胡蝶之夢
いっつも見る夢ってありますよね
昔、中国の思想家が言った。夢の中で蝶になって飛んでいる時があるだろう。だがそれが夢だと言い切れるのか?もしかしたら今いるこの世界が蝶の見ている夢じゃないのか。
簡単な話。夢が本当の世界で、今現実だと思っているのが夢ではないか?という話である。
僕は本でこの話を読んだとき、心からそうであってほしいと願った。
僕には小さい頃からたびたび見る夢があった。そちらの世界は美しく、優しく、暖かく。理想の世界だった。
その夢の世界のことはあまりよく思い出せない。ただ白いイメージが残る。
今、僕のいるこの世界は夢の世界と比べると美しくない。人同士で騙し合い。妬み合い。憎み合い。殺し合う。まぁ夢の世界のすべてを知っているわけではないが。。
だがこんな世界が、こんな世の中が本当の世界であることが不満でならなかった。
≪3月6日≫その夢をみた。夢の中にかわいい女の子が出てきた。
「ーーーちゃん。今日もきたよ。今日はーーがいいね」
かわいい女の子は花を持っている。どっかでみた顔だ。思い出せない。
ここで現実に戻ってしまった。
学校に行くために目を覚まし、お腹が空いてしまい食べ物を食べる。そんな日常に戻ってしまう。そういえば夢の中で食べ物を食べたことがない。
≪3月10日≫また夢をみた。最近この夢を見る頻度が増えている気がする。
「今日はーー日ですよ。ではーーさん、ーーを取り替えますね。次はーーを拭きますね」
この夢はすべて人が僕の世話をしてくれているのだろうか。寝ているだけでいいのだ。なんて理想的な世界なのだろうか。所々聞こえないのが残念だ。
現実の世界は今日も平坦でたんたんと進む。授業はつまらないし友達は同じことを繰り返して笑うのだ。ああなんて退屈な世界だろう。
≪3月12日≫授業中寝てしまったのか夢をみた。
「いつまで寝てるの起きてよ…。帰ってきてよ。ーーーさん待ってるのよ」
夢の中でも寝ているのか。流石だな僕って。でもなぜこの女の人はこんなに悲しそうなのだろうか。
「こら、起きろ。授業中寝るなって。次寝たら宿題増やすからな」
先生に怒られて起きてしまった。もっと夢を見ていたかった。
≪3月13日≫通学の電車のなかで寝てしまったようだ
ピーピーピーピーと音がする。
「ーーーー、ーーーは助かるんですか!」夢の中なのに騒がしい。
「手は尽くしてます。ですが後は彼の力次第ですね…」
全く話が読み込めない。。
「おい。駅ついたぞ、起きろ!今8時35分だぞ!あと5分で教室いかないと遅刻だよ。」
「あ、わりぃ。」
「てかすごい汗だな。どうした」
「どうもしないよ。てかお前誰だ?」
「は?」
「誰だ、誰だ誰?だれ?だれだ?誰?誰だ、誰?誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰だれ、、」
ぐちゃぐちゃになる頭のなか。焼けたようにあつくなる体。頭が痛くてたまらない。心臓が破裂しそうだ。わけがわからない。俺は誰だ。
「誰だ、誰なんだよ…。アアアアアア」
≪3月13日≫気絶したのか、さっきのはなんだったのだろう。
「3月13日20時40分、ご臨終です。」
白い服の人が手を合わせている。ああ、医者か。
「なんで…早すぎる…。お母さんより先に行くなんて…」
泣いてる女の人。いや、お母さんが泣いている。
「おにいちゃん…あぁ…おにいちゃん」
かわいい女の子。いや、妹が泣いている。
ああそうか。夢の世界で僕は入院していたのか。で死んだのか。
それはそうと、今回はいろいろはっきり聞こえるな。
「かいとさんの体を拭きますね。」
看護師さんが体を拭く。そういや、かいとって名前だったんだ。
それにしてもこの夢は長いな。こんなに寝たら学校に遅れちゃうだろ。
そしてそれから僕はもう一度≪現実≫を見ることはなかった
美しいと思ってた世界は病院のベットの上の世界で、平凡で嫌な現実だと思ってた世界が夢だったりしてね




