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異世界ツアー2 ~異世界の未来とその趨勢~  作者: 黒田明人
5章 第二次対連合軍紛争勃発
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26話 殲滅戦

 

 

「71番から114番までがメインだ、後は回りこむ敵を撃て」


弾芯にはかつて魔導爆雷式に用いられた魔界の砂が微量用いられ、先端の圧力式起爆装置により、何に当たっても爆発する。

32年間のブランクは、敵よりもヤマト国の生産能力によってより多くの備蓄を可能にさせ、そのストックは膨大になっていた。

しかも、第二防衛ラインには旧来の砦が増築され、後詰として控えている。

どの都市も今や砦を内包する事が安全の証とばかりに、直轄領の全てに砦は建設されている。

そのせいで大型の魔物はヤマト国には生存出来ず、既に保護区の存在となっていた。

別に保護が目的ではなく、レベル上げと食料が目的だったので、実に哀れな状態になっていたのだが・・


それはともかく、今や連合軍の頼みの綱の飛行船は彼らの格好の的になろうとしていた。

攻撃した者に経験値がもたらされると知られてから、交代で引き金を握る事になってはいる。

だがやはりまだ倫理観が障害になるものも居て、考え出されたのが引き金あみだくじ。


つまり、人数分の引き金を用意し、皆が皆、敵を狙うのである。

その中からランダムで本当の引き金となるので、誰が飛行船に当てたのか分からない方式。

なので当たれば自分じゃない、外れたら自分って言い訳が通用しそうな感じになっており、かなり心理的に軽減効果があると言われているが、これも屁理屈の類だろうと思われる。


「はっきり言って共同正犯だけどな」

「それは言わぬが花かと」

「けど、凄いっすね。こっちの人で日本語で、しかも法律用語やことわざにまで通じてるなんて」

「いやぁ、そういうのも面白くてついね」

「こいつはオレと違って天才だからな」

「くすくす、それはもっと努力しろって言う比喩ですか」

「邪推はいかんよ、邪推は」

「本当に面白い言語ですよね。覚えるまでは大変でしたけど」

「それはそうと、あの研究はどうなっている。やれそうか」

「かなり進んでます。特に【浮遊】が面白いですよ」

「まさか、あれを可能とするのか」

「かなり、可能性が高いです」

「そのまま進めてくれ」

「はいな」

「方言までか、呆れるな」

「くすくす」


後、後方支援にも経験値がもたらされるようにと、全兵士均等経験値割り振りが実施されている。

なのであみだくじで当てても本当に分からないようにもなっている。

なのに全員引き金なのはやはり、戦闘系ゆえの事。

倫理観がこちらの人間は、毎回当てているつもりで満足するからである。


「うしっ、当たった」

「今のはオレだ」

「いいや、オレだ」

「悪いな皆、あれは実はオレなんだ」

「僕でした」

「私だったのよね、残念だけど」


こんな調子である。そこには戦争の影は無く、もはやシューティングゲームのノリで人殺しが行われている。

なのであちらの倫理観の者でもそこまでの心理負担にならないのも分かるだろう。

それの善悪はともかく、自分達がやっているのは防衛であるという意識。

つまり、殺さなければ殺されるという、この世界の決まり事にただ従っているだけなのである。


楽しんで殺しても悲しんで殺しても殺しは殺し。

殺された相手にしてみれば、謝りながら殺されてもやりきれないだけだろう。

それぐらいなら笑いながら殺されれば、恨みの持っていきようもあるというもの。


そういう話も部隊内には伝わっていて、わざと憎まれ役を買っているつもりになっている奴らも居るとか。

だけど、横から見ているとただの快楽系にしか見えないという難点が・・

しかも、本人は誤魔化そうとして厨二病の振りをしていたりするから、誰が本当にそうなのかはさっぱり分からないのが現状である。


「ガンガン殺るぜ・・くっくっくっ、楽しいぜ」

「さっきから快楽系がキモいんだけど」

「気にするな、あいつはただの厨二病だ」

「ああ、そういう事か」

「煩いな、気分が壊れるだろ」

「はっはっはっはっ」


   ☆


「撤退だ、撤退しろ」

「身動きが取れません」

「横の飛行船っ、とっとと転進しろっ、早くしないと・・うわぁぁぁ」


   ★


「かなり減ったが・・当たらんな」

「命中率が悪いわね」

「まあこの距離だからな」

「このままじゃ逃げられるわ」

「仕方が無いだろ、うちは防衛特化なんだから」

「次は仕留めてやるわ」

「怖いんだけど」

「くすくす、ごめんね」


   ★


「さて、全滅させようかね」

「ゴシン発進」

「それ、止めないか。なんか変なアニメに影響されてないか?」

「いえ、守護神の略ですから」


もちろん彼主体の経験値均等割り振りなので、彼が全滅させても割り振られる事になり、攻撃中止の後でレベルが上がる奴も出た。

それはともかく、連合側は虎の子の飛行船を全て失い、連合軍側の完敗の元に戦いは終結したのであった。

その彼の倉庫には大量の人員が納まっていたが、アント民は現在余剰になっているので、このまま倉庫民にしようかと思っている彼だった。


まあ、減れば出せば良いよな。倉庫の中ならメシは要らないし・・


民間人の大量虐殺という結果ですが・・どうやら彼はそれを認識していないようですね。

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