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第1話 ここが転生志願者仲介所ですっ!

「今日の天気は曇り時々雨でしょう」

 ここのオフィスの中では天気予報が流れるのがいつもの朝の流れである。

 だが、ここではいくつかの音声が更に流れている。

&*/%@h(今日の)sjsj/%h@(天気は)%bz@@(快晴でしょう)

 普通の人間では聞き取ることができない。そんなものがなぜここで流れているのか。それはこれから始まる物語が教えてくれるだろう。

 さあ今日もロマンを求めて様々な人がやって来る。

 ちなみに建物だが、1階が喫茶店になっている。ちょっと隠れ家的な所にこのオフィスは存在する。



 そんなオフィスの従業員は和服を着た女の子である。彼女こそが新たな世界への案内人、人呼んで《仲介者》である。

 彼女の名前はグイーダ。確かイタリア語で《案内人》という意味だったと思う。

 彼女に秘められた力はその加護を受けた人しか知らないのである。そして、これを伝承するものもいない。

 ではここで私は失礼しよう。



「ごめんくださーい」

 このオフィスの中にまた一人依頼者が入ってきた。彼の名は堂島充(とうしまみつる)と言う。彼もまた転移志願者である。

「はーい。お呼びですかぁ?」

 グイーダが受付に出る。

「あ、はい。このチラシを見かけたものでして」

「あら?このチラシ、まだあったんだぁ」

「いや、あなたが貼ったんじゃないんですか?」

「貼ったけども覚えがないんですぅ。すいませんねぇ」

「えっと、ここって転移志願者仲介所で合ってますか?」

「はい!ここは転生志願者仲介所ですっ!」

 グイーダは満面の笑みでそう答えた。

 充はマジかよと言いそうな目でグイーダを見る。

「て、転生限定なんですか?」

「はいぃ。転生限定でございますぅ」

「ちなみにどうやって転生が?」

 来る人が絶対に聞くこと、それが転生の方法である。

「死んでもらいます」

「今さらっと怖いこと言いませんでした?」

「ええ。言いましたよ?それが何か?」

「いやさすがに死ぬ体験はごめんだわ」

「死ぬ必要があるわけではないですが?」

「ならそう言ってくださいよぉ。めっちゃドキッとしたじゃないですかぁ」

「えへへ」

「えへへじゃないですって。あっ!それよりも僕、転生志願者なんですけど……」

 充は言い改まったように本題に入ろうとする。

「あー。そうでしたねぇ。あ、ならこの用紙に必要事項を記入してください」

 グイーダは充に「転生志願記入用紙」を渡した。そこには転生についての注意事項が書かれている。

「注意事項に記憶についてって書かれているんですけど、これって……」

「はいっ!この転生をしたものはもとの世界では死亡した扱いになります。つまり転生後はこの世界が前世になります。そのため、記憶を保持しておきたいかどうかも選択することができます。その記憶を保持しない場合は前世ではいなかったことになりますがね」

「なるほど。忘れたけりゃ忘れることも可能ってことか」

 充はグイーダが説明したことで大体のことを納得した。そして、用紙に必要事項を記入し、提出した。

「転生後はこの世界には戻れませんが大丈夫ですか?」

「はい。大丈夫です」

「1週間ほどサポートありで私が着いていくことができますがどうしますか?」

「え、そんなのあったんですか?」

「あるけど書いてないので気づく人なんていないんですよ。で、どうされます?」

「じ、じゃあお願いします」

「ちなみに転生されたい理由って何ですか?」

「最近小説とか読んでるとVRMMOが出てるけど、この世界にはまだないでしょ?けどもうそうゆうことがやりたくて仕方がなくて、それで昨日このチラシを見て転生したらそのようなことができるんじゃないかなと思って……

出来ますか?」

「もちろんできますよ。VRMMO的な世界ですね。承知しました。ではお代を」

「え、お金取るんですか?」

 するとグイーダが舌を出してお茶目そうに笑うと、

「そんなわけないですよ。やっぱり騙されるんですね」

「なんだぁ。お金必要なかったのかよぉ」

「チップは頂戴させていただくことは可能ですけどね」

「じゃあ今持ってるお金全部出します」

 総額にしておよそ35000円にもなるチップを渡してきた。

「では、早速転生しますか」

「はい。お願いします!」

「……と言うわけにはいかなくて……今いただいたチップを返却しますので、また明日来てください」

 すると先程の35000円を充に渡しながらそう言った。

「わ、わかりました。また明日来ます」

「はい、お待ちしております。新しい名前を考えておきますね」

「これって僕が考えても大丈夫ですか?」

「ええ。可能ですよ。明日までに教えてください」

「わかりました。何から何までありがとうございました」

「いえいえ。ではまた楽しみにしていてくださいね」

「じゃあ、また来ます」

 充はオフィスを後にした。

「VRMMO……ですか」

 彼女はそのまま明日のために準備を進める。転生する世界。最初の所持金。武器、職種などを彼の適正を調べながら行う。

 充のこれからの運命は……

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