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異世界ツアー2 ~異世界の未来とその趨勢~  作者: 黒田明人
4章 第一次対連合軍紛争勃発
24/37

23話 火竜来襲

 

 

西の奇襲部隊が音信不通になって半年後、今度は東からのちょっかいが出た。

かつて追い返した飛竜部隊の再来である。前回は40匹ぐらいだったのが、240匹余りという大軍勢で押し寄せたのだ。

その統括は例の気球船。遥か上空から手旗信号のようなので合図をしているようだが・・


「これも守護神のほうが良いよな」

「ワイバーン素材は人気あるからな」

「けど、やたら多いがいけるのか」

「爺さんの自慢話によると、千匹でも余裕っぽいけどな」

「マジかよ、よし、連絡するぜ」


そんな訳でワイバーンの群れと言われて、今度は魔皇子姿で討伐に行く事になる。

やっぱりあのマントを使う訳で、それはそれでまた人気の上がる魔皇子だった。


銀の髪をなびかせて♪マントをはためかせて♪首都の空を舞う♪魔界の皇子♪


なんてそんなフレーズが聞こえて嫌になった彼だが、開き直って討伐に赴く。

どうやら彼が飛んでいるとそんなフレーズを流す事になったらしい。

彼にとっては傍迷惑でしかないが、メンバーは熱狂している訳で・・(あらあら、またなのね)


「貴様は・・魔王の息子かっ。やはりあの国は通じているのだな」

「煩い、死ね」


いきなり魔王の息子呼ばわりされ、キレた彼は殲滅を開始する。

それでも人員を確保する辺り、意外と冷静な部分もあったのかも知れないが・・

ワイバー素材が247匹分、人員も同数、そして気球船はそれを見て逃げ出すが放置。


本当はあれも落としたかったんだけど、仕方が無いな。けど、何て敵にまで知られてんだ、くそぅ・・


単に瞳が赤いだけなのにと彼は憤るが、素になると雰囲気が異なるのだ。

なので瞳の色以上の雰囲気の違いで人は別人と思う訳で、普通ならありえない話だけに、彼には理解出来て無かったのである。

それはともかく、魔王の息子がヤマト国と関係を持っているという話が他国にも流れ、大義名分として魔王討伐の前哨戦と言うものを手に入れる。


そして10年計画で軍備増強、飛行船量産、他国との連携と、冒険者義勇軍の編成という4点を推進すると、他の国々にも通達が成された。

そして彼らは牙を研ぐ。大義名分に踊らされた大多数の者達を従えて・・

もちろん、そういう大掛かりな軍備増強が偵察隊の耳に入らないはずもなく、予想される10年後の戦いに向けて、今から協議に入るのだった。


「まさか、魔皇子の件であんな事になるとはな」

「冒険者を巧くそそのかして捨て駒にする気か」

「守護神、あれ、良いですか?」

「あれって?」

「ほら、オレ達を鍛えた時のような」

「ああ、あれか。まあ良いけど、どれぐらいかな」

「歩兵大隊全員は無理ですか」

「全員かぁ・・どれくらい居たっけ」

「今、18万人になってますね」

「え、何でそんなに」

「戦闘系は大抵所属していて、副業で暮らしてるんですけどね」

「うーん、18万人かぁ、まあ、やってみるかい。それで、場所は?」

「ズバリ、ドラゴンです」

「18万も居たら殲滅しちゃわないかい」

「いえいえ、あくまでも【パラライザー】で動きを止める役回りで、止めと収納をお願い出来ましたら」

「均等割り振りも込みかい」

「ダメでしょうか」

「そうだね、【龍脈】の材料も欲しかったし、この際、大々的にしようか」

「ありがとうございます」


という彼の安請け合いの結果、歩兵大隊のみだったはずが何故か漏れ、他の部隊も我も我もと参加表明が相次ぎ、結局はクジに負けた僅かな守備隊が寂しく残留するのみという、大軍勢でのドラゴン討伐作戦にと発展したのだった。そして現地まで転移穴で続々と兵士達が竜の谷手前に終結していく・・


