何も持たない少年
2019年日本──
まだ、地球が人類であふれていて、魔物による恐怖がなかった頃。
人類の未来が左右する少年が───
「またお前か!今月で何度目だと思ってんだーーー‼︎」
「俺は悪くないっすよ!あれは先輩が悪くて──」
……あれ?
「だからって青汁をスポーツドリンクに入れるやつがいるかーーー‼︎」
「それをいったら翔先輩だって練習中耳に息を吹きかけたんすよ⁉︎」
「そんな言い訳通るか‼︎とにかくこっち来なさーーい‼︎」
……どうやら人違いだったようだ。
──────
「ウェッ‼︎まっず!青汁まっず!」
俺はスポーツドリンクに入ってる青汁をチビチビと飲んでいた。
寝癖が目立つストレート、砂で汚れた制服、不機嫌そうな目。まるで不良のような雰囲気を醸し出していた。
俺は霧島 翔阿坂市の凛星高校の二年、剣道部だ。特に良い実積はなし、成績も平凡。この一年間俺は何もしていなかった……いや、しようとしていなかったが適当だろう。多分俺は何も特別な事をしたくない体質なんだろう。ホント自分でもこの性格が嫌いだ。
「はぁ〜。流石に青汁はやりすぎだと思うんだよな〜なぁ清水?」
俺は左隣にいる綺麗な女子生徒に話しかけた。
清楚な黒髪のロングストレート、朝からずっとホコリすらついていないブレザー、天使のような優しい瞳、カバンには学業成就のお守りが結ばれている。
こいつは清水 凛俺のクラスメイトで幼馴染だ。清水は学年一二を争う超絶人気美少女(本人自覚無し)。自分を下の存在だと思うこいつ性格が他の生徒を引き寄せたのだろう。そんな姿に俺は少し妬いていた。
「でも……先にやったのは翔君でしょ?だったら……謝らなきゃ……」
……正論すぎて何もいえねぇ。
──────
しばらく俺は清水と夕焼けの下で駄弁っていた。
「ほんと清水は羨ましいよ……。誰にでも思いやりの心を持ててさ。僕みたいな人にイタズラしかできないおバカさんじゃなくってさ」
そう言って俺は紅くなりかけた夕焼けの空を見上げていた。
後ろからは数人くらいの男子生徒がゲラゲラと笑ってる声が聞こえてきた。どうせ、俺のことをバカにしてんだろうな……
そんな事を思ってると、清水が頰をプクーッと膨らませてきた。
「もうっ!翔君はおバカさんじゃないでしょっ!毎日学校にちゃんと来てるし、みんなに優しくしてるじゃない!」
「それはバカじゃないっていうのか?……アッハハハハハ!ありがとな清水!おかげで楽になった。」
そういうと清水は顔を赤らめて
「えへへ……良かった……」
と悲しみを隠したような笑顔で言った。──後になってこの表情が昔の友人がよくしていた今を大事にしたいような顔だと思った──
──────
帰り道に清水と別れ、僕は街に立ち寄った。
阿坂市は近くに山があるため、そこで農業してる人達が野菜や米をたくさん送ってくれているらしい。しかもその野菜がとても絶品で、阿坂市の野菜を食べに来る旅行者が後を絶たないらしい。おかげで、いつも街は賑やかだ。
「今日も買い物苦労しそうだな……ん?」
人混みの隙間に女の子が手招きしている……普通の人なら「迷子かな?」などと思うだろう。だが、翔は何故手招きをしてるのかをその女の子に見覚えがあった。
「……亜、衣……?」
その時……俺に微かに残っていた記憶が蘇った。
──────
──俺がまだ小5だった時の頃──
崩壊した沢山のビル、燃え盛る町、逃げ惑う人々、道路の真ん中にはおびただしい血の池の上でぐったりと倒れている少女とまるで悪魔のような姿をした少年がいた──
僕はヒーローになりたかった──
ただ、それだけだった──
──────
