紅の精霊
前書き
初めて見ていただく方のためのちょっとした説明
(前書きが少し長いですが、以前の話の構成が下手すぎるので、前話を見るよりもあらすじを見てから読むのをお勧めします)
霧島 翔
本作の主人公。基本的には行動しないが、やるときには熱い男。癖毛が特徴の黒いストレートの凛星高校1年生剣道部。
清水 凛
翔の同級生であり、剣道部のマネージャー。何一つ乱れのない黒髪のロングストレート見る者を魅了する大きく綺麗な瞳、誰にでも優しく接してくれるので男女からの人気も高い。しかし、彼女は翔に想いを馳せており、何度も翔にアピールするが、翔が反応したことは一度もなかった。
イフリート・ジェノ
翔の体に住み着く自称精霊。別名「焔鬼精」であるが、名前通りの特徴は見当たらない。喋り方は男のようだが、今のところは不明。現れる時は必ず翔の意識に乗り移って登場するのだが、そうした場合、何故か翔の顔が陰で覆われ、紅く光る目と大きく横に開いた口しか目視できなくなる。
虚
翔の亡くなった幼馴染が出した黒い化け物。個人の意思は無いが、誰かが意思を送ることで動く。形は人間だが、表情は虚ろのように全く無く、移動方法も街角の影などに潜めて移動する。武器は手から変形する鋭爪で、目的を遂げるまで
あらすじ
ある学校の帰り道、一人暮らしの翔は今日の献立の材料を揃えに街へ入ったが、5年前に亡くした幼馴染とそっくりの幼い少女を見かけるが、翔は気になってその少女の跡をつけたいが、翔は途中で謎の黒い人間2人に襲われる。だが、例の幼馴染に似た少女にその人間で襲わせたのは自分だと告げられる。そして、黒い人間の変形した腕が自分の頬を掠める瞬間、眩い光が翔を包むと同時に青い剣が翔の目の前へと現れた。その後の黒の人間との激しい逃走劇から脱し、心も体もボロボロの翔の色のない目で見たものは自分の同級生の凛があの黒い人間に殺される寸前であった。自分が助けるという淡い願いが打ち砕かれたその刹那、翔は意識を失った──
「……あなたは……誰……なの?」
血まみれの男の死体の側に降り立った男に、私は震えた声で尋ねた。だが、その男が誰なのかは絶対に間違えることはなかった。なぜなら、その男は紛れもなく私にとって大切な人である『翔』そのものであったからだ。しかし何故だろう……この男は翔ではない。少なくとも今日の夕方で別れた翔ではなかった。黄昏時も過ぎ日も落ちたからかは分からないが、翔の顔全体は影で覆い尽くされており、目で確認できるのは紅く煌く小さくて丸い目と、三日月状に大きく開いた口のみで、既にホラーな雰囲気を醸し出した。
(うぅ……こ、怖いよぉ……)
半泣きの私の姿を見た翔君は口を一つも動かさず、プルプル震え始め──
「ブフッ、ギャッハハハハハ!!!! なんだよその顔! 可笑しくてしょうがない!! ウケ狙いなの? それウケ狙いだよね?」
「……ふぇ?」
翔君は突然吹き出し、腹を抱えて爆笑した。その声は今いる商店街中に響き渡った。流石にそこまで笑われるとこちらも黙ってはおけないのだが、今の翔君の状況がわからない以上、こちらが何かを物言うことはできない。私は恐る恐る何とか情報を得られないかと彼に尋ねてみた。
「あ、あの…」
「ん? あぁ、確か君は……凛だったよね?」
翔君は私の呼びかけでようやく落ち着き、目も少し小さく、ボヤけた円に戻った。私のことは知っているということは翔君の記憶があるということだが、なぜか先程の翔君の様子は感じられない。
「そうだけど……貴方誰なの? 何で私のこと知ってるの?」
すると翔君は今日一番と言っていいほどに大きく目を見開き──
「え、分からないのかい!? やっぱり、胸がデカいほど馬鹿なのは本当だったようだな!」
「!?」
純粋な疑問とともに盛大なセクハラをかました。
「デ、デカくないし、バカじゃないもん! 今度そんなこと言ったらぶっ殺してやる!」
「おいおい、そんな言い方は綺麗な淑女には似合わないよお嬢さん?」
「ぐっ……」
くそぅ……調子が狂う……。中身は違えど体は翔君であるため、彼の一つ言う度に私の内から秘めたる感情が湧き出し、一気に私の顔を紅くする。このままではダメだと私は頰に感じる熱を体内へ押し込め、私は尋問を再開した。
