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第8話 あなたはどんなことをしてきたんですか?

謎の少女、ニアはヌーツが話したことが嘘であると言った。その理由が今、明らかになろうとしている。

ニアの次の言動にグイーダ達はごくりと唾を飲んで待った。


「わかった理由、それはこの人の目っす。話しているとき、目の焦点が合っていなかったっす」


「確かにこの人のさっきから挙動不審でしたが……」


続けてニアは話始めた。


「それだけじゃ証拠にならないっすよね?」


その言葉にグイーダはうんと頷く。


「じゃあさっきのこの人の言動を思い出すっす」


「言動……ですか?」


「そうっす。この人は人よりも物のような扱いなんだよって言ったっす。そして、その前までにこの人を物に例えたっすか?道標とは言ったが、それは役に立つと言う意味っすよね?」


その質問にミツルはうむと言いながら頷いた。


「そして、その言葉で連想し、物扱いされているって感じたってなら考えられるのは誰かに道具のように使われたことがあるということだ。」


(なるほど。確かにニアさんの言う通りです。しかし、この短時間でそれだけのことを知ることが出来るなんて……この人は状況判断力が凄まじいです)


グイーダはそう思った。そして、ニアにひとつ質問した。


「ニアさん、あなたはどんなことをしてきたんですか?それとも……」


その先を言わずにニアは質問に答えた。


「いいえ、なにもしてなかったっす。この世界のどこにでもいるただの少女っすよ」


「その割にはすごい状況判断力でしたが……」


「それには触れないでください」


ニアはなにか悲しそうな顔で質問を拒絶した。


「なら仕方がありません。ヌーツさんに話を聞きましょう」


そう言うと、ミツルとマリンがヌーツに近寄った。


「さぁ、どうして嘘なんか話したのかなぁ?」


ミツルが悪そうな口でそう聞いている。


「どうしてだぁー」


マリンも続いて聞いている。


(マリンさんの方は意味がないような……まぁ、無邪気で何よりですけど)


「おっと、無邪気ならアタシも負けてないっすよ?」


「ふぇっ?」


いきなりのニアの言動に驚きが隠せなかった。


「えっ!?今私の心の中読みました?」


恐る恐るニアに質問する。


「読んだっす」


「え、じゃあなんて考えてたか言えます?」


「はい。言えるっす」


「ほ、ほんとに?」


「疑い深い人っすねぇ。わかりました」


「わかったって、なにがです?」


そう言うとニアは大きく空気を吸い込み始めた。そして、少しの沈黙のあと、


「マリンさんの方は意味がないような……まぁ、無邪気で何よりですけど」


ニアはそう言った。


「えっ!ななな何で?」


「読心術っす」


「もしかして今までのこと全部?」


「はい。聞いてたっす。もっと言えば、それにつられてここに来たっす」


(今までのことが全て読まれてたなんて……この娘、一体何者なんでしょう……)


「さっき言ったじゃないっすか。普通の少女っすよ」


(これまで読まれたっ!?)


「なんで心のなかでツッコんでるんすか?」


「そ、それは……」


グイーダはもじもじしながら話し始めようとした。


「あ、言わなくて大丈夫っす。大体のことはわかるっすから」


「う、うぅ……」


グイーダは何かしらの戦いに負けてしまったような気がした。


「ビクトリアさん達の様子はどうでしょうか」


「そこまではわかんないっす。けど、それは見た方が早いっす」


そういうと二人はミツル達の方へ向かった。


「そちらの様子はどうっすか?」


ニアが聞くと


「こんな感じだ」


とミツルは言い、ヌーツの方を見せた。すると、そこに広がっている光景にグイーダは目を背けそうになった。


そこには拷問に耐え続け、全く自白していないヌーツがボロボロ担っていた。爪ははがされ、目の回りには殴られたようなあとが無数にある。歯もあと数本というところだ。さすがに喋れなくなるので舌は抜いていない。


「や、やりすぎじゃないですか?ほぼほぼ殺しの状態ですよ?」


「あ、そこは大丈夫。この人はもう何回も死んでるから」


ミツルからこんな言葉が飛んできた。


(もう……何回も……死んでる?どうゆうことなんでしょう?)


「その説明は私がします」


と、手を挙げてこちらに来たのはマリンだ。


「私の蘇生魔法と治癒魔法、そして修復魔法で全て元通りです。だから死んでも生き返ります」


「え、マリンさんってそんなに魔法の腕がいいんですか?」


「お父さんにいろいろ教わりましたから。鍛冶屋の仕事で死ぬことがないようにこれは覚えとけって言われてますから。あ、そうそう、でもお父さんの仕事は継ぎませんがね」


(今親不孝的発言が出たような……)


そんなことは気にしていられないとグイーダは思い、言葉を返す。


「継ぐ継がないは良いとして、すごいじゃないですか。こんな魔法が使えたらもう怖いもの無しじゃありませんか」


「ちなみにこの魔法は自分にも使えますからね」


(す、凄い、凄すぎる)


グイーダは驚愕のあまり目玉が飛び出そうになった。


(言葉にならなさすぎます……)


「凄いっす。言葉にならないっす」


ニアはおそらくグイーダの心を読み、それを言葉にしたようだ。


「けど、もうあと一回くらいしかできないです。魔力切れです。誰か回復させてください」


マリンはそう言った。


「それはどうやれば?」


「キスです。キスで魔力を送れます」


「はぁ。……ってはぁ!?」

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