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異世界ツアー2 ~異世界の未来とその趨勢~  作者: 黒田明人
4章 第一次対連合軍紛争勃発
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22話 奇襲

 

 

戦後処理となり、本来なら捕虜の交渉があるはずが、何も言わないヤマト国。

交渉の人員を送っても、帰って来ない事になる。

そう言えばスパイを送ってもやはり帰って来ない訳で、あの中ではどうなっているのかと、他国はさすがに不気味に感じるようになる。

表の様相は平穏で豊かな国に見えるが、真の姿はまた別なのではないかと思い始めたのだ。

1国平均4万の兵を失い、しばらくは立ち直れない様子だった。

さすがに8万余りの兵なら勝てると踏んでの連合軍だったが、勝てなかったのを西の国のせいにする彼ら。

即位した王の下にそういう苦情が寄せられてきて、いきなり苦しい立ち上がり。


ここで突っぱねるのは簡単だが、そうなると自分がヤマトの立場になるかも知れず、自分達を省いた連合軍など組まれては一大事と、かなり妥協した補填をする羽目になる。それはそのまま民へのしわ寄せとなり、ヤマト国の豊かな噂が流れるたびに、民が減っていくような感じになっていた。


現在のヤマト国は、その国境地帯の防衛線の防備の建築が進んでいて、それは北にも及ぶ。

北には何も無いと言うのに、念の為の防衛線がある。確かに北には山脈が連なり、その向こうは海になっている。

だが、細い獣道が無い訳でなく、大軍は無理でも一列になって歩めば、奇襲がやれなくもない。


そういうのを考えて、無駄と知りつつも防備をする。それも作戦本部の方針となっている。

なのて細いながらも【龍脈】を送っており、収容用の格納庫も一応備えられている。

収納用の格納庫という事は、そこから応戦する事も可能な訳で、格納庫横の詰所には、2人の人員が配されて、監視の任務に就いている。


もっとも、閑職と言われる場所なので、警報装置を頼りにして、2人で将棋とかトランプに興じる日々なのであった。

連合軍の攻撃も終わり、半年が経過した頃、その詰所の警報が鳴る。

驚く2人はモニターのスイッチを入れ、外の様子を確認する。そこには防寒装備に身を包んだ数人の連中が居て、何かしらやっているのが見えた。

さすがに2人で出るような訓練は受けておらず、すぐさま本部への直通連絡をする。


報告を受け取った本部はすぐさま情報隊に連絡。まずは高高度からの望遠で確認・・それは西の国から続いている一列の軍勢。

その先遣隊のようであった。道を踏みならし、枝を切り、歩き易くする為の色々な作業。

その後ろから一列になり、やはり防寒装備の者達が連なっている。


「確かに西の被害は無かったらしいが、ここまでするかって感じだな」

「大方、北の防備など無いと思っての、大回り奇襲のつもりか」

「この半年間、これの準備をしてたのか」

「いやはや、ご苦労な事だ。あそこには収納口もあるし、全員アント民になってもらおうか」

「異議なし」


新民接近の報をを受け、統治者達はそれぞれの配下の中でも、力の強い者達を統率する。

魔導銃を渡して使い方を教え、防寒布を被らせて準備完了。

それぞれが率いるアント民達は、粗末ながらも防寒装備となっている。

もちろん、凍傷になろうが腕が千切れようが、文句も言えないのだが・・


「なんや服着るんも久しぶりやな」

「芳しき香りは身に付けてこそだしな」

「お洋服は外出用よ。中で来たら汚れちゃうわ」

「せやけど、ええおなごやなぁ、ワイが抱いてるおなごとは桁が違うわ」

「あら、お上手ね」

「ほんまやで、あんさん見るたびに、硬ぅなりまんねん」

「あら、本当だ」

「堪忍や、いてまうで」


そして統率者達も防寒装備をする。

彼らは普段、何も着ずに過ごし、こういう時だけ着るのである。それはアント民も同じ事。

地下で服を着るのは再生局の職員ぐらいのもの、他は皆裸体なのである。


その理由は主に、着替えの問題。

余計な経費を省く為、全体を暖かくして服を省いたのである。

統率者達にもおおむね受け入れられ、彼らもまた同じく裸体で過ごす。