「……なんで……お前が?」
翔は目の前にいる手招きをしている少女を見て思いを巡らせていた。
白いワンピース、小顔の輪郭、少し冷めた紅い瞳、肩に届かないくらいの短い茶髪、あれは間違いなく子供の頃の亜衣とそっくりだった。
(いや、だけどこいつはただの子供だぞ?……もし生きているならもっと背があるはず……だけど、この顔はどう考えても五年前のあいつにそっくりだ……だとしても、あいつはもうあの時に……)
人目を気にせず立ち止まってぼーっとしていると、少女は後ろを向いて走り出した。
「おい! 待てっ! お前は一体!」
俺はいきなり走り出した少女を追った。
例えあの子が亜衣じゃなくてもいい。ただ、あの子が亜衣じゃないことを確かめたかった。
俺は必死にあの子を追いかけた──
自分が方向音痴で迷子になるかもしれないと知らずに──
──────
随分奥の裏道に来てしまった……。
まだ、日は落ちていないようだが、そろそろ街に戻らないと……
「あ、そういえば俺ここまでどうやってきたか分かってないな〜……」
…………
「うおおおおおお‼︎ どうすんだよ俺‼︎ これじゃまるで迷子じゃねえか‼︎ あ〜もう……見たいテレビ番組あったのに……今日は一年ぶりのミリエネアでみるもんたが復活するってのに」
──すると、後ろからなにやら気配を感じた。
「なっ⁉︎」
後ろを見た次の刹那、目の前から刃が飛んできた。なんとか避けれたが、頬からはたらりと血が垂れている。
「……亜衣か?」
前を見るとさっきの少女がいる。
──いや……どうやら少女の付き添いがいるようだ──
すると少女の目の前に、人型の影が現れた。
「……っ、亜衣……」
やはり、あいつはただの女の子じゃない……。そう悟った俺はすぐに少女と距離をとった。
距離をとったのはいいが、どう突っ込めばいいか悩んでると
(──っ‼︎)
少女が手を横に振ると、影達は床にフッと隠れ、その姿は見えなくなってしまった。
──どこから来る?右か?左か?
翔は見えない相手がどこから来るか探っていると、下から影らしきものがこっちへ来るのを見た。
──そして瞬時に思った。影は真正面から来るんだと。
「そこだ!」
翔は飛び出てきた影に正拳突きを食らわした。
タイミングはピッタリだった。そして影の腹にクリーンヒットする“はずだった”。
なんと、影は透明になり、拳を通り抜け、翔の胸に刃を突き出してきたのだ。
「──なっ⁉︎」
だが、運良く翔はギリギリのところで体を反らし、刃を避け、またさっきと同じぐらいの距離を置いた。
(くそっ! ダメだ……。このままじゃ……“殺される”!)
本能が警告を出すように手は震えていた──
翔は元来た街に戻ろうと足を運ぼうと思ったその瞬間
「──っ‼︎」
二体目が現れた。
どうやら、ハメられたようだ──
前と後ろを塞がれ、最早逃げ道は無いという最悪の場面が出来上がった。
「──やるしかないのか……」
翔は姿勢を低くし、ボクシングのような構えで一か八かまず少女の前にいる影に向かって渾身のパンチを繰り出そうとすると
──ピカッ!
突然、翔の胸が閃光のように光りだしたのだ。
「──ふぁっ!?」
翔も少女もその光を見て唖然としていた。
翔の胸から出てきたのは青い光を帯びた一つの片手剣だった──
翔は顔色を変えて、今までにない声量でさけんだ。
「なんか出たんですけどおおぉぉぉぉぉぉ‼︎⁉︎」
やっと3話目ができましたよ〜!
ここまで早いペースで少しずつ作っていますが、もうちょっと長くした方がいいんですかね?
まだ分からなくていいか、初心者だし!(暴論)
次回もお楽しみに!




