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第5話 私はなにも知りませんからねぇ

「呼ぶってどうやって呼ぶんですか?相手は国家権力のようなものですよ!」


マリンは容疑者をどう呼ぶか聞いてくる。


「方法ならあるさ。僕に任せてくれ」


「ほ、ほんとに大丈夫なんですかあ?」


グイーダも心配そうにしている。


「ぐ、グイーダさんまで……大丈夫ですって!」


そう言うとズボンのポケットからなにかを取り出した。そこにはあの忌まわしき王の写真が張られている。


「な、なんなんですの?」


「え、えぇぇぇぇ!?な、なんでこんなの持ってるんですか?」


マリンは大きく叫ぶと、目を丸くしてミツルのところに寄ってくる。


「はっはっは!これはなんでも命令可能な道具なのさ。このメダルには魔力が込められていて、この持ち主の命令には逆らえないって訳さ」


「す、すごいですぅ。ビクトリアさん、いつこんなのを?」


皆が疑問に思っていることを聞いてきた。


「あのあと、情報提供をしてくれた人からもらったんだよ。でもこりゃあ本物だって言ってたぜ」


ドヤ顔でグッドと親指をたてている。


「そそそれはすすすごいでですすすす!」


マリンは興奮を押さえられない。だからか、言葉が出てきていない。


「いくらなんでも……」


グイーダは肩をピクピクしている。何か言いたそうにしているが、今回は我慢と思い込ませ、衝動を押さえる。


「じゃあ容疑者どもを呼んでくるか」


「はいっ!お供します!」


マリンは完全にミツルの言うことに従っている。

グイーダは思った。

(……これ、完全にアウトじゃ……)


「もちろん私も……ついていきますよ」


思ったことも心のうちにしまい、今は彼のサポートをしていけと考えている。



それぞれ容疑者を連れていくことには成功したが、大変であった。

第1の容疑者、鍛冶職人のヌーツはいきなり赤く染まった鉄のようなものをひょいと放り込んできた。それにより火花が散り、それがミツルの足に辺りに火傷を負った。さらに、その放り投げた鉄をハンマーで叩き始めた。


「俺は忙しいんだ。あっちいっててくれ」


そう言い、ヌーツはミツルたちの話を聞かずに業務を黙々と行っていた。

そこではちキレたミツルは


「き、貴様には殺害の容疑がかかっている!今すぐ来てほしいさもなくばぶっ殺す!」


とうとう禁句を言ってしまったか……。グイーダは思った。それを言ったらミツルさん、あなたが首ちょんぱですよ。私はなにも知りませんからねぇ?心中で思った。


「おっと失敬、ではこの道具で来てもらおうか。さあ、来てもらおう」


ミツルが出したバッジをかざすとそのバッジは光りだした。するとヌーツの目は光を失ったかのようにその命令に従った。とあるレストランに連れていき、


「ここで待ってろ」


と言って立ち去った。それがまず第1の容疑者を連れていくまでに使った労力だ。

レストランではマリンに見張りをやってもらった。



第2の容疑者カツルを連れていこうと彼が経営している薬局らしき建物に入ると、何故か歓迎された。

その後はその歓迎に誘われるがままにお茶を飲み、お菓子を食べた。そこから異変が出たのはすぐだった。

右上のカーソルに毒と麻痺のアイコンが出た。

実に分かりやすいものだ。だってこの世界はゲームみたいなものだからだ。


「ビクトリアさん、み、右上を……」


そこからはグイーダはあまり記憶が無いが、ある言葉ワンフレーズだけ覚えていた。


「噂は出回ってる。その足止めをさせてもらう」


…………そこからはなにも知らないのがグイーダの現状だ。気づくとすでに使役できていた。それが現状。




第3の容疑者、ツニメは唯一の女性。素材屋を営んでいるため、まずはその店に行く。


「あのぉ、ツニメさんはいらっしゃいますか?」


ミツルがかしこまったように言う。


「彼女なら今山奥で石採ってるよ」


女性が地図に示した通りのグレルトナミ山に行った。その山は相当な高さがある。確か、2000メートルほどあるはずだ。その山を急いで登るが、その山頂には誰もいない。近くの洞窟もすべて探したが、人の影がないと思いきや、魔物が大量に現れ、その始末をした。後から気づいたが、この山周辺の洞窟には鉄鉱石はおろか、実用に使える石事態が存在していなかった。


「ミツルさん、ここはなにもないですね。もしかして騙されちゃいましたかねぇ?」


「あっ!もしかしてあの受付のねーちゃんが容疑者のツニメだったんだ!急いで戻るぞ!」


「は、はい」


町に戻ると、案の定素材屋は閉まっていた。周辺の人に聞いたところ、ツニメは変装して中心部に行ったよとの情報があり、レストランへと向かった。




レストランに着くと、説得をしているように見える。


「早く逃げてくれ!」


慌てた口調でそう言っている。


「何をいってるんです?俺は自分の意思でここにいるんですが?」


「僕もですがなにか?」


容疑者二人はそっぽを向いている。バッジの効力は解除しない限りずっと続く。

そこにツニメにもバッジの効果を与えた。




第4の容疑者であるフタミチは何故かあっさり捕まった。


「来ることはわかっていた。早く捕まえてくれ」


「わかった。じゃあこのバッジの餌食になれ」


四人の中で一番手強いと思っていたはずだが、軽かった。恐らくは作戦は考えていたが、バッジを使われるとは思っていなかったのだろう。

彼は情報屋だ。つまり、他の情報屋にウソを教えられたのだ。


「そういえば、バッジをくれた方は情報屋でしたね」


「多分そいつがその情報を流したんだろうな」


ここまでが容疑者を連れていくまでにかかった労力だ。





やっとの思いで容疑者四人を半強制敵に呼ぶことに成功した。


「んじゃやっていきますか。マリン、例のあれ持ってるか?」


「あれですね。もちろんです」


「なら始める」

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