第3話 チュートリアルを続けますよっ!
「では、チュートリアルを続けますね」
「お願いします」
するとグイーダは一枚の紙をミツルに差し出した。
そこにはギルドメンバー募集と書かれた募集用紙だった。
「ギルドに入った方がいいんですか?」
「はい。その方が何かと効率がいいので」
「なるほど。じゃあこのギルドの他にもギルドみたいなのってありますか?」
「一応ありますが、募集用紙が見つからなかったもので……申し訳ありません」
「謝る必要はないけど、ソロでいるってのも良いんだよね?」
「もちろんです」
またもや営業スマイルでそう言った。
ミツルの心には密かな感情が作られているように感じる。しかしこの交流も7日間だけなのでミツルは諦めるしかない。
ミツルは首を横にブルブル振ると、グイーダは少し疑問そうに覗くが、その事は無視して、話を続けた。
「もちろんお金も必要ですよね?」
グイーダのいきなりの質問にミツルはオドオドしかけたが、すぐに平然となり、
「そりゃ必要ですよ」
と言った。
「そうゆう時はクエストでお金を稼いでください。そうすれば新たな装備を手にいれたり、食事もできます」
「ちなみに初期の所持金っていくらなんですか?」
「えっと……少々お待ちください」
グイーダは何か別の紙を取りだし、色々調べ始めた。
「この世界の通貨はエルですね。あなたが持ってるのは1000エルです」
「ちなみに1000エルって日本円にすると……」
「知りません」
「え?」
「あんまり前世のことを考えないほうが良いですよ。何せ今の服装を見ればわかりますが、他の人から見たら野蛮人ですよ。ですからかるーく日本とか話さないほうが良いですよ」
彼女はそう言いまた営業スマイルを見せる。その度にミツルの心にグサッと来る。
「わ、わかりました」
「あと、この服は処分させてもらいますね」
そう言うと、ミツルが来ている服がバチバチ音を立てながら燃え始めた。
「う、う、うわぁ」
ミツルは控えめに叫ぶ。
「どどどどうするんですか。服がなかったらこの世界で……」
ミツルはここから先は恥ずかしくて言えなかった。
「服なら差し上げますよ。そりぁこの世界で服なんて来てなかったらソッコー牢屋行きですよ」
そう言い、西洋風の服を渡した。
ミツルは急いでその服に着替えた。そして、一息ついた。
「チュートリアルを続けますよぉ」
何かグイーダのペースに付いていけないような気がするが仕方なく小さく頷いた。
「クエストの受け方はいくつかあります。まずは掲示板から受注する方法です。掲示板の隣に受付があるので、そこに提出し、クエストをこなした後はどこかの掲示板受付に行って報告すれば完了です。他にも色々ありますが、まずはその掲示板に行ってみないとなにも始まらないので向かいましょう」
「はい!」
掲示板のところまで向かっているときに一人の少女が現れた。何か心配そうな顔で辺りをキョロキョロしている。目には涙が滲んでいる。
「どうしたんですか?」
ミツルは少女に話を聞こうと話しかけた。
「あ、冒険者の方ですか?」
「え、ええまあそうですが……」
半分嘘を言っているような気がして、謝罪の念があるが、仕方がない。どうやら緊急事態のようだ。
「良かったぁ。あ、あの……私の父を助けてくれませんか?」
「君のお父さんがどうかしたのかい?」
「国側の意向で30分後くらいに私の父が処刑されてしまうんです」
「え?な、何で処刑されちゃうの?」
「冒険者さん、知らないんですか?この国で今一番の出来事ですよ」
「ごめんね。長いこと旅をしていたもので、情報が全然入ってこないんだ」
「あ、そうゆうことでしたか。なんかすみません……」
少女は少し俯きながら謝った。
「あ、謝る必要はないよ」
「それで、処刑というのはなぜ行われるのですか?」
グイーダが少女に質問をした。
「実は私の父は冤罪で捕まったんです。ひとつ大きな殺人事件が発生して、それの犯人として捕まったんですけど、それが発生した時間は私と一緒にいたんです。なのになぜか父が捕まり、話を聞かされて……なにもしてないって言ってるのに国側の衛兵隊は拷問をしてまで白状させようとしてきたんです。何も調べずに……」
そう言っているときから少女は泣きそうで嗚咽を堪えながら話をした。
「大体わかった。今から向かおう。時間がない、お嬢ちゃん場所を教えてくれないか?」
少女はミツルを見てミツルが本気であることに気づき、
「こっちです」
と案内を始めた。
「そういえば、名前は?」
「私はマリンと言います」
「僕はビクトリアって言うよ」
「私はグイーダです。よろしくお願いします」
「ビクトリアさんにグイーダさんですね。今回は本当にありがとうございます」
「いいってことよ」
ミツルはそう言い、全速力で走り出した。
町の中は入り組んだように迷路の状態であり、そこを軽々とマリンは走っていく。
「後少しで着きます。恐らく父はもう処刑台の上にいると思います」
「わかった!間に合ってくれ!」
そのまま走っていくと広場のようなところに出た。そこでミツル達が見た光景は目を疑いたくなるような状態だった。そこにはすでにギロチンで頭を切られ、晒し首になっている人がいた。
「多分次に処刑されます」
「わかった!」
ミツルはそのまま全速力で走っていき、処刑台の前に止まると
「異義ありっ!」
そう大声で叫んだ。