俺は死んだ
俺の名前はまおう ゆうま(21)♂、ニートだ。
大学に通う意味を見失い、大学を中退し、今は実家で自宅警備員という仕事をしている。
母親には「働け!社会のクズ!」と毎日罵詈雑言を浴びせられているが、俺は気にしない。
俺は自分磨きという名のレベル上げに忙しいんだ。
そんな俺だが、今日、不思議な出来事が起こった。
俺の部屋の壁に突然大穴が開いたのだ。
ボロボロと大穴の端のコンクリ片が崩れ落ち、外の澄み切った空が俺を照らした。
嘘だろ?そう俺は思った。だが嘘じゃなかった。
外にいた近所のおばさん数名と目が合った。一人近所の美人さんもいた。
人様に見せられない醜態を晒してしまった俺は一時の気の迷いでそこから飛び降りて死のうと思った。
だがそんなことで死ねるわけがない。すぐに俺は現実に戻り、そして世界の全てが怖くなった。
壁に開いた穴。どうやって塞げばいいのか。修繕費はいくらかかるのか。俺の部屋はどうなるのか。近所の人に何て言われるのか。母親は笑いものにされるのだろうか。
俺は人生終了を確信した。目の前の壁のように全てが俺の中で崩れ去るのを感じた。なにもかも終わりだ。俺だけじゃない、家族の人生も壊してしまった。俺はとんだバカ野郎だと今更ながらに後悔した。俺の人生は、いったい何だったんだ? なにこのクソゲー!!!
やはり俺は死ぬしかないと思った。
電車にひき殺されて死のうと思った。それが何百何千何万という人の迷惑になるとも考えずに。
俺は部屋を出て、廊下に置かれていたトレイに載った冷めた朝食を踏みつけ、盛大に階段を転げ落ちた。
そしてその時に脳天を打って、
俺は多分死んだ。