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【第二部完結】クリムゾン・コート・クルセイド―紅黒の翼―  作者: アイセル
第四章 Cog by cog

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歯車は嚙み合う―⑫―

午後2時41分 洞田貫 剛一の事務所


「はい……わかりました……そのように」


胴田貫は、掛かってきた電話を、目の前にいるかのように大仰に挨拶を深々として切った。


 静寂が訪れると、胴田貫 剛一は頭に鉛が入ったように鈍くなった感覚を覚える。


「お疲れさまだね、センセ?」


 仮面舞踏会の仮面の様な笑みを浮かべる“コロンバ”。


 そして、その隣の“ケンティガン”は笑わない。


 それどころか、瞑想をしている。


 一切の問いも受け付けないというメッセージを全身から放っていた。


「……“B.L.A.D.E(ブレイド)”地区と“ソカル”……ついでに言えば、“望楼(ヴェルヴェデーレ)”まで関わってくるとは……!!」


 “望楼(ヴェルヴェデーレ)“と”ソカル“。


 二つは反”UNTOLD”組織であるが、明確な違いがある。


 まず、前者は活動家が中心ではある。


 当事者もいるが、半々と言ったところだ。


 それに世界を拠点としている。


 しかし、“ソカル”は違う。


 中心となっているのは()()()だ。


 世界で活動していたが、よりにもよって、現在、伊那口のB.L.A.D.E.(ブレイド)地区を中心にしている。


 しかも、


――政府や県、市にも反抗している!!


 “白光事件”以来、伊那口を中心とした広島市の西区の一部は、行政が無く無政府状態と言っても良い。


 その中心が五つの頭文字を関した、チームが秩序を担っている。


 上万作(あまんさく)と伊那口の境界にいる者は、五つのチームへの忠誠心はない。


 しかし、地区内だと話が変わってくる。


 ()()()()()()()()()()が、常に繰り広げられていた。


「今のところ、()()()()彼奴(きゃつ)らから、我々に関わることはしていない」


 “ケンティガン”が、重く閉じていた口を開いた。


「……つまり、我々と敵対はしていない」


「というよりは、()()()()()()()()()と考えた方が良いかな?」


 胴田貫の希望的観測を、“コロンバ”が否定する。


 しかし、彼の強調した言葉に、胴田貫は最悪の可能性を考えた。


「……()()()()()()()()()()()について!?」


 胴田貫が恐れるのはそこだった。


 ハチスカと言う産婦人科医による、告発。


 それは、“コロンバ”によって処分された。


――しかし、別のアプローチから明らかになってしまう!!


 上万作(あまんさく)の一部と伊那口の人体実験。


 それは、中央政界で活躍する民自党内の()()()()()()()と医師団体からの票田という協力との引き換えに行っていた。


 しかし、協力は票に限らない。


 金と言う形でも得ていた。


 人体実験の大元は、外資だ。


 アメリカの製薬会社とその傘下にある、日本企業からも得ていた。


 所謂、“3D資金”だ。


政治資金規正法の網を潜る為にハワイへ向かう。


小口で受け取り、外貨を広島で浄化していた。


 そして、中央と地方で活動する民自党、各政治団体や医師団体で分配していた。


 しかしながら、その蜜月は長く続かなかった。


 “白光事件”。


 それによる影響で、昏睡状態となるものが多かった。


 よりにもよって、事件発生時点で、地元にいた者たち。


 かつ、()()()()()()()()()()()()()()による不妊治療を受けた患者の子どもたちだ。


 事件の当初から、それは明らかだった。


 だから、隠ぺいを行うように努めた。


 同時に、原因究明のために“ホステル”とも手を結んだ。


 だが、協力関係は更に()()()()()()()()


「“グランヴィル協定”……このせいで」


 日本人の河上 サキが中心になって解決した、“バンクーバー・コネクション”。


 その際に、“UNTOLD”の管理を訴える“ブライトン・ロック社”と“ウィッカー・マン”対策のスペシャリスト“ワールド・シェパード”社による、対“ウィッカー・マン”技術の品質保証と技術の規格を――TPTP加盟国を対象に――順次公開していく仕組みが作られた。


 当然、“ホステル”のような“ウィッカー・マン”を使う組織と協力関係にある者に手厳しい内容である。


――これでは、確実に、私たちに危険が及ぶ!!


 広島県の様な中国地方の産業と経済の中心地。


 政権与党である民自党の地盤だ。


 そこが、自分の代で崩れてしまう。


――“遺跡”利権も、野党と“ワールド・シェパード”社に奪われてしまう!!


 現在のウィッカー・マンに対する防衛だが、国主導ではない。


 国が護憲で動けない部分を、外国の企業である“ワールド・シェパード”社が担っている。


 しかも、“ワールド・シェパード”社は野党である、憲政主民党と親和的でさえあった。


 つまり、今、世間を騒がせている“UNTOLD”関係は()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 胴田貫 剛一は、国防についての主張は控えめだ。


 しかし、国の行政組織と民間企業――しかも、外資系企業――との二人三脚について、受け入れざるを得ない現状については複雑だった。


 極めつけは、胴田貫 剛一を悩ませていたのは、地方と国の関係に限らない。


――()()()()()()()()()()()……。


 剛一の父、剛介は日本の未来を憂いている。


 それは、息子の剛多にも影響を及ぼしていた。


 二人の共通点と言えば、()()()()()()()()()()()()ことであろう。


 同時に、後先を考えない癖もある。


――二人の妙な関心が無ければ、()()()()()()関わることはなかった……。


 同時に言えば、上万作(あまんさく)学園の乱闘、国道の自動車事故に加えて、上万作(あまんさく)と伊那口の境界での火災もなかったことだろう。


 剛一はそこで思い出したように、


「“コロンバ”……それで、“スコット決死隊”の――」


「……ダグラスとエヴァンス?」


 剛一が名前に窮していると、“コロンバ”が答えるが、


()()()()()()()が、()()()()()()()()()()()必要がある」


 詳細を“ケンティガン”が話すという、剛一は予期せぬことに驚いた。


「そういう意味で言えば、剛介氏……働くよねー」


 “コロンバ”の一言に、剛一はため息を吐いた。


 “大和保存会”の菅原という老人と一緒に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 何故か、()()()()()()()()()()()()()()()()()”の尾咲と鍛冶も連れだって。


「なら、センセも早く動かないとね……ハチスカとコンタクトを取った人たちを」


 胴田貫は天にもすがる思いだった。


 “望楼(ヴェルヴェデーレ)”と接触したハチスカ。


 彼が()()()()()()()()()()()()()()


 胴田貫は、懐の携帯通信端末(スマートフォン)を取り出し、番号を入力した。

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© 2025 アイセル

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