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【第二部完結】クリムゾン・コート・クルセイド―紅黒の翼―  作者: アイセル
第七章 Apple of Discord

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不和―⑬―

「それで……二人が会いたいことについてわかったけど……?」


 ロック達と堀川達の対話に割って入ったブルースに、


「“ブリジット”から伝言だ。『“バタリオン・ピース”が、“政市会”と“政声隊”……並びに、その背後にいる“ホステル”と三条に対する戦いに加わる』、とな」


 洞窟に響き渡るような声で、バイスが続いた。


「……“七聖人”の“ブリジット”が……?」


「……“ソカル”……“B.L.A.D.E.地区”が助力……」


 ロックとブルースが突然出た一言に、眉を顰める。


「……ロック、ありがたいことじゃないのか?」

 一平がロックに問う。


 ロック達七人に対して、二つの組織だ。


 多数に無勢は明白。


 そして、一平の言うように渡りに船だ。


「ただ、()()()()()? 俺と一平が“船の墓場”で戦っていた時に、それを持ち掛けても良かったろ?」


 ロックの指摘したのは、一平との“命導巧(ウェイル・ベオ)”を使った喧嘩の後に襲来した“スコット決死隊”に、()()()()()()()”からの使者が乱入した件である。


「……それに、僕達の守ろうとした()()()()が殺されたのも西()()で、伊那口地区……つまり、“B.L.A.D.E.地区”の()()()()()だったしね……いくら何でも遅すぎない?」


 ロックの弟のサミュエルの指摘も厳しい。


 “望楼(ヴェルヴェデーレ)”としての彼の後悔と怒りが、“アルティザン”の温度を上げる。


「まあ、俺たちは“()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……」


「アタシとしては、()()()()()()()()()()()()()からね……?」


 凛華が、ロック達の間で両腕を上げながら両手をひらひらさせて言う。


 しかし、楽天的に振舞う反面、彼女が()()()()()()()()()()視線をロック達はおろか、ライトとバイスにも叩きつけた。


「“望楼(ヴェルヴェデーレ)”とまで、事を構えたくねぇよ……」


 ライトが肩をすくめて言うと、


「俺たちとしては、“電脳右翼(デンウヨ)”と“電脳左翼(デンサヨ)“があちこちで、好き勝手しているのを放置は出来ない……」


 その言葉に納得したのは、


「……それで、“()()()()()()()()()()()か?」


 龍之助だった。


「そういえば、“電脳右翼(デンウヨ)”と“電脳左翼(デンサヨ)”問わずに恨み抱いていたもんな……」


 一平の言葉に、ロックも“ソカル”について思い出したことがあった。


 “ソカル”の目的は不明だが、“リア・ファイル”に関連する能力者の保護を謳っている。


「そういえば、“命導巧(ウェイル・ベオ)”を介さない、“エクスキューズ”、“擬獣(エミュレータ)”……能力者の密集する“B.L.A.D.E.地区”を中心に“ソカル”は動いていた」


 ロックは、“ソカル”が世界中で活動していることは聞いていた。


しかし、近年は極東を中心にしていることを聞いたが、その目的については知られていない。


「確か“バタリオン・ピース”って、左右問わず活動家を攻撃しているんだっけ?」


「それどころか、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()敵視していましたね……」


 キョウコとアカリが口々に話す。


「というよりは、“バタリオン・ピース”に限らず“B.L.A.D.E.地区”の住民は“()()()()”により、()()()()()()()()()()……あるいは、()()()()()()()()()()()()住民で構成されているとは聞いている」


 ロックはそう言って、“ソカル”のライトとバイスを睨みつける。


 “B.L.A.D.E.地区”の当事者の中で、左右問わず活動家団体やメディアの報道による()()()()()()により、生活を追われた者たちが集まる集団で“B”を担う団体。


 それが“バタリオン・ピース”ということを、ロックは思い出した。


「……なら、その堀川と秋津は、そこに入ったってことを言いに来たのか?」


 ロックは堀川と秋津に目を配ると、


「いや……()()()()()()


 バイスの言葉に、ロックは妙な声を上げてしまう。


 ()()()()()というよりは、()()()()()()()が困難なあまり、と言うのが正しい。


「“バタリオン・ピース”について、わかっているなら……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」


 ライトが肩をすくめる。


 どこか、ロックは下に見られたように感じた。


 それに対して、サキ、キョウコとアカリが、納得したように声を上げる。


「……つまり、()()()()()()とは行かない……」


「最悪、こいつらが“()()()”と“()()()()()()()()()()()()()()()()()奴もチームから出てくる……」


 龍之助と一平の、堀川と秋津へ厳しい視線を向ける。


「“ソカル”としては……“電脳右翼(デンウヨ)”と“電脳左翼(デンサヨ)”についての対処は……もしかしたら、“バタリオン・ピース”しか派遣できないってことじゃない?」


「他の四地区、L、A、D、Eについては()()()()()か、()()()()()()……もしかしたら、“ソカル”が信用を取れたのが“B()()()()()()とか……?」


 サミュエルとシャロンの視線は、疑惑に満ちていた。


「辛辣だねー!!」


 ライトが笑い出すが、


「別に俺たちはここに、堀川と秋津は気にしないとして……“()()()()()()()鹿()()()()()()()()()()()()()()()()?」


 彼の口に狼を思わせる犬歯、否――()()()()()()


 だが、威圧を行うライトを制するように前に出るバイス。


 彼の長身が、一瞬、()()()()()()ように見えた。


「……わかった、護衛を引き受けよう! 良いな……ロック?」


 ブルースが慌てて、二人の依頼を受諾した。


「……少なくとも、()()()()()()()()()()()()()。だったら……受けて、出方を見るしかない」


()()()()()()()()()なのは、今に始まったことじゃないけど……護衛って、具体的にどうすれば良い?」


 ロックは肩をすくめると、


「……今頃、二人との連絡が取れない……つまり、“()()()”と“()()()()()()()()()()()()()()()


 ロックはライトに異議を唱えようとしたが、止めた。


 正確には、口から出ようとした言葉を()()()()()()()()()()()()


「みんな、伏せろ!!」


 ブルースが叫んだと同時に、駅前通りに面した“アルティザン”の窓硝子が爆散。


 ネオンに照らされた硝子が、敵意を含んだ星屑となりロック達に降り注いだ。

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© 2025 アイセル

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