かえってそのほうがありがたいという者もいるが、別に露出狂という訳ではない。


血液愛好家の彼のように、身体に浴びたり塗りたくったりと、そういうのが好きな者達は喜んだぐらい。

後は好きな時に抱けると言う彼もまた歓迎した。

好色系の部屋には大抵異性が居て、ハーレムになっている場合が多い訳で、服など元から不要になっていたりするからだ。

だから廊下を歩く時もそのままで良くなり、ありがたいと思っているとか。


格納庫の前はちょっとした広場になっていて、西の軍はそこでビバークする事になったらしい。

そうなると夜襲が最適。格納庫に暖房が入れられ、夜まで待機となる。

統率者達はそれぞれに作戦を展開し、あれやこれやと相談する・・外のモニターを見ながら・・


「夜中にそろりと囲んで痺れてしまいやろ」

「囲む間に気付かれると拙いぞ」

「困ったわね、どうするかしら」

「あ、あの、あの・・」

「おや、新人君、何か意見でもあるの?」

「そ、そう、あの、く、空調の、だ、だ、ダクト、だ、だったら、そ、そ、その」

「そうか、その手があったな」

「ち、ちょ、っと、は、離れ、てるけど、か、か、囲む、な、なら、一番、い、い、いい、かも」

「そやな、それでいこ」

「決まりね。お手柄よ、新人君」

「あ、あ、あり、が、と」


それぞれがそれぞれの事情を背負う身なので、彼の吃音に対して何も言わない。

ただ、それは思いやりとはまた別の意味合いの存在もある訳で。

サイコ系やらソシオ系も多い統率者なので、他人の事などどうでもいい者達も多いのだ。

たまたま、毎回つるむ彼らは、微かながらも思いやりの心があり、だからこそ何も言わなかっただけなのだ。

そんな彼らとつるむようになれば、新人君の心も穏やかになるかも知れない。

彼は吃音の事を言われると、途端にバーサーカーになるという危険を保持しているので、例え僅かでも思いやりの心のある、彼らとつるんだほうが良いのかも知れない。


そういうのは総括のさじ加減となっているので、恐らくは総括の配分なのだろう。

総括は特に変わった性癖を持っている訳ではないが、何も感じないという欠陥を持っている。

目の前で人が殺されようと、拷問風景を見ようと、全く揺れない心の持ち主。

もっとも、それも性癖に含むのかも知れないが・・


だから本当は思いやりの心すら感じないのだが、それは経験で賄っているらしい。

本人は比較的穏やかな性格なのだが、そういう理由から人とは暮らせない存在になのだ。

そんな訳で人外ばかりが集う、地下の生活が意外と合っているようだ。

穏やかだからこそ、全てを統括する役目を帯びているという事だ。


そんな頃、彼はあちらの世界を訪れていた。

留学生の様子を聞くと共に、いつものお仕事をやる為である。

さすがにこちらの人員は、アント民にしても単純な労働力にしかならない。

マナ無し世界の住民では、マナタンクに出来ないのだ。

なのでいつもの場所に転送する事になり、黒い服の者達が夜中に消えると・・


かつては業界の裏仕事をやってたが、ハモンの立場が怪しくなるばかりなので、最近では止めている。

彼は怪しくなったほうが向こうに行く大義名分が出来て良かったらしいが、それは向こうでのバカンスの約束で何とかなった。

そんな訳で、今のハモンの仕事は留学生の世話という、とっても地味なお仕事であり・・


「暇だぞ」

「けど、大事な人材だからな、人間に任せる訳にはいかんのよ」

「まあなぁ、それは分からんでもないが」

「ネックレス、まだ残量あるか」

「こいつは大した代物だな。使っても使っても出て来てくれる」

「あ、そうそう、以前捕まえたあの女、ミカになったからな」

「そりゃまたギリギリだな。まあ、大サービスだろうな」

「けど、ありがたいさ」


(恐らく食らったんだろうが、ヘルプ入ったか。いきなり人間には難易度高すぎるからな)


そしてこちらでの用事を済ませ、戻った彼を待っていたのは、西の奇襲部隊850人の処置であった。


やれやれ、また増えるのは良いが、処置は疲れるぜ・・はぁ、もふもふ~


癒し要員は今日も彼を癒してます。

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