29話 技術格差
小国の機密武器工場爆破から2年後の事、どうやらある事ない事を他国に訴えたらしく、ヤマト国の奇襲攻撃と言われ、卑怯な騙し討ちだと言われ、宣戦布告の事実は消されてしまう。折角、隠れて記録映像を撮ってくれた調査員には悪いが、相手の科学力が及んでない為、おそらく理解されないだろうと思われた。
「この画像さ、将来まで保存しとけば当時の行い云々って、抑止力になりそうだよね」
「それしかないですね。こんなにはっきりした証拠でも、相手にはピンホールカメラぐらいしかありませんし」
「統一後の反乱勢力抑制用資料って書いて保存しときます」
「きっと後の奴らにさ、用意が良いって言われるさ」
「そうだと良いですね」
後の奴らか・・もう少しなんだ、何かが掴めたような気がするんだ。
だから・・早く確立して出してやりたいものだ。
当時はまだまだ先が見えなくて、あのまま倉庫に入れたっきりだけど、獣人は何とかなったけど、人間はもう少しランクが上みたいなんだ。
だけどそれももう少し・・後はアンチエイジングの秘密、あれももう少しだ。
推測は既にあるんだけど、イメージがまだ掴めない。
おそらくは老化のゲノムの初期化なんだ。それを毎日やる、プログラムのようなものを魂に刻み付けてあるとしか思えない。
だって、身体を交換しても同じなんだから。試作品を、ミカの頃より進んだ試作品を使っても、それが年を経る事は無かったんだ。
だから身体にじゃなくて魂に、のはずなんだ。そのイメージさえ得られれば・・くそっ、もどかしいな。
「合言葉は『仏の顔も三度』ですね」
「オレ達は仏じゃねぇし」
「じゃあどうしますか」
「まあ、合言葉はそれで良いが、作戦名は『セキガハラ』でどうだ」
「成程、天下分け目の戦いという訳ですか」
「もう殲滅も辞さない。我慢してればいくらでも来る。あいつらは邪魔なんだよ」
「そうですね、惑星の環境は汚すし、こちらが静かにしてれば攻めて来るし」
「元々、殺さなくては殺される世界なんだ、だからもう思い切ろうと思う」
「分かりました、その旨、伝えておきます」
★☆★
「遂にゴシンが重い腰を上げたぜ」
「次で3回目か、よく耐えたよな」
「ああ、そういう訳で、オレ達の秘匿兵器の上申をしようと思う」
「分かった、他の団体にも通達を出しておくぜ」
「あいつら、オレ達の【クリアウルフ】の餌食にしてやるぜ」
「その名前、長いから【クリフ】にしようって決まったろ」
「意味の分からない名前になっちまうか、残念だぜ」
「見れば一目瞭然さ、まあ見えない戦車だけどな」
「キャタピラの無い、空中浮遊戦車だ」
「殆ど、航空機だけどな」
★☆★
「おい、解禁来たぜ」
「さすがに3回目、仏ですら耐えないのに無理だと思ったぜ」
「準備は終わってるよな」
「もちろんさ、さあ、上申してくれ」
「うっし、オレ達の【リアリ】の餌食にしてやる」
「透明にもなれる、浮遊式ヘリコプターか。本当に近未来兵器になったよな」
「未確認飛行物体とか呼ばれるんだろうな」
「くっくっくっ、ありそうな話だ」
★☆★
「おい、上申するぞ」
「遂に来たか、侵攻命令」
「3回目だしな、来ると思ってたぜ」
「おーい、【モジン】の準備終わったけど、ゴシンはまだ動かんのか」
「【イタチ】の搭載も終わってるのか?」
「ああ、とっくだぜ。あいつらも仕事が早いよな。既に200機搭載済だ」
「無人浮遊戦闘機搭載、空中空母のお披露目か、楽しみだぜ」
「後は遠隔パイロットを乗せるだけだ」
「あいつら驚くぞ、くっくっくっ」
★☆★
かくして、初回の頃とは桁も次元も違う、超派手な秘匿兵器の数々が、既に家屋撤去後に広大な空港と化した本国の首都【マホロバ】に終結したのだった。
その威容と言うか何と言うか。全てが魔導発電式で、浮遊式で光学迷彩をスタンダードとし、そこから各自が特色のある武器の数々を搭載した、まさにトンデモ兵器の数々。
「空中空母【モジン】準備完了」
「同じく搭載無人誘導戦闘機【イタチ】200機、遠隔パイロット100名、共に搭載済み完了」
「空中浮遊式戦車【クリフ】200台、準備完了」
「同じく搭乗員乗車完了」
「対地特化型透明浮遊ヘリ【リアリ】100機準備完了」
「同じくパイロット及び搭乗員、準備完了」
「空中浮遊式兵員輸送車250台、準備完了」
「歩兵大隊、魔導銃・魔法無効盾装備で搭乗済み」
「魔導機動部隊500名、準備完了」
「航空偵察大隊、準備完了」
「対地爆撃機、準備完了」
「対空自走砲50台、準備完了」
「移動式作戦本部、準備完了」
「自走式長距離レーザー砲、準備完了」
「同じく、専用燃料輸送車、準備完了」
「対地大型巡航魔導ミサイル500基、準備完了」
「同じくミサイル運搬車両50台、準備完了」
「衛星誘導式ミサイル架台5台、準備完了」
「大型食堂車両、80台、準備完了」
「大型魔導トラック1500台、準備完了」
「同じく物資、並びに食料搭載済み」
「工作隊、浮遊魔導ブルドーザ、並びに魔導ダンプカー600台、準備完了」
「工作隊員5000名、準備完了」
★☆★
「はぁぁぁ、何と言うか、とんでもないな」
「くすくす、皆さん、準備が良いですね」
「はっきり言って皆、1回目の頃からやきもきしてて、2回目でもう止まらなくなっちゃいまして、号令待ちになってんたんですよ」
「まあ、ここの守りはオレがやるから、好きに暴れて来い」
「良いんですね」
「ああ、構わんさ」
『皆っ、よーく聞けっ、たった今っ、守護神からのゴーサインが出たっ、各員っ、気の済むまで思いっきりっ、戦えぇぇぇぇぇ』
「「「うおおおおおおおおおっ」」」
きっともう止まらないと思います。