「えっと……そもそも貴方は誰なの? 見た感じ、翔君ではなさそうだけど……」
「正解! 流石はこの少年に想いを馳せてる女だ!」
「ち、ちちちち違うからね!? な、何言ってるのよ!!」
なんでこいつその事を……。 もしかしなくても私って結構分かりやすいのかな……? そんな心配の中、翔君は左手を胸にポンと置き、高らかな声と誇らしげな笑顔で名乗り上げた。
「僕は『翔』の身体を借りている精霊、イフリート・ジェノ! 別名、『焔鬼精』さ!」
「へー。」
「ねぇ、興味なさそうに相槌打つのやめてくんない? 恥ずかしくなるんだけど」
「いや〜いきなりキャラ変わって、本当に何かに取り憑かれたのかなと思ったけど、実は翔君厨二病だったんだと思って、ごめんね? 今まで気付かなくて……私がちゃんと、側にいてあげれたら良かったのに」
「やめて! そんな風に可哀想な痛々しい人みたいな雰囲気出さないで! 僕本当に精霊だから! 厨二病じゃないから!」
先ほどの仕返しのつもりだったのだが、思いのほか反応が可愛く、崩壊し行く状況に1つの癒しをもたらした。だが、これ以上涙目のイフリート苛めるとどうなるか分からなかったので、とりあえず話だけでも聞くことにした。
「はいはい分かりました、君はイフリートで翔君に宿っている精霊ってことでいいのね?」
すると、よほど自分を信じてくれたのが嬉しかったのか、涙を腕でゴシゴシ拭き、胸元を突き出して、得意げに言った。
「そうさ、僕はイフリート! 5年前から翔の中に宿る精霊さ! イフって呼んでくれ!」
あぁ……子供っぽいなぁ……、翔君ではなさそうだけど、こんなのが取り憑かれていたなんて知ったら、絶対翔君ショック受けるだろうな……
「へ、へー……」
「フフン! 凄いでしょ〜?」
ドヤ顔を決める彼には申し訳ないが、彼の見るにも耐えない姿は私でさえも若干引いてしまうものだった。しばらくの沈黙の後、何か話題を振ろうと口を開けた。
「ねぇイフ?」
「どうしたんだい、凛?」
「イフって5年前から翔の身体にいるみたいだけど、5年前って確かあの『事件』があった日じゃ──」
──その時、私の体は何故か、横倒れのまま、翔の両手で担がれるといういわゆる『お姫様抱っこ』の状態だった。
「ふぇっ!? な、ななな何!?」
生まれて初めてのお姫様抱っこ、翔君の腕全体で私の腰を支えているのが分かる、というか何よりも翔君の顔が近い! 目の前の理解が追いついた時にはもう既に息は荒く、頬は先程のセクハラよりも紅く、熱を帯びていた。
ダメだ、落ち着け私! 今の状況をちゃんと理解するんだ……。周りを見ると、今まで存在すら虚と化していた、あの影達が目の前の獲物を狩ろうと目を研ぎ澄まし、必死に鉤爪を立てるが、イフは私を抱いたまま彼らの剣幕を振り切りながら商店街を走り抜けていた。
「──っ! 痛……」
イフの安定した逃亡に安心する中、ふと私の頬に仄かな熱が走った。だが、その熱はすぐに、影達の爪による傷のせいであると分かった。
「ウワァァアアアア!!! ち、血があぁ!!」
「うるさいな! ただの擦り傷に動揺しすぎだぞ! さっきまで可愛い照れ顔だったのに、いきなり大声あげないで欲しい。君の声は耳に響くから嫌いなんだよ……」
「うぐっ……」
私の悲鳴がこだまする中、イフはついにブチ切れたのか、私よりも大きく図太く、そして曖昧な褒め言葉を交えた喝を入れた。
この野郎……助けてる側だからって言いたい放題言いやがって……
「それよりも、なんで影達がここにいるの? さっきまでどこにもいなかったはずなのに」
「奴らはそこら中にある影に擬態して獲物に忍び寄るんだ。最も、あいつらが僕を狙うのは俺のせいなんだけどね?」
「え?」
無表情の“笑顔”のままとんでもない爆弾を言い放つイフに対して、私の額には冷や汗が湧き出てきた。
「いやあんたが原因なの!?」
「というか、誰かがこの『翔の体』に照準を合わせたようなんだよね……」
「いや翔君何されてたの!?」
「さぁ? あの時は僕も翔の中で眠ってたし、分かんないや」
「なんで大事な時には眠ってるのよ! この厨二精霊」
