30話 総攻撃
東の国の場合
「いいか、あいつらはどうせ国から出られない臆病者だ。だからな、この強固な屋根の付いた馬車での総攻撃だ。壁など崩してしまえば終わりだ」
「勝利は我らに」
「「勝利は我らに」」
「よし、別働隊の飛竜120は周囲から分散して低空で進入だ」
「ははっ」
「連合軍向けの見た目だけの軍の準備は出来たか」
「いつでもいけます」
「ははは、あいつら驚くぞ」
東の国は連合軍をおとりにして、その間に奇襲で侵略の計画を立てたようだ。
☆
西の国の場合
「良いか、ワシらは毎回、手勢少なく舐められてきた。だから今回、総勢で行ってくれるな」
「ですが、東は手を抜くという噂もありまして」
「それならそれで構わん。ワシらは正面から打ち破るのじゃ。あれを」
「はっ、皆の者、これを見るがよい」
「それは、一体」
「あやつらの武器を真似たものじゃ。極秘に作らせたものでな、ここを指で押せば弾が出るのじゃ」
「「おおっ、それはまさに」」
「この武器と弾は可能な限り作らせておる。じゃからこれで勝て」
「「ははっ」」
真似た武器・・形だけのような気がするが。
☆
小国家郡の場合
「良いか、うちは小さな国だ。だからどのみち勝てん」
「なればどうすれば」
「今、使者を遣わせておる。うちを拠点にしても良いから、滅ぼさないでくれとな」
「それでは降伏ではありませぬか」
「さすがにあやつらも3回目となれば必ず動く。そして、動けばうちは終わる。それでも良いのか」
「しかし、戦わずに降伏は・・」
「そのような者は他に行くがよい。他では徹底抗戦と申しておった」
「そ、それは」
「元の国の中枢がどうなったのか、忘れた訳ではあるまいの」
「ううっ・・」
「魔王に魂まで売る必要はない。じっと耐えて隙を伺うのじゃ。どのような生物も中からは弱い」
「それでは」
「今は我慢の時だ」
「「ははっ」」
1国だけレジスタンスになるみたいですね。
☆
「しっかしよぅ、内緒話がみんな聞かれてるとか、思ってもないんだろうな」
「今の盗聴器の性能、とんでもないですもんね」
「ああ、前に見せてもらったが、マッチの頭ぐらいの盗聴器とかあったぞ」
「うわぁぁ」
「しかも今や、偵察隊も【光学迷彩】が標準装備になってると言うし」
「過去と未来が喧嘩するようなものですな」
「ただ、うちの場合は倫理観の問題があるからな、オレらは良いが」
「爺さん連中もあれには苦労したと聞きました。僕達も向こうに産まれていたら同じように・・」
「ああ、なっただろうな。だからこそ、軽んじてはならんのだ。あれらも産まれの違いを悩んでいる。だからオレ達が支えてやらねばならん」
「分かっています」
「守護神とも色々相談して、今の体制を形作ってきた。色々と効率の悪い方法もあるが、必要だからこそだ」
「今回のもそうですね」
「ああ、二度手間になるが、止めはオレ達が刺す。あいつらのは【パラライザー】だからな」
「今更、人とか殺しても別に思いませんし、それはそれで問題無いですよ」
「そうですよね、あいつらは敵ですもん。敵は殺さないと殺されちゃうんだし」
「あいつら、頭では分かってるみたいなだけに辛そうです」
「他の分で色々気を回してくれている奴もいる。良いか、オレ達は支え合って戦うぞ」
「「はいっ」」
倫理観の問題があるからこそ、防衛に徹してきたヤマト国。
その割合は低くとも、殺せない者を内包してどこまでやれるのか。
いや、この場合は、どうやって征服するのかと言うべきだろう。
技術格差は相当に離れているようだが、それでも戦いは終わるまで分からない。
強者でも驕れば弱者に負けるのは世の習い。
果たして猫は油断せずにネズミを食い殺せるか。
【アマテラス】は予想戦場上空に鎮座し、戦いの様子を衛星に送信。
同じく他の情報部隊も衛星に送信する。
【静止させる衛星】が情報を獲得して全軍に送る。
全体マップに敵が赤点で記され、それを見て作戦本部から指令が下される。
「うん?メールか、さて、どんな指令・・これは」
『カチコミだ、いてまえ』
「ふう、この長期任務も終わりか。後は悠々自適の生活は良いが、終わるとなると名残惜しいな。まあいい、中枢の抹殺は任せとけ」
黒部隊の最後の花道が始まったようです。
「隊長、【拡張倉庫】に全て収納しました」
「よし、次の拠点に行くぞ。全ての関係書類を回収だ」
「「はっ」」
地上偵察部隊も動いているようです。
「やっと解禁や、長かったなぁ」
「けど、制限無しやて、殺し放題や」
「くっくっくっ、夢にまで見たぜ」
「僕、ナイフたくさん集めちゃった、くすくす」
「拷問は後回しだ、先に制圧するぞ」
「半殺しで良いよな、後で削れるように」
「早く浴びたいぜ、あの芳しき香りが待ち遠しい」
「ボクタチ、早漏はダメよ」
「「うい、マダム」」
「そうそう、いい子達ね」
いつの間に総括が変わったんでしょう。
「いいか、お前達の仕事は敵を殺す事だ。何も考えなくていい、ただ敵を殺せ」
「「イエス、マスター」」
こんなところに総括がいました。どうやら彼は戦闘向きのアント民を指揮するようです。
「だんさん、準備は終わったわよ」
「そうか、ならば出撃だ」
「ボクタチ、出番よ。思いっきり遊んであげなさい」
「「うい、マダム」」
どうやらそう言う事になってるようですね。
★☆★
かくして、ヤマト全軍対全諸国連合の戦いが勃発したのだった。
「もふもふ、もふもふ、もふもふ」
「ふわぁぁぁ、ふわぁぁぁ、ふわぁぁぁ」
「「ママー、私達も」」
「あは、はいはい・・もっふもっふ、もっふもっふ」
「ふわふわ、ふわふわ」
「ふわんふわん、ふわんふわん」
「どうにも暢気と言うか、余裕と言うか。さて、研究の続きといきますか」
戦いとは書きましたが、虐殺の可能性が・・