「妙に多くないかな」

「実は、他の部隊にも話が漏れまして」

「え、12万で全部じゃなかったの?」

「歩兵大隊から12万人、偵察大隊から4万人、航空偵察部隊から1万人、特殊工作隊から2万人、そして統率者から7名となっています」

「統率者が表に出るなんて珍しいね」

「たまにはと言われまして」

「まあそれは良いけど、合計19万も兵が居たのかい」

「総勢は26万になってますね。残りは手の離せない任務と守備隊です。」

「それって殆どって言わないかい」

「半数強ぐらいですよ、人も増えてますし」

「そんなに移住はさせてないはずだけど」

「それが、食糧事情が良いせいか、ベビーラッシュが何度かありましてね。現在50万は軽く超えてますよ」

「そんなに増えたんだ」

「58万5419人だ」

「出た、数字おたく、さすがの把握だぜ」

「地方都市のひとつぐらいにはなったんだな」

「そうですね、これからも増えると思いますけど、やれますよね」

「衛星領の自給率も200越えになってるらしいし、いけますよね」

「ああ、いけるさ」


そんなほのぼのな雰囲気の中、彼はスキルをいくつか全員に行使し、後はのんびりとリクライニングシートで待機する事になる。なんせ全員にマナ供給中なのだから・・


(使っても使っても減らないぜ・・守護神万歳・・ヒャッハー、死ね死ね死ねぇぇ・・うへぇ、統率者怖ぇぇ・・けど、凄いよな。オレ達には到底・・ああ)


殆どの兵によるハントは順調かと思われたが、危険を察知して逃げ出した竜も出た。たまたま彼が転寝中だった為、見逃す事になったが、方向が心配なほうへ飛んで行く・・


「緊急連絡、ファイヤードラゴン接近中」

「なんだ、こんな時に、くそ、あいつらのハントで逃げた奴か」

「人員足りるか・・砦、4番と5番、不足は他から補填。目標、ファイヤードラゴン、連続使用を許可する」


「うおお、大物キター」

「しかも、連続使用かよ、くっくっくっ」

「隣と連結だとよ」

「ゾクゾクして来たぜ」

「くっくっくっ、オレもだ」


「うおお、急げや急げ」

「隣、居ないって、オレ達に運が巡って来たぜ」

「反対側からも来てるってよ、早い者勝ちだ、急げぇぇ」


「くそ、エレベータ、動いてるぞ」

「そんなぁ、折角の大物のチャンスだったのに」

「まあいい、戻ろうぜ。方向が変わったらヤバいしよ」

「それもそうだな」


「連動確認、目標確認」

「「上げ角調整よし」」

「「自動追尾照準よし」」

「「てぇぇぇ」」


近年に無い連続照射38秒で水晶が空となり、隊員は予備に交換しようとして、ふと見るとそこにはドラゴンの三枚下ろしが・・


「うへぇぇぇ、何だありゃぁぁ」

「すっげぇぇ、あれってよ、魚のアレだよな」

「まさに三枚下ろしだな」


両翼を胴体ごと切り取られた竜は、激痛のままに墜落する。そのまま前倒しになって頭から墜落し、頭蓋粉砕、首骨折でそのままお亡くなりに・・


「回収班急げ、血が無くなるぞ」

「なるべく大量に獲得しろ」


留守番のはずの隊員たちは、思わぬ戦利品に気分上昇。非番になって降りて後、三枚下ろしの竜を見に来るようで・・


ちなみに発射した2人はこっそりレベルが上がっていたという。


(ちょっと言えねぇよな・・オレ、7つも上がってよ・・オレ、8つ上がったぜ・・内緒だな・・ああ、秘密だな)


実はドラゴンの谷は南の国の山ひとつ越えた先にあり、そのせいか逃げたドラゴンが2頭来襲したらしく、建設中の飛行船のいくつかが破壊され、人員にも多大な損害を出したとか。更に西の国にも1頭来襲し、損害はかなりとか。東も抜け駆けの飛竜壊滅のダメージが酷く、10年計画は15年に延伸される事になったとか。各国は魔王の仕業として士気の低下を抑えたらしいが、その原因については分からずじまいだったらしい。


竜の三枚下ろし。美味しいのかな?

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