「な!? 厨二じゃないもん! ちょっと特別な精霊なだけだもん!!」
「「キャアッ!!」」
やがて、イフが商店街の途中にある角を曲がろうとした隙に、1体の影による奇襲で死にかけたため、二人はそれ以降喋ることは無かった。
──────
「あーもーしつこい! なんでこんなに執拗に追いかけてくるのよ!」
影達は商店街を抜け、狭い路地から広い国道まで渡っているというのに、疲れる素振りは1つも見えない。
出来ることならこんな奴らを早く振り切って、家帰って、シャワーでも浴びたい……
だが、奴らはそんな些細な願いを自慢の爪で否定した。
「あの影達は何者なの?」
「あの影は“虚”という名前さ。奴らは意志を持たず、他人の意思で行動するのさ」
無気力で零した疑問に、イフは先程よりも冷静沈着にかつ最小限の説明で答えた。
「さっきも誰かによって云々言ってたけど、あの影達を操ってる人って誰なの?」
「さぁね……少なくとも、翔に何かしらの恨みがある人だと思うが……チッ」
大通りを突き抜けて、再び商店街の門をくぐり抜ける手前には、またもや虚の群れが生じていた。数は10、30、50……それ以上かもしれない。ずっと私を抱えて、走ってくれたイフさえもこの数は振り切れないと判断したのか、口から零れた舌打ちが彼の心情を語った。(だが、顔色は何一つ変わらず、無表情の笑顔であった)
「できれば、“あれ”は最後まで残して起きたかったんだげどなー。んー……まぁ仕方ないか!」
え、何? 何なの? また何か、ヤバい事してくるの?不安と心配が募る中、イフはこちらに振り向き、今までの笑顔とは別の思いっ切りの笑顔で言い放った。
「いいか? 絶対にそこ……動くなよ? そして、振り向くな……後ろには虚がウジャウジャいるから」
「……え?」
この時、私は何故振り向いてしまったのかは分からない。 だが人間とは誰かに言われたことの反対の事をしてしまう生き物なのだ。だが、私がしてしまったことはどうやら間違いだったようだ。振り向いたら先には、幾つにも重なった飢えた野獣の眼光がそこら中に埋まっており、私の目には恐怖という文字が頭の中で駆け巡ってしまった。
「っ……」
喉から声にならない叫びと嘆きが飛び出た。こいつら……まるでゴキブリみたいに湧いてくる……。もうそろそろ正気が保てないんだけど……
「──ひっ!!」
そして、虚達がやっと私達に追いつき、苦労して捕らえた獲物の如く、私の肉を断とうと──
「──『瞬』」
──────
──それは、まさに一瞬の出来事であった。──
普通だったら、私の内蔵は奴らの手によって美味しく調理されていただろう。
──だが、私は生きていた。──
自分の体を触っても特に奇妙なところは無く、どうやって私は助かったのだろうと疑問に感じていた最中、私はまたイフに尋ねようと顔を向けた。だが、イフの周りには先ほどまで虚と呼ばれていた無数の黒塊が散らばっていた。彼がどうやってあの数を蹴散らしたのかなどは、ただの愚問でしかなかった。なぜなら、彼の手の元には黒く光る粒子が集まったかのような剣が、全ての愚問を斬り裂いたからだ。
「──イフ、か……覚えておかなくちゃな」
──今では私は確信している。──
この男が夢見た存在は、あまりにも大きく、輝かしいものであったものだと。
お待たせしました!(半年)
あ〜やっと終わったって感じですよ…
この半年間誘惑はいつもの事でありましたが、4ヶ月間も携帯を没収されるという不運な事故があり、小説に集中できませんでした…(言い訳)
さてまずは言っておきましょう
あけましておめでとうございます!!
あ〜これだけが言いたかった笑(1ヶ月遅れ)
ここまでたくさんの他の方の小説読んでたんですけど、もうこれからは不容易に行を空けずに、もっとコンパクトにして書くというスタイルで行きたいと思います!
それに伴って、前の小説全部少し書き直していきますんで、出来たら活動報告で知らせますんで、ご確認ください(内容、表現も少し手直ししていきますんで前よりは分かりやすい小説にしておきます)
それでは、次回は恐らく「鋼で創る神様への贈り物」でお会いしましょう!




