第伍話:ドウワのハナシ
悪しキ者……夢トモ思わヌ……所業の行イ……願エ……何ヲ望む……
「だからぁ、言ってんじゃん! オンナのカラダは安くないって。もしかしてウチが無料で優しく微笑んであげるとでも思ったわけ? ウザ……ウザすぎんでしょ、あんた。そもそも今時、タダで女の子とご飯行けるとかお利口さんですかぁ? もう帰れよ」
あぁ、キモうざ。毎日毎日、モテなさそうな男の相手をしているのは優しさでも無ければ夢を与えるわけでもない。当然すぎるけど金の為。それ以外にありえない。
そもそも私ほど美しすぎる女に声をかけられるだけでも、ありがたいと思え。少なくとも金に困ってないし、はっきり言って不自由してない。でも、こんな完璧な私でもなってみたいものがある。
それはいかにも大人しそうで、純粋な心の持ち主で、男どもが守ってあげたくなるような可愛い女の子。
ソレが願イか……デハ、ソノ夢、見るがヨイ……悪しき女……麗良よ。
「はぁ? 何様……誰だよお前? しばくぞ?」
文句をうだうだ言う前に、私は強制的に夢をみることになった。よりにもよって、私の嫌いなシンデレラという童話の中に。