ダンジョン
俺は魔王の部屋を出て壁の両サイドに一定間隔で灯っているロウソクを頼りに薄暗い廊下を真っ直ぐに歩き出した。
歩くとすぐ壁にぶつかり道が左右に分かれていた。試しに右にいくとまたも左右に道が分かれていた。何度かそれを繰り返す内に、やはりこの魔王城はダンジョンになっているのだと俺は悟った。
次第に来た道順を忘れそうになり、俺は不気味な暗さとひんやりとした空間に足が震えだしこれ以上行ったら部屋に戻れなくなりそうだったので帰ろうかと思ったが、もうすでに俺の空腹度はMAXだった為、やけくそで俺はズンズン適当に廊下を進んでいった。
途中俺は同じ所をぐるぐる回っているような錯覚に襲われたが大分進んだところで下へと通じる階段を見つけ、ちゃんと進めていたことに安堵しつつも俺は足音を鳴らしながら階下へと降りていった。
何時間が経っただろうか、あれから俺は三層ほど階を跨いだが、魔物に出くわさないどころか魔物の気配がどこにもない。いくつか小部屋の行き止まりがあったが、そこには何もなかった。何もなかったといえば嘘になるが、とにかく魔物はいなかった。
どっかに魔王用の厨房や冷蔵庫でもあるのかと思ったが、そんな都合のいいものはなかったみたいだ。もしかしたら魔王の部屋のある階にあるのかもしれないが、今更遅い。
俺はもう大分下の階まで降りてしまった。今更引き返すことも出来ないが、確か俺の固有スキルにワープがあったことを思い出す。
しかしスキルの使い方がわからない。
念じてもうんともすんともならないため、
「ワープ!」
と叫んだが、ただただ恥ずかしいだけに終わった。
どれもこれもMPがクソなせいだ!
そのまま俺は歩き続け、気付けば俺は魔王城の入り口へと到達してしまっていた。