うのはなかなかに難しいだろう。

 下手に用いれば単なる独りよがりな文が出来上がりそうだ。


 ちなみに筆者はとある作品で馬車が立てる音に「ちゃかぽこ、ちゃかぽこ」とあてられているのを見て大笑いした。本当に上手い使い方だと思う。

 まあそういう感性の人間である。



 閑話休題

 さて、「チャカポコ」であるが、どこか狂った世界で狂った人物の歌う歌詞に登場する。そもそも狂っているのが前提である。

 作品自体も「幻魔怪奇探偵小説」という分類。そういう土台だからこそ、突飛な語が飛び出してもある程度うけとめられる。

 まあオノマトペ以外にも文体や色々と独特であるが。


 また宮沢賢治の作品の中に「雨はざあざあ ざっざざざざざあ 風はどうどう どっどどどどどう……」という部分がある。

 柏の木のセリフ(歌)だったかと思うが、これもなかなか強烈だ。

 雨の「ざあざあ」は解るが、それにつづく「ざっざざざざざあ」や風を「どうどう」と表現する作品は少ないだろう。


 宮沢賢治はこれ以外にも色々と独特なオノマトペを使っている。

 どこか幻想的な作品にはよく合っているのかもしれない。



「もふもふ」などは比較的あたらしいオノマトペだろう。ネットや漫画文化という下地があり、また受け取り手に若い世代が多く柔軟であったから受け入れられているのだと思われる。


 そういう意味では「なろう」という下地は新しい物が受け入れやすいのかもしれない。

 馬車の奏でる音に「ちゃかぽこ」をあてるような面白い物、未だ見たこともない新しい物を見つけられればと思う次第である。

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